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2023.09.19

「レガシー」とはどういう意味?言葉の由来や2つの意味、使い方と例文を紹介

レガシーとは、遺産や次世代へと受け継がれるものという意味です。一方で、時代遅れといったネガティブな意味で使われることもあります。本記事では、レガシーの意味や言葉の由来を解説します。レガシーを使った例文もご紹介するため、参考にしてください。

レガシーとは?

レガシー(legacy)は、英語では「遺産」という意味です。もともと亡くなった人が遺したものを指しますが、日本語のレガシーは「過去に築かれ、受け継がれていくもの」という意味で使われます。また、レガシーは「時代遅れ」という意味で使われる場合もあります。

相続遺産イメージ
(c)Adobe Stock

ここでは、レガシーの語源や意味をみていきましょう。

言葉の由来

レガシーは英語の「legacy」が由来ですが、legacyはラテン語の「legatus」を語源としています。

日本語のレガシーが使われるきっかけとなったのは1980年代で、「レガシィ」の名を付けた車が販売されたことから始まります。その後、IT分野でレガシーシステムという言葉が使われるようになりました。

2つの意味がある

レガシーは遺産や伝統、過去から受け継がれるものという意味のほか、「時代遅れ」という意味もあります。

2つ目の意味は、IT分野で使われ始めた言葉です。技術の進歩が激しいIT業界でシステムが時代遅れになるのは速く、「負の遺産」という意味でレガシーが使われるようになりました。

また、経営分野でも、過去から引き継がれて経営を圧迫する要因になっている費用を「レガシーコスト」と呼んでいます。

たとえば、企業が退職者に対して支払い続ける年金や医療費など、過去に設けられた制度に従って継続的に発生する金銭的負担を指します。

レガシーを使った言葉

レガシーは、さまざまな使い方をします。「未来に引き継ぐ」という意味で「レガシーを残す」「レガシーを作る」という使い方もそのひとつです。

また、航空分野では格安航空会社・LCC(ローコストキャリア)に対して従来の大手航空会社のことを「レガシーキャリア」と呼びます。

さらに、レガシーを使った言葉についてみていきましょう。

オリンピック・レガシー

国際オリンピック委員会(IOC)が定めるオリンピック憲章には「オリンピック競技大会の良い遺産(レガシー)を、開催都市ならびに開催国に残すことを推奨する」という内容の文言があり、そこから「オリンピック・レガシー」という言葉が生まれています。

オリンピック開催後に残る、有形無形のものを指す言葉です。オリンピックを契機として、スポーツだけでなく社会や環境、経済などの分野で長期的に残っていく有益性の高い影響がレガシーであるとしています。

その中には競技施設のような有形のものもあれば、経済効果や知名度といった無形のものも含まれます。

レガシーシステム

前の項目でも登場したレガシーシステムは、新しい技術が登場して時代遅れになったシステムを指します。

具体的には1980年代に多くの企業が導入したシステムであり、メインフレームと呼ばれる大型コンピュータや、それを小型化したオフコン(オフィスコンピュータ)と呼ばれるコンピュータを使ったシステムのことです。

レガシーシステムの多くは、企業において重要な役割を果たしています。しかし、運用や維持・管理には多くのコストがかかり、新しい技術や基準との互換性もありません。

システムの更新や改善も困難で、また古いプログラミング言語やハードウェアが使用されているシステムも多く、専門知識を持つ人材の確保も難しい状況にあります。

経済産業省によると、約8割の企業がいまだにレガシーシステムを抱えているのが現状です。IT人材が不足する中でレガシーシステムの保守・運用に時間や手間がかかり、「貴重なIT人材の浪費につながっている」と指摘されています。

古いコンピューター
(c)Adobe Stock

参考:経済産業省「DXレポート」

レガシーの使い方・例文

レガシーを実際にどのように使うか、例文をみてみましょう。

(遺産や伝統という意味)

・その政治家は、引退を前にしてレガシーの創出に努めている

・1964年の東京オリンピックは、新幹線など多くのレガシーを残した

(時代遅れという意味)

・我が社のレガシーシステムは、最新のシステムに一新されなければならない

・レガシーな考え方のままでは、これからの社会に受け入れられなくなる

レガシーの言い換え表現

レガシーには、いくつかの言い換え表現があります。よい意味のレガシーは、「遺産」「伝来のもの」「業績」などに言い換えが可能です。

一方、否定的な意味の言い換えでは、「負の遺産」「過去の遺物」「古びた」といった表現があげられます。

ここでは、レガシーの言い換え表現について、良い意味・悪い意味に分けてみていきましょう。

良い意味の言い換え

レガシーの良い意味での言い換えには、「業績」「功績」「金字塔」などがあげられます。過去に築いたものを称えるという意味合いです。

ポジティブ・ネガティブのニュアンスはなく、中立的に「受け継いできたもの」という意味で、「遺産」「財産」「既存の」「従来型の」という言葉に言い換えもできます。英語の「legacy」に近い使い方です。

悪い意味の言い換え

レガシーの悪い意味・否定的な意味の言い換えは、「負の遺産」「過去の遺物」「時代遅れ」「旧式」などがあげられます。現代では通用しないといった意味で、英語「legacy」とはかけ離れた日本語独自の意味合いです。

このうち、負の遺産は、引き継ぐ側にとって重荷や足かせとなるもの、あるいは戒めとして心にとどめるべきものという意味です。

これに関連したものに「負の世界遺産」があります。二度と繰り返してはならないという教訓の意味を込めて登録された世界遺産のことです。代表的なものに「アウシュヴィッツ・ビルケナウ ナチス・ドイツの強制収容所」や「広島平和記念碑(原爆ドーム)」があげられます。

レガシーの2つの意味を正しく覚えよう

レガシーには「功績」や「伝統」など過去から受け継がれるものという意味があり、これとは別に「時代遅れ」というネガティブな意味もあります。使うシーンや対象によって意味合いが異なるため、意味を理解して正しく使わなければなりません。

2つの意味にはそれぞれ言い換え表現があるため、一緒に覚えてレガシーの理解を深めましょう。

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