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幸せであることを表す「ご多幸」
メールや年賀状、スピーチなどで見聞きする「ご多幸をお祈りいたします」。意味は何となくわかっても、適切な使い方は知らないという人も多いでしょう。メールや年賀状でこの言葉を使いたいけれど、上司や目上の人に向けて使っていいか、迷うことはありませんか?
丁寧さを感じさせる「ご多幸」はイメージも良く、フォーマルなシーンでもよく使われます。さまざまなシーンで使うことができるので、意味を知り、適切に使えるようにしたいですね。
「ご多幸」は「非常にしあわせなこと」を表す
「ご多幸」の「多幸」を辞書で調べると、以下の意味があることがわかりました。
▷【多幸】読み方:たこう
非常にしあわせなこと。また、そのさま。
《デジタル大辞典》(C)Shogakukan Inc.より引用
文字通り、非常に幸福な様子を示す「ご多幸」は、相手が幸せであることを祈る形で使われます。誰に対しても使える言葉ですので、上司や目上の方に使うのも問題ありません。
単独で使うというよりも、「ご多幸」の後に「お祈りします」などの言葉が続くことがほとんどです。
「ご多幸」は結びの一文に適している
「ご多幸」は、あらたまったメールや手紙、文書、スピーチなどでもよく用いられます。結びの一文として、締めくくりに使うのが一般的で、「ご多幸をお祈りいたします」や「ご多幸をお祈り申し上げます」のように使うことが多いでしょう。
ビジネスの場では、プロジェクトなどが終わった際、しばらく会わなくなる相手に送るメールでよく使われています。
例文で解説! ビジネスシーンで「ご多幸」はどう使う?
「ご多幸」の意味が確認できたので、ここからは実際の使い方をチェックしましょう。例文も紹介しますので参考にしてくださいね。
異動や退職の時
《例文》
・〇〇様のご多幸をお祈り申し上げます
・チームの皆様のさらなるご多幸を心よりお祈りいたします
「ご多幸」は、異動や退職時の挨拶でもよく使われます。一緒にがんばってきたスタッフや上司に向け、感謝の気持ちをしっかり込め、「ご多幸」を使うといいですね。
また、担当者変更の際、取引先の担当者に向けて使うのもOK。お世話になったことへの感謝とともに、心を込めて伝えたいですね。
ビジネスメール
《例文》
・末筆ながら、〇〇様のご多幸を心よりお祈り申し上げます
・〇〇さんのますますのご活躍とご多幸をお祈り申し上げます
取引先に送るビジネスメールでも「ご多幸」を使うことが可能。特に、仕事の区切りがつき、お礼のメールを送る際、結びの言葉としてよく用いられます。
また、採用の合否を伝える際も、使われることがあります。特に、採用見送りを伝える「お祈りメール」では、使われることが多いでしょう。
挨拶やスピーチ
《例文》
・この場にお集まりいただいた皆様のご多幸を祈念し、結びの言葉とさせていただきます
・ご参加いただいた皆様のますますのご多幸をお祈り申し上げます
何かしらの式典やパーティーで挨拶やスピーチをする際、最後を締めくくる言葉として「ご多幸」を使います。この言葉を使うことで、場をグッと引き締めることができるでしょう。
例文で解説! 日常生活で「ご多幸」はどう使う?
日常生活では「ご多幸」をどのように使うのでしょうか? 一緒にチェックしましょう。
年賀状
《例文》
・ご家族の皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます
・本年も皆様のご多幸を心よりお祈りいたします
「ご多幸」をよく見るのは年賀状という人も多いでしょう。「ご多幸」はご家族全員に向けても使えますので、年賀状にこの言葉を添えるといいですね。
メール・手紙
《例文》
・末筆ながら、〇〇さんのますますのご活躍、ご多幸を祈っています
・末筆ではございますが、貴殿のご多幸を心よりお祈り申し上げます
お世話になった人に送るメールや手紙でも、結びの一文として「ご多幸」が用いられます。特に、なかなか会えない相手には、相手が幸せであることを願う気持ちをしっかり伝えたいですね。
結婚式
《例文》
・新郎新婦のさらなるご活躍とご多幸をお祈りいたします
・最後に、両家の皆様方のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げ、私の挨拶とさせていただきます
結婚式や披露宴など、おめでたい席でのスピーチや乾杯の挨拶でも、「ご多幸」を使います。新郎新婦とその家族、出席者の幸せを願い、結びの言葉とすることが多いでしょう。
「ご多幸」を使う際のポイント
「ご多幸」は目上の人やフォーマルな場でも使えるため、使い勝手がいい言葉ですが、実は注意しなければならないこともあります。
「ご多幸」は何かしらの節目で使う
「ご多幸」を使うのは、何かしらの節目で使うことがほとんど。異動や退職、結婚、仕事の区切りがついた時、年始などのタイミングで使うのが適しています。そのため、日頃から多用するのは不向き。普段のメールのやりとりなどで使うのも適さないでしょう。
企業や団体に対しては使わないのがベター
「ご多幸」を使う時に注意したいのが、幸せはあくまでも個人の主観で感じるものである、ということ。そのため、企業や団体、組織に対して使うのは適しません。
企業などには、幸せではなく、発展や成長を祈るのが一般的。誤用することがないよう、注意してくださいね。
「ご多幸をお祈りします」への返事は?
結びの言葉として「ご多幸をお祈りします」と言われた場合は、返事をする必要はありません。相手も、返事を期待して伝えるわけではないため、気にしなくていいでしょう。
もし、返事をしたい場合は、「お気遣いいただきましてありがとうございます」と、相手の気遣いや心遣いに対して感謝を伝えるといいですね。相手に同じような意味合いの言葉を返したい時は、「ご多幸をお祈りします」とは別の表現を使うことをおすすめします。
《返事の例》
・「お気遣いいただきましてありがとうございます。〇〇様におかれましても、どうぞご自愛ください」
最後に
「ご多幸」は、非常に幸福であることを表す言葉です。「お祈りいたします」などの表現をつけ、相手が幸せであることを祈るのが一般的。また、文章や挨拶、スピーチの締めくくりにもよく用いられています。丁寧さを感じさせる表現のため、目上の方やフォーマルな場で使うのもOK。ただし、企業や団体、組織に対して使うことはしませんので、誤用しないよう注意してくださいね。
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