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有限会社と株式会社の違い、知っていますか?
「いいなと思う企業が有限会社だけど、株式会社との違いは何?」「有限会社と株式会社は働き方が変わるの?」など、疑問に思うことはありませんか?
転職情報サイトなどで目にする求人情報の会社名には、さまざまなものがあります。有限会社も会社の一つですが、株式会社との違いを知らない人も多いでしょう。
有限会社と株式会社には明確な違いがあります。両社の意味や違いを把握できれば、転職活動が有利に進むかもしれません。ぜひ参考にしてくださいね。
有限会社とは? 辞書で意味を確認
▷【有限会社】読み方:ゆうげんがいしゃ
商行為その他の営利行為を目的として、有限会社法によって設立された社団法人。平成18年(2006)の会社法施行に伴い、有限会社法は廃止され、法律上、従来の有限会社は株式会社となった。しかし会社整備法により、会社法施行以前から存続している有限会社については、特例有限会社として存続することもできる。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
有限会社の新規設立はできない
有限会社は、小規模ビジネスを始めやすい会社形態として知られていました。しかし、2006年の会社法施行により、最低資本金制度がなくなったことから、株式会社を設立するハードルが低くなったのです。
これにより、有限会社設立のメリットが薄れたことから、新規設立が廃止。すでに存在している有限会社に対しては、株式会社への変更、もしくは特例有限会社としての存続のどちらかを選ぶということになりました。
株式会社とは? 辞書で意味を確認
▷【株式会社】読み方:かぶしきがいしゃ
現代の代表的な企業形態の一。合名会社・合資会社・合同会社における持ち分にあたるものを株式の形式にし、株主は株式の引受価額を限度とする有限の出資義務を負うだけとなる。機関には、株主総会・取締役会・会計参与・監査役などがある。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
株式会社、その特徴は
多くの会社が株式会社の形態を取っていることもあり、「会社=株式会社」というイメージが浸透しているかもしれませんね。自社の株を多くの人に買ってもらい、それで資金調達をするのが株式会社。得られた利益は、株主に還元する仕組みになっています。
株式会社の大きな特徴としては、「経営と所有が分離している」ということがあるでしょう。株式会社の経営権を持つのは、株主。代表取締役などは、株主から会社経営を任されている人物になります。つまり、所有は株主、経営は経営者が担っているということです。
上場していない株式会社の中には、株主と経営者が同じというケースがあります。株主は経営者もしくは経営者一族が過半数以上の株式を保有しているわけですが、こういった会社は「オーナー企業」と呼ばれています。
有限会社と株式会社、会社の違いは
ここからは有限会社と株式会社の持つ特徴の違いを見ていきましょう。新規設立の可不可以外にも、さまざまな違いがあります。
有限会社は役員の任期制限がない
有限会社の場合、役員の任期制限がありません。そのため、役員の変更がない限り、登記手続きが発生しません。
一方の株式会社の役員には、任期が設けられています。非公開会社(株式の譲渡制限がある)であれば、最長10年まで任期を延長できますが、役員構成に変化がないとしても、任期満了時には登記手続きが発生します。
有限会社は株式の公開はできない
会社法施行前、有限会社は株式発行をすることができませんでしたが、施行後可能になりました。しかし、有限会社は株式を公開することはできません。
有限会社を存続会社にすることはできない
有限会社は、存続会社としての吸収合併や承継会社となる吸収分割をすることができません。消滅会社として、すべてを存続会社に引き継ぐための吸収合併や親切合併はできるとされています。つまり有限会社は、吸収合併を「される側」にしかなれないということです。
株式会社は、吸収合併などを「される側」にも「する側」にもなることができます。そのため、有限会社が「する側」になりたい場合は、会社形態を変更しておかなければなりません。
有限会社と株式会社、働き方の違いは
ここからは従業員として有限会社と株式会社で働いた場合の違いを見ていきましょう。
有限会社で働く場合
有限会社は、小規模事業を意識した会社形態のため、アットホームな社風の会社が多いかもしれません。また、トップと従業員の距離が近く、経営陣の抱くビジョンや理念を理解しやすい、経営陣が考えることをダイレクトに感じやすいという可能性もあるでしょう。
また、有限会社のまま、会社法施行前から安定経営を行っているという風にも考えられますので、安定性があるとも言えますよね。実際、社員数を増やし、企業規模を拡大している会社も存在しますから、会社形態だけで会社の規模感を推し量るのはNG。従業員数や拠点数など他の会社情報もしっかりと調べることをおすすめします。
デメリットになる可能性があるのは、役員の任期がないことかもしれません。任期がないことで、ワンマン経営になりやすいとされるからです。
株式会社で働く場合
株式会社での会社設立はハードルが低くなりました。株式会社を設立したい場合、最低資本金は1円、取締役は1名以上いれば、株式会社設立が可能です。そのため、代表取締役が1人でがんばっている小さな株式会社も存在します。
転職を希望する場合にチェックしたいこと
転職を考えていると、会社規模は気になりますよね。しかし今はめまぐるしく変化するのが当たり前の時代ですので、会社形態だけで安定性があるかどうかを判断しづらくなりました。
転職をするなら、会社形態よりも、業務内容や労働条件、その会社のトップが抱くビジョンに共感できるかどうかのチェックをおすすめします。
最後に
有限会社と株式会社には明確な違いがあります。特に大きな違いとなるのが、有限会社は新規設立ができないということです。一方で、株式会社は容易に設立できるようになったため、有限会社よりも小規模な会社も存在します。有限会社だから安定していない、株式会社だから安定しているとパッと見て判断するのはNG。会社情報をしっかり調べるようにしてくださいね。
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