気がつけば、また同じことを考えてた…… ってことはありませんか?
せっかく楽しい時間を過ごしていても、心がふっと過去の暗い思い出にもっていかれたり、グルグル同じことを考えてしまったり…… 誰しも、そんな心ここにあらずの状態になることはあるはず。
そのような心の状態を脱して、自分がいま本当にやるべきこと、やりたいことができるようになる心理療法こそ、1980年代に米国で生まれ、WHO(世界保健機構)もストレス対策として推奨している“ACT”。
そこで、このACTの理論を豊富なイラストでわかりやすく解説している書籍『ACT 不安・ストレスとうまくやる メンタルエクササイズ』より、ACTの考え方や、自分でできるメンタルエクササイズをご紹介!
※書籍より一部引用・再編集してお届けします
前回(第2回目)の記事はこちら>>語尾に「と考えている」をつける【ネガティブ思考と距離をおく方法】
“妖怪マインド”の正体を見る
あなたの心に居座っている思考や感情はなんですか?
ACTでは、「今、ここ」とつながることが大切ですが、どんなに「今、ここ」とつながろうとしても、何度も繰り返し気にしてしまう思考や映像があるかもしれません。
それはあなたを苦しめ、怒りや悲しみといった強い感情を湧き立たせるもの。そこにとらわれ、ほかのことが考えられなくなるようなマインドです。
そういう思考をここでは「妖怪マインド」と呼びましょう。
あなたはその妖怪に取り込まれ、気づかないうちにその着ぐるみを着込んでしまっているのです。
でも、それと戦う必要はありません。追い出す必要もありません。着ぐるみを脱いでその姿を確認し、名前をつけるだけで十分。
そうすることで「これはマインドであって自分ではない」と気づくきっかけになるのです。
1. 「妖怪マインド」はどんなもの? 言葉? 映像? 音声?
普段何かをしているとき、あなたの思考を支配してしまうマインドはどんなものでしょう。それは言葉か映像か音声か、大きい音か小さい音か、色はどんな色なのでしょう。
2. 具体的に紙に書いてみましょう
その思考をよく観察してみてください。浮かんでくる具体的な声や言葉、エピソードなどをノートに書いていきましょう。映像であれば浮かんできたものを描いてみてください。
3. 「妖怪マインド」に名前をつけましょう
その思考に名前をつけてください。名前があると、次にその思考が表れたときに「あ、〇〇がやってきた」と思えるので思考にフュージョンされにくくなるのです。
名前は単純に「苦痛」「ネガティブ思考」「あの記憶」などで大丈夫です。
不快な気持ちが残っていても問題ない!
これは自分が気にしている感情の存在に気づき、洗い出し、それを客観的に見つめるエクササイズです。
その過程はつらいことも多く、言葉や絵にする精神的な負担感もあります。「やってみたけど気持ちは軽くならない」「つらい気持ちがよみがえった」ということもあるでしょう。
ですが、そもそも「脱フュージョン」は不安や不快感を消すためのエクササイズではなく、あくまで役に立たない思考や感情と自分を切り離す作業なのです。
それでもエクササイズを続けるうちに、「妖怪」がどんなに悪質なヤジを飛ばしたところで、聞き流せるようになるもの。不快感も減ってくることが多いようです。
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TOP画像/(c)Adobe Stock
『ACT 不安・ストレスとうまくやる メンタルエクササイズ』(武藤崇 著/主婦の友社)
ACTは、ストレス対策として、WHO(世界保健機関)も推奨する注目の心理療法。自分ですぐ実践できるよう、イラスト満載で、世界一わかりやすく解説した画期的な1冊です。