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女性に多い「のけ反ったとき」に感じる腰痛って?
日本人の国民病ともいわれる腰痛の原因は、実にさまざま。中でも女性に多く見られるのが、のけ反った姿勢をしたときに痛むタイプの腰痛です。
のけ反るというのは、上体がうしろに反った姿勢のこと。
骨盤が前に傾き、腰が反った姿勢(反り腰)を取りがちな方は、このタイプの腰痛が生じやすくなります。
骨盤が前傾するのはなぜ?
本来であれば、緩やかなS字カーブを描いている背骨ですが、骨盤が前に傾くことで反りかえってしまい、腰に大きな負担がかかるようになります。
では、骨盤が前傾しやすくなるのはなぜなのでしょうか。
・ハイヒールやかかとの高い靴をよく履く
・長時間の立ち仕事をしている
・長時間のデスクワークをしている
・お腹まわりの筋力が低下している
骨盤が前傾しやすくなる主な原因には姿勢と、お腹まわりの筋肉が弱くなっていることがあげられます。
例えば、ハイヒールを履いているとき。かかとが上がり、重心がつま先寄りになった姿勢を支えるために、腰の反りが大きくなります。また、椅子に浅く座り、胸を張った姿勢は一見美しく見えますが、腰を反らせてしまっていますよね。
腹筋が弱ると、骨盤は正しい位置を保てず前傾しがちに…。
反り腰は慢性的な腰痛を引き起こすため、靴の選び方や座り姿勢・立ち姿勢の改善、それとお腹まわりのトレーニングをするといった対策を取るのもいいでしょう。
そして、腰痛の予防・対策としてストレッチをするなら、ポイントは痛くなる方向に動かさないこと! ここでいう反り腰の方は、腰の反らせすぎには注意。また、痛い時に無理におこなわないことです。
【座りながら】デスクワーク中にできる! 腰を丸めて左右に揺らすストレッチ
STEP 1:足の裏を合わせて座る
▲両足の裏を合わせた“合せき(がっせき)”の姿勢で座ります。手で足先を持ち、かかとを股関節に引き寄せましょう。太ももを外側に回転させ、ひざを下ろすと〇!
STEP 2:上体を前に倒す
▲手をひざの上に置いたら、上体をやや前に倒します。
STEP 3:【息を吐きながら】左の肩を前に押し出す
▲上体を右にねじりながら、左の肩を前に押し出します。腰の左側に心地よい刺激を感じましょう。反対側も同様におこないます。〈回数:呼吸を5回〉
ここでは合せきの姿勢でおこなっていますが、椅子に座り、脚幅を広くしておこなってもいいでしょう。
【立ったまま】その場ですぐできる! 腰を丸めるストレッチ
STEP 1:足を揃えて立つ
▲まっすぐに立って頭頂を引き上げます。肩をまわすようにして後ろに引き、肩甲骨を下げましょう。尾骨を床に向けて下げたら、足裏3点(親指と人差し指の下、薬指と小指の下、かかと)で床を押します。
STEP 2:【息を吐きながら】顔を下に向ける
▲まずは、首の後ろ~背中の上部を伸ばしていきます。
STEP 3:【息を吐きながら】前屈を深め、腰を丸くする
▲次の吐く息に合わせて、前屈を深めます。腰を丸めるようにして、上体を前に倒しましょう。回数:〈呼吸を5回〉
上体を左右にゆっくり・ゆらゆら揺らしてもOK。
【寝ながら】骨盤の関節周辺の筋肉をほぐすストレッチ
STEP 1:仰向けになり、ひざを立てる
▲床やベッドの上で仰向けになったら、脚を腰幅に開いてひざを立てます。恥骨を軽く突き上げて、お尻の上のほう~腰を床に預けましょう。
STEP 2:【息を吸いながら】ひざを胸に引き寄せる
▲呼吸の妨げにならない程度に、ひざを胸に引き寄せます。手は、それぞれのひざに添えましょう。
STEP 3:ひざを前後に動かす
▲手でリードしながら、左右のひざを交互に前後に動かします。ひざを引き寄せる→遠くに押し出すイメージで動きましょう。〈回数:10~20回〉
【寝ながら】股関節をほぐすストレッチで腰への衝撃を減!
STEP 1:仰向けになる
▲脚を腰幅に開きます。手は体の横、手のひらを下に向けて楽に置いておきましょう。
STEP 2:【息を吸いながら】左脚を床から持ち上げ、ひざを曲げる
▲腰が床から浮きやすい場合、下に丸めたタオルやブランケットを置いてもOK。
STEP 3:左ひざで円を描く
▲左ひざを外側に倒したら、大きな円を描くように動かします。両方の肩が床から浮かないように姿勢に気をつけ、反対まわりもしましょう。右脚も同様におこないます。〈回数:各3~5周ずつ〉
股関節の可動域が広くなると、腰への衝撃を緩和することができます。
ストレッチローラーでほぐす方法
慢性的な腰の痛み・ダルさがある場合、ストレッチローラー(ストレッチポール)を使って筋肉をほぐすと効果的だといわれています。一方で、急に痛めた場合は炎症が起こっている場所に刺激が加わり、悪化させてしまう可能性があるので、体の様子を見る必要があるでしょう。
また、ストレッチローラーの上に腰を乗せ、仰向けになる姿勢がツラく感じるときは、体を横向きにした使い方もあります。
右体側を下にして横向きになったら、腰の位置にストレッチローラーをセット。体を前後にゆっくり動かします。
体重がかかりすぎないように、手や脚をうまく使いましょう。体の向きを変えて、反対側も同様におこないます。
※ 同一ヶ所に長時間使用しないこと! 目安は、1パーツにつき20~30秒です。
最後に
今回は腰まわりのストレッチのやり方をご紹介しました。腰の痛み・ダルさを感じやすい朝や寝る前におこなうほか、同じ姿勢が長く続いているとき、ちょっとしたすき間時間があるときなどにおこなってみてはいかがでしょうか。
ただし、起床後というのは筋肉があまり動かされず、関節・靭帯も硬くなった状態です。強度の高いストレッチや反動をつけたストレッチは避けて、深い呼吸をしながらゆったり優しく体を動かしましょう。
ヨガインストラクター・高木沙織
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®、そのほかにもリフレッシュドライヘッドスパ、パーソナルリンパケアリストといった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。