「名は体を表す」の読み方と意味は?
「名は体を表す」ということわざを耳にしたことはありますか? 文字を見てなんとなく意味を理解できる方もいるかもしれませんね。実はこの言葉、意味は知っていても、読み方を間違えて覚えている人が多いのです。今一度、読み方や意味を確認していきましょう。
「名は体を表す」は「なはたいをあらわす」と読みます。「たい」の部分を「てい」と読み間違えるパターンが多いので、注意しましょう。意味は、言葉の通り「名前は実体をそのまま表す」ということ。私たちの周りにある物は、ほとんど名前が付けられていますよね。物だけでなく、人にも一人一人名前があります。
物や人につけられた名前は、そのものの性質やありのままの姿を表している。それが「名は体を表す」に込められた意味なのです。例えば、子供に名前を付ける時、私達は「このような人になってほしい」というような願いや希望を込めて命名するでしょう。その願いを持ちながら子育てをしたり、サポートしたりすることで、名前通りの姿に成長していくのです。
「名は体を表す」の由来を解説
次に「名は体を表す」の由来について、見ていきましょう。この言葉の由来には、仏教の概念が関係しているのだそう。詳しく解説していきますね。
この言葉の由来は、仏教の「名体不二(みょうたいふに)」という考え方に基づいています。「名体不二」とは、名称とそのもの自体が別々ではなく、切り離せないものであるということ。また、浄土教で「阿弥陀仏」という仏本体のことを「阿弥陀仏」という名称で示すことを言ったりもします。名前と本体を完全一体として考える仏教の概念が、「名は体を表す」の元になったのですね。
使い方を例文でチェック!
「名は体を表す」は、あまり日常会話の中で使われない言葉かもしれません。というのも、商品や人に対して名前を付ける時に使うことが多いからです。しかし、「名は体を表す」は褒め言葉として使うこともあります。正しい使い方を理解し、使えるシチュエーションを確認しておきましょう。
1:誠くんは誠実な性格で、まさに名は体を表すという言葉通りだ。
親は、子供一人一人に希望を込めて名前をつけます。「このような人になって欲しい」「こんな風に成長して欲しい」という親の思いを受けながら、子供は大きくなるでしょう。成長していく中で、親が環境を作ったりサポートをしたりするため、子供は親の願いを込めた名前通りに育っていくのかもしれませんね。
2:とても便利な商品だが、名前がいまいちで名は体を表すとは言えない。
いくら商品の質や機能が良くても、人々の関心や興味を引くようなネーミングをつけなければ売れにくいでしょう。それほど名前と本体は切り離せないものなのです。皆さんも何か買い物をする時に、その製品のキャッチコピーに惹かれて購入した経験はありませんか? 私達が思っている以上に名前が持つ影響力というのは大きいのかもしれませんね。
3:名は体を表すと言うから、名前負けしないように努力しよう。
名前負けとは、名前が立派すぎるゆえにかえって実物が劣って見えること。先ほどは、名前より商品の方が優れているというパターンでしたが、今回はその逆で、名前の方が先走りしているようなイメージでしょう。
例えば子供の名前を付ける時、できるだけ華やかな名前をつけたくなるかもしれませんが、子供にとってはプレッシャーにもなりかねません。「名は体を表す」とは、名前と本質のどちらもが同じレベルであることを前提としているのです。
類語表現には何がある?
次に「名は体を表す」の類語表現について見ていきましょう。類語表現としては、「名詮自性(みょうせんじしょう)」「看板に偽りなし(かんばんにいつわりなし)」が挙げられます。詳しい意味について見ていきましょう。
1:名詮自性(みょうせんじしょう)
「名は体を表す」と全く同じ意味で使います。「詮」は明らかにするという意味の漢字であり、「自性」はそのものの性質や本質を表すという意味。よって「名詮自性」は「名前がその本質を明らかにする」というニュアンスで使います。
2:看板に偽りなし(かんばんにいつわりなし)
看板に書いてあることと、そのものに偽りがないことから、外見や公言していることと実物とが一致していることを言います。昔から、看板に書かれる内容は誇大なものが多かったそう。そのため、書いてある通りに信用できる看板を見つけた時に、この表現が使われていたと言います。
「名は体を表す」を英語で言うと…?
最後に英語表現について見ていきましょう。「名は体を表す」は「Names and natures do often agree.」と表現されることが多いです。「名前と性質はしばしば一致する」という意味の英文ですね。この場合の「agree」は賛成を表す単語ではなく、「一致する」というニュアンスで使います。
最後に
「名は体を表す」は「名前は実体の本質をそのまま表す」という意味でした。会話の中で使う機会は少ないかもしれませんが、例文を参考に使い方を確認しておきましょう。「名前負け」という言葉があるように、私達は普段から、意外と名前に着目しています。「中身が良ければなんでもいい」というわけにもいきませんので、人や物に名前を付ける時には慎重になるべきかもしれませんね。
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