目次Contents
この記事のサマリー
・「ダブスタ」は「ダブルスタンダード」の略で、二重基準を意味します。
・政治や職場、日常会話など幅広い場面で批判や皮肉として使われます。
・「ダブスタな人」には感情的に反発せず、冷静に事実を共有することが大切です。
「ダブスタ」という言葉を耳にしたことはありますか? SNSや職場で「それってダブスタじゃない?」と指摘される場面も増えてきました。意味を曖昧に理解したままでは、相手を傷つけたり、自分が誤解されてしまうリスクもあります。
この記事では、「ダブスタ」の意味や日常での使い方に加え、「ダブスタな人」と関わるときのスマートな対処法までを解説します。知識を整理することで、言葉選びの精度を高めるだけでなく、職場や人間関係を円滑にするヒントにもつながるはずです。
「ダブスタ」とは?|意味と由来を整理
「ダブスタ」は「ダブルスタンダード」の略で、状況や相手によって基準を変えることを指します。まずは辞書で定義と英語の由来を確認し、日常的にどう使われるかを整理しましょう。
「ダブスタ」の意味
辞書には以下のように記されています。
ダブ‐スタ
「ダブルスタンダード」の略。
ダブル‐スタンダード【double standard】
仲間内と部外者、国内向けと外国向けなどのように、対象によって異なった価値判断の基準を使い分けること。二重基準。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「ダブスタ」とは、同じ物事でも相手や場面によって態度や基準を変えることを指します。
例えば、上司がお気に入り社員だけを優遇するケースや、政治家が昨日と言っていることを変えるような状況が典型的な例です。
友人やパートナーとの間でも、「○○さんはいいのに、私はダメなの?」といったように、相手によって基準が変わることで「ダブスタ」と感じる場面があるかもしれません。
ちなみに、英語の “double standard” を直訳すると「二重の基準」です。社会的な矛盾を批判する際や、人間関係の不信感を表す場面でよく使われます。
「ダブスタ」を使う場面
実際に「ダブスタ」という言葉は、私たちの身の回りのさまざまな場面で耳にします。
政治家の過去の発言と現在の主張が矛盾しているときや、職場で上司の評価基準が人によって違うときなど、「ダブスタだ」と批判されることがあります。また、SNSでも、芸能人や企業の対応が「ダブスタでは?」と指摘されることは少なくありません。
筆者自身、以前働いていた職場で、上司が「これからは効率重視でいこう」と号令をかけた翌週に「いや、丁寧さが一番大切だから」と全く違う基準を示し、チームが混乱した経験があります。
このように、一貫性のない「基準の不一致」に直面すると、私たちは強い違和感を覚えるものです。だからこそ「ダブスタ」という言葉が、共感を呼ぶ言葉として使われやすいのかもしれませんね。

「ダブスタ」の使い方を例文で確認
「ダブスタ」という言葉は、相手や状況を批判したり、皮肉を込めたりする際に使うことがほとんどです。次は、実際に「ダブスタ」という言葉をどのように使うのか、シーン別の例文で確認してみましょう。
ここでは、政治・ビジネス・日常会話の3つの場面から、具体的な使い方を紹介します。
「あの政治家はダブスタな発言ばかりで、国民の批判が集まっている」
過去の発言と今の主張が食い違っていたり、相手によって態度を変えたりする政治家に対して「ダブスタ」と表現することがあります。特に公の場では、発言に一貫性がないことは大きな不信感につながるため、批判的な意味で使うことが多いです。
討論番組やニュースを見ていて、「この人、前と言っていることが違う…」と感じたことはありませんか? そんな時に、「まさにダブスタだ」と表現することができます。
「ダブスタな上司がいる部署では、社員のストレスが蓄積している」
評価基準や指示が人によって変わる上司に振り回されると、部下は不公平感を抱きがちです。
例えば、上司が「残業は減らそう」と言いながら、自分は夜遅くまで働き続けて部下にも対応を求めるような言動は、職場のモチベーション低下につながります。
「この前は褒められたのに、今回はまったく逆の理由で注意された…」そんなモヤモヤした気持ちを表現したい時に、「あの人、ダブスタだよね」と使うことができます。

