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そもそも「退職金」とは?
「退職金」とは、会社を退職したときにもらえるお金のことです。しかし、退職金を支払わねばならない、と法律で決まっているわけではなく、会社によっては支給されないこともあります。
自分の会社に退職金制度があるかどうかについては、就業規則で確認しましょう。記載が見当たらない場合には人事課、あるいは総務課などに尋ねてみてくださいね。
退職金が振り込まれる時期とは?
先ほど、「退職金とは会社を退職したときにもらえるお金」と説明しましたが、支給日や金額などは会社の裁量で決められています。ですから、退職日から○日後にいくら、という明確な定めはありません。
退職金制度のある企業では、多くの場合、退職から1〜2ヶ月後に支払われているようです。会社によっては半年後というケースもあるようですが、いずれにしても、支払われる時期は就業規則に記載されているはずです。
就業規則に「半年後」とあるのに、半年経っても支給されない場合には退職金請求をすることができますので、安心してください。この場合には、労働基準法23条1項より、企業は、請求後7日以内に退職金を支払わなければならないと定められています。
「退職金」の制度にはどのようなものがある?
「退職金」は、退職後に一括で受け取るものだと思ってはいないでしょうか。もちろん、そういった退職金制度もありますが、ほかにもさまざまな制度があります。主な制度は以下の4つです。
1:退職一時金制度
退職したときに「退職金」を全額、一括で受け取る制度です。受け取った「退職金」は退職所得控除の対象となります。
2:確定給付企業年金制度
確定給付企業年金制度は、英語表記の「Defined Benefit Plan」の頭文字をとって「DB」と呼ばれることも。将来受け取る年金額をあらかじめ決めておき、勤続中は必要な掛け金を拠出していきます。
この制度によって、従業員は決められた額の年金として受け取ることができるのです。年金のように定期的に定額を受け取る場合は、公的年金等控除の対象となります。一時金として一括で受け取った場合は、退職所得控除の対象となりますので要注意です。
3:企業型確定拠出年金制度(DC)
企業型確定拠出年金制度は、英語表記の「Defined Contribution Plan」から「DC」と呼ばれています。企業が自社の「退職金制度」に基づいて年金掛け金を拠出し、従業員がそれを自ら運用を行う制度です。
原則として60歳になるまでは引き出すことができません。受け取る金額は運用によって変わってくるため、従業員には運用に関する知識が必要です。
4:中小企業退職金共済
会社と中小企業退職金共済事業本部(中退共)が契約を結び、退職者に「退職金」を支払う仕組みです。加入者は月額に掛金を自分で選び、月給より納付します。
退職時には、これまでの掛金から算出される「基本退職金」にプラスして、運用利回りが予定を上回れば「付加退職金」を受け取れるという仕組みです。年金のように受け取ることもできますが、その場合は雑所得の対象となります。
退職金の計算方法
さて、「退職金」と聞いて、自分がいくら手にすることができるのかがいちばん気になりますよね。計算方法や起算時期などは就業規則に記載されているはずですので、気になる方は確かめてみてください。
退職金は、勤続年数や役職などに基づいて算出されることが多いようです。例を挙げてみましょう。
基本給に連動する場合
基本給×勤続年数×給付率
ポイント制
社内評価、役職などをポイント化する
定額制
勤続年数×退職事由係数+役職
「退職金」の計算には、勤続年数が使われることが多いのがわかりますね。ですから、勤続年数が短い、自己都合による退職などは「退職金」が少なくなる場合が多いです。
「退職金」の相場は?
「退職金」の相場は、先に述べた通り、その人の勤続年数や退職理由などに加えて企業規模や学歴などによっても異なります。東京都産業労働局と政府統計の総合窓口(e-stat)のデータによれば、それぞれの目安は以下のようになりますので、チェックしてみましょう。
都内中小企業(従業員10〜299人)の場合
中小企業に10年間働いて自己都合で退職したとしましょう。高校卒の場合、「退職金」は約80万円くらいのようです。大学卒の場合には、約98万円程度となります。これが会社都合による退職の場合、高校卒で約102万円、大学卒で約129万円となります。
都内大企業(都内、資本金5億円以上、従業員1000人以上)の場合
大企業の場合にはどうでしょう。同じく10年間働いて自己都合で退職したとすると、高校卒で約137万円、大学卒で約180万円となります。会社都合の場合には、前者が約214万円、後者が約310万円というケースが多いようです。
定年退職の場合
定年まで勤め上げた場合も見てみましょう。中小企業(都内、従業員10〜299人)に勤める高校卒の人の場合は約933万円、大企業(都内、資本金5億円以上、従業員1000人以上)の場合は約1,971万円です。大学卒の場合は、中小企業で約987万円、大企業で約2,564万円ほどになります。
退職金には税金がかかる?
退職金も、月給同様、受け取るときに所得税と住民税、復興特別所得税が差し引かれます。しかし、すべてに課税されるわけではなく、課税されるのは、「退職所得控除」という特別控除が差し引かれた分です。月給よりも税金の負担は軽くなるように配慮されているのですね。
最後に
退職金は、法律でさだめられたものではありませんから、もらえるかどうか、いくらもらえるのか、いつもらえるのかといった規程は、すべて就業規則によります。これを機会に就業規則に目を通してみてはいかがでしょうか。
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