目的と目標の違いは?
「目的も目標も同じことでは?」と思う方も多いのではないでしょうか? ビジネスにおいては、目的と目標の違いを知っておくことが重要です。違いをしっかり理解すれば、業務の取り組み方が変わり、高いモチベーションを保つことができるかもしれません。本記事では目的と目標の違いや、目標達成方法、メリットをわかりやすく解説します。
目的と目標をわかりやすく表すと、このようになります。
・目的:最終的に到達したい事柄
・目標:目的を達成するための指標
簡単に言うと、「目的」という最終地点があり、それに達するまでの間に設定される指標が「目標」です。つまり、目的は長期的に定めるもの、目標は複数ケースあり、短期的に設定されるものと言えます。
マラソンで見てみましょう。完走を目的とすると、そのためにはペース配分や給水のタイミングが必要となってきますね。これが目標にあたります。
ビジネスにおいては、マネージャーになりたいという目的がある場合、「1年目から売上トップになる」「売上トップになるために、毎日50件テレアポをする」ということが目標の具体例となります。
こうして考えてみると、あまり意識して使い分けていない言葉かもしれませんね。しかしながら、ビジネスにおいては、使い方を間違うと誤解や不信感を生む可能性も考えられます。こうなりたい! という姿に向けて、目標を設定し、1つずつ着実にクリアしていけば、ゴールである目的を達成できるようになるでしょう。
どんな目標達成方法があるの?
目的に到達するためには、指標となる目標を達成することが重要ですね。ここでは3つ紹介します。
1:SMART
SMARTとは、目標設定の手法の1つです。重要なのは誰が見てもわかりやすい目標設定になっているということ。大切な要素が5つあり、その頭の文字をとっています。
・Specific(具体的か)
具体的な表現や言葉で表し、誰が読んでもわかる
・Measurable(測定可能か)
内容を定量化(数字で表す)し、達成度合いが一目でわかる
・Achievable(達成可能か)
目標が達成できる現実的な内容か確認する
・Realistics(現実的か)
目標が現実的かどうかを確認する
・Timed(期限が適当か)
いつまでに達成するか、期限を設定する
SMARTを活用すれば、目標達成の近道になりそうですね。適切な目標設定はモチベーションの安定にもつながります。
参考:『プログレッシブ ビジネス英語辞典』
2: マンダラチャート
マンダラチャートは、縦横に区切った四角いマスの中に、内容を記入していく目標達成のためのフレームワークです。縦横3つの合計9マスのパターンがよく使われます。メジャーリーガーの大谷翔平選手が高校生の頃から、マンダラチャートを活用していたことが知られていますね。
真ん中の1マスに目標を書き、その周囲のマスに、目標を達成するためにやるべきことを書き込んでいきます。
名前の由来は、密教 (仏教の中の一部)の世界を表した、曼荼羅(まんだら)。この曼荼羅の絵は、細かくマス目を埋めていくところから、マンダラチャートという名前がつきました。マンダラチャートを用いると、目標達成のために何をすべきかが、明確になるので、アクションを起こしやすいと言えます。
3:目標管理制度(MBO)
MBOは「Management by Objectives」のこと。会社と社員の方向性を擦り合わせ、目標設定を社員自らが設定できるようにする、マネジメント手法です。各々の社員に目標を設定し、達成までの過程を管理することを指します。
社員自身が目標達成までを管理するので、具体的な道筋が見え、業務の効率化が期待可能に。モチベーション向上にもいい影響を及ぼし、企業の業績向上にも期待できるでしょう。
目標を設定するメリットは?
目標を決めて仕事に向き合うと、いろんなメリットがあるようです。一緒に見ていきましょう。
1:高いモチベーションの維持
達成すべき目標があることは、モチベーションをキープしやすいと言えます。最終的な目的到達までに、複数の目標が設定されている場合、1つクリアできた時の喜びや満足感は、次の目標達成へのやる気の源となるでしょう。また、自信にもつながり、成長の度合いも早まる可能性があります。
2:さまざまなスキルが身に付く
目標を設定すれば、その目標に必要なスキルを身に付けることができるようになります。特に、段階的に目標を設定している場合は、その目標にあったスキルを吸収していくことができ、スキルアップが期待可能です。効率的に早く目標を達成するには、どうすればいいかを考え、創意工夫する力も身に付くでしょう。
3:進捗状況が把握できる
目標設定すると、目的に到達するまでにやるべきことが具体化され、明確になります。そうすると、自身の進捗度合いや方向性が把握しやすく、ズレ幅も最小限に抑えられ、無駄な動きを取らなくて済むことになるでしょう。上司にとっては、部下の指導がしやすくなったり、組織運営が円滑になる効果も期待できます。
目的と目標を使った例文
目的と目標、それぞれの違いをさらに理解するために、例文で使い方をマスターしましょう。
1:目的の例文
目的を使う際には、目指す最終地点が抽象的なこと、達成に時間がかかることに使われます。
・「このイベントの目的は、参加者の笑顔を作ることだ」
・「この企画を成功させるという目的のためには、もっと努力が必要だ」
・「私の人生の目的は、世界中の人が仲良くなることです」
2:目標の例文
目標は、目的を達成するための具体的な指標であり、多くの場合、数値を含みます。
・「今週中にアイデアを5つ出すことが目標です」
・「今月の目標は、新規顧客を10件獲得することだ」
・「今日のインターンシップでは、20人の学生を次回予約につなげることを目標にします」
最後に
目的と目標は、一見似ているようで、実は大きな違いがあるということを紹介しました。「初めて、しっかり理解できた」という方も多いのではないでしょうか? 目的を達成するには、その過程となる目標を1つずつクリアにしていくことが大切です。良い目標を立てることで、会社から評価され、自身の成長にもつながることが期待できそうですね。
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