「運びとなりました」とは、どういう意味?
「運びとなりました」という表現を知ってはいるけれど、正確な意味や使い方は知らないという人もいるでしょう。表現としては固めの「運びとなりました」は、適切な使い方を知っておくと、さまざまなシーンで役立ちます。例文と併せて紹介しますので、「運びとなりました」の使い方をマスターしてください。
まずは、意味からチェックしていきましょう。
「運びとなりました」は、結果を報告する際に使う表現
「運びとなりました」の「運び」を辞書で調べたところ、次の意味があることがわかりました。
▷【運び】読み方:はこび
1:物をある場所から他の場所に移すこと。
2:足などの進め方や動かし方。
3:物事の進んでいくぐあい。運びぐあい。また、段取り。
《デジタル大辞典》(C)Shogakukan Inc.より引用
「運びになりました」は、「物事の進んでいくぐあい」の意味から、物事の進捗が決定したことを表すと解釈していいでしょう。つまり、「運びとなりました」は、何かしらの結果を報告する表現として使われていることになります。
「運びとなりました」はどう使う?
「運びとなりました」は、実際のビジネスシーンでどのように使うのでしょうか? 例文と併せて見ていきましょう。
1:結婚の報告
著名人での結婚で、「この度結婚する運びとなりました」のように報告するケースを見たことがあると思います。一般的に、社内の人に結婚の報告をする際、よく使うのが「運びとなりました」。かしこまった印象を与えるため、結婚報告のようなシーンでも使うことができます。
《例文》
・このたび、私は結婚する運びとなりましたので、ご報告いたします。
・私事ではございますが、このたび〇〇さんと結婚する運びとなりました。
「運びとなりました」は、結婚披露宴の招待状でもよく用いられています。「運びとなりました」をもっとも広く使うのが、結婚報告かもしれませんね。
2:退職の報告
退職の報告をする際も、「運びとなりました」がよく使われます。
《例文》
・〇月〇日付で、会社を退職する運びとなりました。
・私事ではございますが、〇月〇日をもちまして、退職する運びとなりました。
退職の報告では、退職日を一緒に報告するのが一般的。報告される側はいつ退職するのかが気になりますから、一緒に伝えるといいですね。
「会社を辞めることになりました」という表現もありますが、人によってはカジュアルな言い回しと感じることも。「退職する運びとなりました」と報告する方が、心象は良いかもしれません。
3:転職や転勤の報告
退職の報告同様、転職や転勤の報告でも「運びとなりました」をよく使います。
《例文》
・今回の辞令により、〇〇支社へ異動する運びとなりました。
・このたび、〇月末付で退職し、転職する運びとなりました。
転職や転勤は、私事の決定事項になりますが、同僚だけでなく、取引先や上司などにもしっかりと報告をしたいもの。より丁寧に伝えるには、「運びとなりました」を使うのがおすすめです。
4:サービスや業務の終了報告
取り扱いのサービスや業務の終了が決まった際も、「運びとなりました」を使います。残念な報告や、ネガティブな報告をする場合は、「望んでいたこととは違う結末である」というニュアンスを含むことに。
《例文》
・誠に勝手ながら、〇月〇日をもちまして、サービスを終了する運びとなりました。
・業務の都合により、現在のプロジェクトはいったん中断する運びとなりました。
5:会社設立や移転の報告
新規で会社を立ち上げた際や、オフィス移転などの報告にも、「運びとなりました」を使います。
《例文》
・このたび、大阪に新オフィスを構える運びとなりました。
・皆様に応援していただき、このたび新会社を設立する運びとなりました。
6:イベント開催の報告
会社で周年記念パーティーを開催したり、何かしらのイベントを開催したりする際に、開催報告で「運びとなりました」がよく使われます。
《例文》
・この秋、弊社は設立70周年記念式典を開催する運びとなりました。
・皆様のご尽力があり、発売日に出版記念パーティーを開催する運びとなりました。
7:プロジェクトや業務の報告
プロジェクトや業務の進捗報告、業務上での変更伝達などにも、「運びとなりました」が使われています。
《例文》
・現在進行中のプロジェクトにおいて、予定通り着工する運びとなりました。
・本日午後に予定している会議ですが、空調設備の不具合により、場所を変更する運びとなりました。
「運びとなりました」を使う場合に注意したいこととは?
ここまで紹介したように、さまざまなシーンで使うことができる「運びとなりました」ですが、使う際に注意した方がいいことはあるのでしょうか?
1:個人的な報告には使わない
「運びとなりました」は、重要事項の報告に使われることがほとんどです。そのため、個人的な報告には適さないと認識する方がいいでしょう。
たとえば、「体調不良のため、本日はお休みさせていただく運びになりました」のように使うと、どこか大げさなイメージを持ちますよね。報告された人も、おそらく違和感を覚えるでしょう。
結婚や退職、異動などは別として、休みや遅刻、早退などの個人的なことについては、「運びとなりました」は使わない方がいいでしょう。
2:多用はNG
「運びとなりました」を業務の変更などで使う場合、当初予定していたことが変更となり、意外な結果になったというニュアンスを含みます。そのため、多用はNG。「運びとなりました」を連続で何度も使うと、相手に不信感を抱かせてしまうかもしれません。
また、「運びとなりました」と言い切ると、「勝手に決定した」という誤解を与えてしまうということも。特に、普段からあまり交流していない目上の人に対しては、注意が必要です。
「運びとなりました」を何となく使ったがために、誤解が生じてしまったということがないよう、使うシチュエーションや相手には十分に気を配るようにしてくださいね。
最後に
結婚の報告などでよく聞かれる「運びとなりました」は、かしこまった印象を与えるため、ビジネスシーンでもよく使われています。しかし、使い方やシチュエーションを見誤ると、誤解を生んだり、相手に不信感を抱かせたりすることも。「運びとなりました」の意味や使い方を明確に把握し、適切に使うようにしてください。
TOP画像/(c)Shutterstock.com