「この間の話と矛盾してない? それってダブスタじゃない?」
友人同士やSNSでのやり取りなど、カジュアルな場面でも「ダブスタ」はよく登場します。相手の発言が前回と矛盾していたときや、状況によって態度を変えたときに、軽いツッコミとして「ダブスタだよね」と言うことができます。
例えば、「さっきダイエットするって言ってたのに、ケーキ食べてる。ダブスタだね!」というように、批判的というよりも、冗談交じりに指摘する使い方もできます。
「ダブスタ」だけじゃない! 言い換え表現で言葉のセンスを磨く
「ダブスタ」と同じように、「矛盾」や「基準の不一致」を示す言葉はいくつかあります。場面や相手によって使い分けることで、あなたの言葉はもっと洗練された印象になりますよ。
ここでは、会話や文章で役立つ代表的な2つの言い換え表現を紹介します。
「二枚舌(にまいじた)」
「二枚舌」は、矛盾したことを言ったり、嘘をついたりすることを指します。「ダブスタ」と似ていますが、「二枚舌」は人の不誠実さや裏切りといった、より強い非難の意味を含む点が特徴です。
例えば、「彼は二枚舌だから、あまり信用できない」と言うときは、相手の人柄そのものを批判する意味合いになります。
「二律背反(にりつはいはん)」
「二律背反」は哲学用語で、両立できない二つの命題が同時に成立するように見える状態を指す言葉です。
日常会話ではあまり使われませんが、「効率的に、かつ丁寧に仕上げてほしい」といった、お互いに相反する要求をされたときなどに「これは二律背反だね」と表現することができます。
「ダブスタ」が相手の言動を批判する際に使われることが多いのに対し、「二律背反」は状況そのものの矛盾を指摘する際に用いるため、より知的で理論的な印象を与えたいときに役立つでしょう。
「ダブスタ」の対義語は? 筋の通った姿勢を表す言葉
「ダブスタ」が基準の一貫性のなさを意味するのに対し、最初から最後まで筋が通っていることを表す言葉もあります。ここでは代表的な2つの言葉を紹介します。
「首尾一貫(しゅびいっかん)」
「首尾一貫」は、方針や考え方などが始めから終わりまで変わらず、筋が通っていることを表します。
例えば「彼の論理は首尾一貫している」と言うと、その考えに一貫性があり、論理的であることを強調できます。また、ビジネスの場でも「首尾一貫したプロジェクト運営」といえば、信頼性や安定感をアピールする表現になります。
「終始一貫(しゅうしいっかん)」
「終始一貫(しゅうしいっかん)」は、態度や状態などが、始めから終わりまでずっと変わらないことを意味します。
「首尾一貫」とほぼ同じ意味で使われますが、こちらはより「態度や姿勢」の一貫性に重きが置かれることが多いです。例えば、厳しい状況でも「リーダーは終始一貫して意見を曲げなかった」と言うと、その強い信念やブレない姿勢が伝わります。
「ダブスタな人」に振り回されないための対処法
職場や友人関係で「ダブスタな人」に直面すると、振り回されて疲れてしまうことがありますよね。特に、評価基準や指示が人によって変わる上司のもとでは、不公平感が高まり、モチベーションも下がってしまいがちです。
ここでは、そんなモヤモヤから解放されるための具体的な対応法を2つ紹介します。
矛盾を「事実」として冷静に伝える
「ダブスタだ!」と感情的に反論するのではなく、まずは「事実」として状況を共有することが大切です。
例えば、「AさんとBさんとでは指示内容が少し違うようです」と、客観的に伝えるだけで、相手に「あれ?」と気づきを与えることができます。事実を冷静に伝えることは、余計な誤解や対立を避けるための第一歩になります。
直接的な批判は避ける
「ダブスタだ」と直接指摘すると、人間関係に余計な摩擦を生む可能性があります。そんな時は、正面からの批判は避けて、角が立たない方法を選びましょう。
例えば、メールなど記録が残る形でやり取りをしたり、「確認なのですが、先日のご指示と今回の内容に違いがあるようです」と柔らかく尋ねるだけでも効果的です。相手も冷静に考え直すきっかけになり、スマートな解決につながるはずです。

そのほかに関連する言葉は?
「ダブスタ」という言葉は、ファッションブランド名やアニメのセリフ、スラングとして、私たちの身の回りで意外な使われ方をしています。ここでは、そんな関連語をいくつか紹介します。
ファッションブランド名にも!「DOUBLE STANDARD CLOTHING」
「DOUBLE STANDARD CLOTHING(ダブルスタンダードクロージング)」は、1999年に日本で生まれたファッションブランドです。全国に店舗を展開しており、幅広い層に愛されています。ちなみに、メンズブランドとして「D/him(ディーヒム)」もありますよ。
アニメの流行語に?「ダブスタ クソ親父」
「ダブスタ クソ親父」は、テレビアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に登場するミオリネ・レンブランが、当初のルールを急に変えた自身の父親に対して言ったセリフです。父親を批判する意味合いが込められており、アニメの流行語としてSNSなどでも使われました。
人間関係のモヤモヤを表す「ダブスタ系女子」
「ダブスタ系女子」とは、そのときの気分や状況、相手によって言うことが変わってしまう女性のことです。言っていることが一貫しておらず、周りを振り回してしまうため、「面倒」「厄介」と思われてしまうことも…。
「ダブスタ」に関するFAQ
ここでは、「ダブスタ」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「ダブスタ」と「二枚舌」は同じ意味ですか?
A. いいえ。
似ていますが完全に同じではありません。「二枚舌」は「嘘をつく、不誠実な態度」の意味が強く、人格批判に近い言い方です。一方「ダブスタ」は「基準が一貫しない」という行動や態度の矛盾を指す表現です。
Q2. ビジネスメールで「ダブスタ」という言葉を使ってもいいですか?
A. いいえ。
ビジネスメールで「ダブスタ」と書くのはカジュアルすぎるため避けるのが無難です。公的な文書では「評価基準に一貫性がない」など、よりフォーマルな表現に言い換えるのが適切です。
Q3. 「ダブスタ」の英語表現はありますか?
A. “double standard” です。
「二重基準」という意味を持ち、国際的なニュースや政治批判の文脈でもよく用いられる表現です。
最後に
「ダブスタ」は、相手や状況によって基準を変えることを意味し、日常会話から政治、ビジネスの場面まで幅広く使う言葉です。便利な一方で、相手を非難する意味が強いため、使い方を誤ると人間関係が悪化するおそれもあります。
また、もし職場や人間関係で「ダブスタな人」に直面したときには、感情的にならず冷静に事実を共有することが大切です。今日からでも試せる実践的な対応法として、ぜひ覚えておいてください。
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