「従事」という言葉の意味を知っていますか? 最近では、新型コロナウイルスの影響によって、「医療従事者」などの言葉を、ニュースで耳にした機会がある方も、多いでしょう。
この「従事」という言葉ですが、詳しい意味を聞かれると、自信がないという方も、いらっしゃるのではないでしょうか? 特に、日常会話では、あまり使われない言葉なので、「聞いたことはあるけど、なんだか難しい言葉」という印象をお持ちの方も、いらっしゃるかもしれませんね。
そこで、この記事では、従事の意味や使い方、言い換え表現や、英語での言い方を解説します。ビジネスシーンでは、よく使われる言葉ですので、ぜひチェックしてみてくださいね。
従事の読み方と意味は?
まずは、従事の読み方と意味を見ていきましょう。
従事の読み方は、「じゅうじ」です。従事の意味は、簡単にいうと、ある物事に仕事として関わること。従事は、転職活動の際などに使われることの多い言葉です。例えば、履歴書や職務経歴書に、自分の職歴を書くことがありますよね。この際、「経理業務に従事」などと書くことがありますよ。
従事の使い方は?
ここからは、従事という言葉の使い方を、一緒に見ていきましょう。
1:従事者
「従事者」は、ある分野において、仕事として関わっている人を指す言葉です。新型コロナウイルスの流行によって、ニュースや新聞などで、「医療従事者」という言葉を見聞きしたことがあるという方も、多いのではないでしょうか?
医療従事者とは、医師や看護師をはじめ、医療に関わる仕事をしている人を広く指す言葉です。従事者という表現は、医療従事者以外にも、例えば、農業従事者や、介護従事者など、さまざまな分野で使われることがありますよ。
2:従事する
従事には、「従事する」という、動詞としての使い方もあります。転職活動の際、自分の職歴を説明する際に、「前職では、人事労務の業務に従事していました」などと表現することも。従事という言葉を使うと、「人事労務の仕事をしていました」というより、かしこまった印象になるでしょう。
なお、従事は、前述の通り、ある物事に対して、仕事として関わっているという意味合いがあります。ですので、趣味など、プライベートの事柄では、あまり使われることはないでしょう。
使い方によっては、思わぬ誤解を招いてしまうことも。例えば、趣味でガーデニングをしている人が、「ガーデニングに従事しています」と言うと、どうでしょうか? この場合、多くの人が、趣味としてではなく、仕事だと捉えてしまうでしょう。場合によっては、「園芸業者の人なのかな」なんて誤解をしてしまうこともあるかもしれません。
従事は、原則、仕事に関わることで使うことが多いという点も、押さえておきたいですね。
「携わる」との違いは?
従事と似た言葉に、「携わる」という言葉があります。これらの意味の違いがよくわからないという方も、多いのではないでしょうか?
例えば、転職の面接などで、「従事していました」というのか、「携わっていました」というのか、どちらか迷うということもあるかもしれません。そこで、ここからは、意味やニュアンスの違いを見ていきましょう。
まず、従事という言葉は、「携わる」より、「その仕事を専門にしている」というようなニュアンスが強くなります。例えば、「経理業務に従事していた」というと、主に経理を専門として仕事をしていたというイメージですね。
一方、携わるというと、「関係していた」という意味になります。ですので、複数のプロジェクトに関わっていた場合などでも使うことができますよ。例えば、「Aプロジェクトに合わせて、Bプロジェクトにも携わっていました」というイメージですね。必ずしもそれを専門にしていたわけではなく、一部関わっていた場合は、「携わる」という表現の方が、自然になるでしょう。
また、「前職では、イベント企画の業務に従事していました。また、企画部の人材採用業務にも携わったことがあります」という言い方をすることも。このように、専門としている業務には、「従事」という言葉を使い、他に関わった仕事に対して、「携わる」という言葉を使うこともあります。
もちろん、日常のビジネスシーンにおいては、「絶対に、こう使い分けなければいけない」というような、厳密な決まりがあるわけではありません。ですが、「携わる」より、「従事」の方が、「それを専門としている」というニュアンスが強い、ということを押さえておくと良いですね。
英語での言い方は?
従事は、英語ではどのように表現できるのでしょうか? 普段あまり英語を話さないという人も、将来的に自分の職歴を、英語で説明する機会があるかもしれません。そこで、ここからは、英語での表現方法を、いくつかピックアップして、解説します。
1:engaged in
「従事する」は、「engaged in 〇〇(業務に関すること)」で表すことができます。「engage」と聞くと、「エンゲージリング」など、結婚に関わることをイメージする方も多いかもしれませんね。ですが、「engage」は、何かに従事する、関係するという意味がありますので、ビジネスシーンでもよく使われます。例文も見ていきましょう。
例文:I am engaged in customer service.
意味:私は、カスタマーサービスの業務に従事しています。
2:work on
「work on 〇〇」は、「あることに取り組んでいる」という意味を表し、従事という意味になることも。例文も見ていきましょう。
例文:I am working on the construction of buildings.
意味:私は、ビルの建設業務に従事しています。
3:be動詞+職業
従事というと、少し堅い印象がありますが、英語でシンプルに、従事している仕事を説明したい時は、「be動詞+職業を表す名詞」という言い方もありますよ。自己紹介などで、自分の職業を説明する時は、こういうシンプルな表現の方が、自然ですね。
例文:I am a high school teacher.
意味:私は、高校教師です。
ここまでは、従事の英語表現を、いくつかピックアップして解説しました。なかなか直訳が難しい言葉ですが、職業として何かに関わっているという場合、色々な言い方ができるようにしておくと、表現の幅が広がりますね。
最後に
この記事では、従事の意味や、読み方に加えて、「携わる」との違いや、英語表現などを解説しました。従事は、日常会話では、あまり聞き慣れない言葉かもしれませんね。ですが、ニュースや、ビジネスシーンでは、使われることのある表現ですので、正しい意味や、使い方を押さえておくと安心でしょう。
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塚原美彩(つかはらみさ) 塚原社会保険労務士事務所代表
行政機関にて健康保険や厚生年金、労働基準法に関する業務を経験。2016年社会保険労務士資格を取得後、企業の人事労務コンサル、ポジティブ心理学をベースとした研修講師として活動中。HP:塚原社会保険労務士事務所 ライター所属:京都メディアライン