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そもそも「浅い」とは?
「浅い」という表現は、実にさまざまな場面で使われますよね。「底が浅いサラダボウル」というように、物理的な距離を表したり「浅い考え」のように目に見えない部分を表したりすることも。
「浅い」という言葉ですが、よくよく考えてみると実は深い言葉なのかもしれません。本記事では、「浅い」の意味や対義語についておさらいしてみましょう。
また、混同しやすい「浅い」と「薄い」の違いについても解説します。そして記事の後半では、思慮が浅い人にフォーカスを当てて紹介します。
「浅い」の意味
それでは早速、「浅い」の意味についておさらいしましょう。ビジネスシーン、プライベート問わずに使われる言葉なだけに、意味もたくさんあります。
・表面(入口)から底(奥)までの距離が短いこと
「浅い」の大枠での意味になります。「浅い廊下だったので、すぐにつきあたってしまった」「泳げないので、浅いプールだと安心して泳ぐ練習をすることができる」など、物理的な距離を表したいときに使うことができますよ。
・知識や物事の程度、かかわりが少ないこと
「浅い考えのせいで、彼女を傷つけてしまった」のように、心理的なことを指したりすることができます。
他にも「私は親族との付き合いが浅い」「経験が浅い彼女のために、いちから手ほどきをする」「最近は眠りが浅くて睡眠不足気味だ」など、人との距離感や睡眠など目に見えないことを伝えたいときにも使える表現です。
・時間があまり経過していないこと
一般的に時間は「早い」「遅い」で表しますよね。なので、「浅い」も使えるというと違和感を抱く人もいるかもしれません。例えば、「春もまだ浅い」「夜の浅い時間」などと表現することができますよ。どことなく文学的な言い回しのような感じがしますね。
「日が浅い」という表現は比較的なじみがあるのではないでしょうか。「入社してまだ日が浅い新入社員は初々しいな」と言ったりもしますよね。
・色が薄いこと、淡いこと
色に対しても使うことができます。「深緑」という色は有名です。「深」という言葉の対義語が「浅」ですから、そう考えると納得できそうですね。「浅い紫」なんて表現は、とても美しい響きなのではないでしょうか。日本らしさを感じます。
列挙した以外にも「香りが淡いこと」「情愛が薄いこと」「位の低い家柄や地位のこと」という意味も。気になったら、さらに調べてみてください。
「浅い」の対義語
「浅い」の対義語は「深い」です。ちなみに英語では、「shallow(浅い)」「deep(深い)」が対比構造になっています。
「浅い」と「薄い」の違い
「浅い」は奥行きや深さを表す言葉です。一方、「薄い」は厚みを表すという違いがあります。「浅薄(せんぱく)」という熟語があるので、どちらも似たニュアンスを持っているといえるため、使い分けは曖昧といえるでしょう。決まった使い分け方はないようです。
特に知識などは「浅い」「薄い」どちらも使われるようです。ただし、池や睡眠は「浅い」とは言いますが「薄い」とは言いません。
このように、どちらでも使える言葉、多くの場合は一方を使うがもう一方を使うこともある言葉、一方しか使うことのできない言葉が存在します。
みなさんも、どう使い分けているかぜひ考えてみてくださいね。
「浅い」に関わる言葉を紹介
続いては、「浅い」に関わる言葉について紹介します。
1:浅薄
「浅い」と「薄い」の違いでも触れた「浅薄」という言葉。読み方は「せんぱく」です。漢字の通り「浅く薄いこと」をさします。とくに、知識や考えが薄っぺらいというニュアンスです。「浅薄な考え」「浅薄な判断」のように使われることが多いです。
2:浅慮
「浅慮」は「せんりょ」と読みます。「慮」は「慮る」という動詞がありますが「相手の気持ちや考えに思いを巡らせる」という意味です。ちなみに読み方は「おもんばかる」ではなく「おもんぱかる」なので間違えないように気を付けてくださいね。
「浅慮」は「考えが浅いこと、浅はかなこと」という意味。相手の気持ちを斟酌(しんしゃく)せず、自分勝手な言動をしてしまったりしたときには、「浅慮な行動のせいで、友人を傷つけてしまった」などと使います。
浅い考え方ってどういうこと? 思慮が浅い人の特徴を紹介
浅慮という言葉を紹介しましたが、思慮が浅いと言い換えることもできます。世間にはさまざまな人がいて、思慮が浅い人も少なからずいるようです。
自分がそんな人にならないように、思慮が浅い人の特徴について理解を深めておきましょう。
1:物事を主観的に捉える
思慮が浅いと言われる人は、物事を客観的に捉えることが苦手な人が多いです。主観的に見るのでは、「私がこう思うから、相手も同じ気持ちに違いない」と決めつけてしまう節があります。
つまり、自分の考えに固執して相手の気持ちを考えていないということになります。この点で浅慮と言えますね。
2:自分は賢くないと思っている
身の回りに、「私頭悪いから」が口癖の人はいませんか? この言葉は、ある意味予防線です。この言葉をいうことで、ある物事について深く考えることから逃げているといえるのではないでしょうか。
賢さと思考することができるかどうかは必ずしも結び付くというわけではありません。しかし、「私頭悪いから」という人は、賢くないことを盾にして「考えること」から逃げているのです。
3:集中力がない
思考するという行為は集中力を伴います。注意力散漫な人は、目に映ったものに気を取られ、ひとつのことを長く考えることが苦手な人が多いようです。「集中できない→ 考えたくない」というサイクルによって、深く考えることを避けてしまいます。
結果として、考えなしの言動をしてしまう人が多いようです。
思慮深い人になるために意識したいことを紹介
思慮が浅い人の特徴を紹介しましたが、どうしたら思慮深くなれるのでしょうか。最後に、思慮深い人になるために心がけたいことを紹介します。
1:「なぜ?」「どうして?」という気持ちを忘れない
思慮深い人というのは、端的にまとめると人や物事について考えを及ぼせる人です。考えを及ぼせるというのは、「なぜ?」や「どうして?」と相手の気持ちに立てるということではないでしょうか。
2:読書をする
読書は、他者が自分の考えや気持ちを言葉にして表しています。つまり、書かれている内容について知ることは、相手の気持ちに寄り添うということでもあるのです。
3:尊敬の気持ちを持つ
人や物事、歴史に対して尊敬の気持ちを持つことも大切。尊敬している人や物に軽薄な態度は取れませんよね。自分が生活できているのは、周りの人が支えてくれたり過去から今までの人々の営みがあってこそ。
そのことを忘れずに生活することで、自然と身の回りのことについて考える習慣がつくのだと思いますよ。
最後に
本記事では、「浅い」について言葉や類語、そしてそこから派生して考え方について見ていきました。「浅い」という言葉にもかかわらず、深い内容だったのではないでしょうか。ぜひ本記事を読んで、少しでも思うことがあったなら深掘りしてみてください。その積み重ねが、思慮深さにつながるように感じます。
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