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2024.02.28

「有為転変」とはどういう意味? 仏教にまつわる類語や使い方を解説

「有為転変」とは、「この世は常に移り変わっていく儚いものである」という意味を表す四字熟語です。「有為転変は世の習い」というように使われます。本記事では、「有為転変」の意味や使い方、類語となる「諸行無常」などの仏語を解説します。

 地元に帰省して、両親や友人と久しぶりに顔を合わせた時などに、時の流れの速さを実感したことはありませんか? このように、物事が移り変わっていくことを「有為転変」と言います。本記事では、「有為転変」の意味や使い方、類語となる「諸行無常」などの仏語を解説します。

「有為転変」とは?

「有為転変」は、「ういてんぺん」と読みます。古くは「ういてんべん」とも読んだようですが、現在ではほぼ使われません。意味は以下のとおりです。

《「ういてんべん」とも》仏語。この世の中の事物一切は因縁によって仮に存在しているもので、常に移り変わっていくはかないものであるということ。「―は世の習い」

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「有為転変」とは、「世の中は、常に移り変わっていくはかないものであるということ」を表現した言葉です。物事はいろいろな条件や原因により、変化していくもので、「有為転変の世」などと表現されることもあります。季節の移ろいや、時の流れから、世の中の変わりようを実感した時に使われる四字熟語です。

「有為」は仏語で、因縁によって起こる現象のこと。仏教では、何らかの結果を引き起こす直接的な原因を「因」、それを外から促進させる間接的な原因を「縁」と捉え、すべてのものは因縁から生まれ、とどまり、変化し、最後は消滅すると考えました。

(c) Adobe Stock

使い方を例文でチェック!

「有為転変」は、世の中の移り変わりや人の暮らしに対して使われることがあります。使い方を例文で確認していきましょう。

1:住職は、「有為転変は世の習いである」とおっしゃった。

「有為転変」が会話の中で使われる際は、「有為転変は世の習い」と表現されることが多いです。「世の習い」とは、「世間で普通のこと、世間のならわしのこと」。つまり、「物事が常に変化していくことは、この世界で当たり前のことである」という意味になります。

2:現代は、まことに有為転変の世だ。

情報化社会である現代は、流行の移り変わりや世界情勢の変化が激しく、昔に比べると目まぐるしく身の回りのものが変化していることを実感する機会も多いでしょう。このような時代を例える時に、例文のように表現することができますね。

類語や言い換え表現は?

「有為転変」の類語には、同じく仏語である「諸行無常」「有為無常」「生々流転」が挙げられます。1つずつ意味をチェックしていきましょう。

1:諸行無常

「諸行無常(しょぎょうむじょう)」の意味は以下の通りです。

仏教の根本主張である三法印の一。世の中の一切のものは常に変化し生滅して、永久不変なものはないということ。

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

この世にあるすべてのものは常に変化しており、変わらないものはないという意味。平清盛を中心とする平家一族の興亡を描いた『平家物語』の冒頭にある、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」という一文でも有名ですね。平家のはかない運命と照らし合わせて、世の移り変わりを見て嘆く時などに使われることが多いようです。

(例文)
・荒れ果てた国を見て、諸行無常とはこのことかと実感した。

(c) Adobe Stock

2:有為無常

「有為無常(ういむじょう)」とは、「この世に変わらないものはなく、常に移り変わること」を言います。この世界で起きることは、因縁の絡み合いによって生じたものであるという考えで、「有為転変」とほぼ同義語として扱われます。

(例文)
・この世は有為無常であるため、いかなる変化も致し方ない。

3:生生流転

「生生流転」は、「しょうじょうるてん」もしくは「せいせいるてん」と読みます。意味を見ていきましょう。

万物が限りなく生まれ変わり死に変わって、いつまでも変化しつづけること。せいせいるてん。

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「生々流転」も仏教にまつわる言葉で、「輪廻の世界で次々と生を繰り返すこと」を指します。絶えず生まれては変化していく様は、この世に変わらぬものはないという「有為転変」の考えとも共通しています。「生々流転の世」などと表現されることがほとんどです。

(例文)
・人間も動物も皆、生生流転しております。

対義語は?

常に移り変わることを意味する「有為転変」の対義語としては、「決して変わることがないこと」が当てはまります。ここでは、2つの対義語を見ていきましょう。

1:万古不易

「万古不易」は「ばんこふえき」と読みます。意味は以下の通りです。

[名・形動]いつまでも変わらないこと。また、そのさま。「―の摂理」

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「万古不易」とは、「いつまでも変わらないこと」。世の中やある物事が永遠に変わらないことを意味する言葉です。「万古」は、「遠い昔から現在まで」、つまり「永遠や永久」ということ。「不易」は「いつまでも変わらないこと」を表します。物事は常に変化するものであると考える「有為転変」とは正反対といえますね。

(例文)
・この名画には万古不易の価値がある。

(c) Adobe Stock

2:永久不滅

「永久不滅(えいきゅうふめつ)」とは、「永遠になくならないこと」。「私たちの愛は永久不滅だと約束した」というように、永遠になくならないことを誓いあう時などに使われる傾向があります。変化することが常であるからこそ、人は変わらないものを求めてしまうのかもしれませんね。

(例文)
・このチームの友情は、永久不滅だと約束した。

最後に

「有為転変」とは、物事は常に移り変わっていくはかないものであるという意味です。今よりも時の流れが緩やかだったであろう昔でも、世の中の移り変わりに対して寂しさや諦めの感情を抱いていたことがわかりますね。

目まぐるしく状況が変わる現代では、前もって、「変化するのが当たり前だ」と心構えをしておくことで、予期せぬ出来事が起きた時でも冷静に、柔軟な対応がとれるかもしれません。「有為転変は世の習い」と思って、変化を前向きにとらえられるようになれるといいですね。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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