「火に油を注ぐ」とは?簡単に基礎知識を解説
「火に油を注ぐ」の読み方は、「ひにあぶらをそそぐ」です。文字からもイメージできるとおり、勢いのあるものにさらなる勢いを与えたようなときに用います。
それでは、火に油を注ぐとはどのような言葉なのか、基礎知識をさらに確認しましょう。ここでは、詳しい意味や語源・由来、使い方・例文を解説します。間違った使い方や実際に火に油を注ぐとどうなるのかも、あわせて確認しましょう。
意味は「悪い状況をさらに悪化させてしまうこと」
火に油を注ぐとは、勢いの激しいものに、さらに勢いを与えることをたとえた言葉です。多くの場合悪い状況をさらに悪化させてしまうことを表すときに使います。
状況をさらに悪化させてしまったのであれば、それが意図的にでも意図せずにでも、どちらの場合でも使用可能です。日常的な会話のほか、ドラマや映画などのセリフでも用いられています。
火に油を注ぐの語源・由来
火に油を注ぐの語源・由来は、紀元前に記された「ローマ建国史」のなかの一文だといわれています。ローマの歴史家のティトゥス・リウィウスによって書かれたものです。
火に油を注ぐの使い方・例文
それでは、火に油を注ぐの使い方を簡単な例文で確認しましょう。
・ケンカを仲裁しようとしただけだったが、軽率な発言をして火に油を注いでしまった。
・指摘された点を上司に言い訳したが、火に油を注ぐ結果となってしまった。
・相手がなぜ怒っているのかわからないままに謝ったら、火に油を注ぐように事態を悪化させてしまった。
このように、軽率な発言をしてしまうなどして、わざとではないものの火に油を注ぐ結果になってしまうこともあります。
火に油を注ぐの間違った使い方に注意
火に油を注ぐという表現を使う場合は、間違った使い方に注意しましょう。よくあるのが、使うシーンを誤ることです。
火に油を注ぐとは、勢いの激しいものにさらに勢いを与えることを表します。とはいえ、基本的に勢いを与えるのが悪い事態に関する事柄である場合に用いられる言葉です。
たき火のように有用な火や、よい意味で勢いがあるようなときにはあまり用いません。あくまでも、本来であれば消火をしなくてはいけないような火に関して使われる表現であると理解しましょう。
また、似た表現に「油紙に火が付いたよう」があるものの、これは「べらべらとよくしゃべるさま」のことです。意味が異なるため、使い間違いに注意しましょう。
実際に火に油を注ぐとどうなる?
もしも実際に火に油を注いだ場合、実はイメージと異なるような反応が見られます。油を熱し過ぎて火が付いている状態であえて油を注ぐと、冷えた油が入ったことによって温度が下がり、火が消えるのです。
この反応は、原子炉をコントロールしている制御棒の仕組みに似ています。
なお、火を使った実験を実際におこなうのは危険が伴うため、注意が必要です。
火に油を注ぐの関連語もチェック!
あわせて、火に油を注ぐの関連語もチェックしましょう。それぞれの言葉の意味などを解説します。
火に油を注ぐの類義語・言い換え表現
火に油を注ぐと言い換えが可能な表現は、以下のとおりです。
・事を荒立てる
・波風を立てる
・怒りに火をつける
・焚きつける
・たきぎに油を添える
事を荒立てるとは、「事態を混乱させて悪い方向に向けさせること」を指します。波風を立てるとは「騒ぎ・揉め事を起こすこと」です。事を荒立てると波風を立てるは、どちらもまだ悪い状況になっていない場合でも使える表現です。
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火に油を注ぐの対義語表現
一方、さらに勢いを与えることを意味する火に油を注ぐという言葉の対義語表現は、以下のようなものがあります。
・冷や水を浴びせる
・水を差す
・火消し
冷や水を浴びせるや水を差すとは「勢いをそぐこと」を意味していて、どちらも「水」に関する表現です。また、火消しとは言葉の通り「火を消すこと」を指します。
火に油を注ぐ人の特徴は?
ついつい火に油を注ぐような発言をしてしまうことも。たとえば、以下のような特徴のある人は、知らないうちに他人に嫌味をいってしまって、火に油を注ぐようなことになっているかもしれません。
・プライドが高い人
・完璧主義者で自分が正しいと思っている人
・自信がない人
・心に余裕がない人
もしも火に油を注いだ状態でなんとか相手を鎮めようとしても、むしろ逆効果になってしまいかねません。自分がしたことを受け止めたうえで、しばらく静観したほうがよい場合もあるでしょう。
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火に油を注ぐという言葉を正しく理解しよう
火に油を注ぐとは、悪い状況をさらに悪化させてしまうことを表したいときに使う言葉です。また、「油紙に火が付いたよう」という表現との意味の違いにも注意が必要です。
類義語・言い換え表現は、「事を荒立てる」「波風を立てる」など。また、対義語表現には「冷や水を浴びせる」などがあります。
言葉の詳しい意味や使い方、関連する表現などを確認し、正しく使える言葉を増やしましょう。
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