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2022.09.08

不育症の検査は受けずに次へ… 流産を経て41歳夫と35歳妻が考えたこと<30代の不妊治療vol.113>

妊活歴が3年目に突入した主婦ライター・34歳クロサワキコの不妊治療体験レポ Vol.113。夫の精索静脈瘤の手術や人工授精、体外受精とステップアップを重ねていくなかで感じてきたリアルな本音をお届け。今回は、流産後に不育症の検査を受けるか夫と話し合った時の話。

妊活、不妊治療、流産…「私は前世で何かした?」【30代からの不妊治療】

妊活を始めて3年。現在34歳の私の体験から、妊娠を考えているカップルにとって少しでも役に立つような情報をレポート形式でお届けします。

前回は、流産から一週間後の診察時の話をお届けしました。今回は、流産後に不育症の検査を受けるか夫と話し合った時の話。

流産から一週間後の診察を終え、産科を後にした私。はじめてここにきたときのワクワクした気持ちを思い出して、切なさがこみあげてきました。どうして私はこんなに苦しい思いをするのだろう。周りの人が普通に手に入れているように見える幸せが、なぜか私の手からはどんどんすり抜けて落ちていくかのよう。

前世で何か悪いことでもしたのかな? と悩んでしまうくらい、どうしようもない空虚な失望に包まれている自分がいました。心も体もボロボロすぎて、このまま消えてしまいたい。呆然自失の状態でとぼとぼとロビーへ歩いていくと、そこで待っていた夫の力強い笑顔が、私を現実の世界へ引き戻してくれました。

あぁ、今消えるわけにはいかない。私はやっぱり、この人との子どもがほしいなぁ。夢のなかでみた子供の顔を思い出すと、今にも崩れそうだった気持ちが回復していくのを感じました。

不育症の検査をどうするか悩む

(c)Shutterstock.com

「どうしたどうした、敗北者みたいな顔をして…」

「産科の診察、もうないんだなぁと思って。短い妊娠だったから、まだつらいよ」

「ご苦労さん」

私は夫に、胞状奇胎の結果は大丈夫だったことや生理周期がしばらく乱れること、でも次回以降の妊娠には大きな影響はでないことを話しました。それと、不育症の検査もあるけれど、2回以上流産しないと自費診療になるという説明も。

「なんか、ひどいよね。検査すればわかるのに、もう一回流産しないとって。こんなの一度でも死ぬほどつらかったのに」

「う~ん。着床前診断とかもそうだよね」

着床前診断とは、体外受精させた受精卵が細胞分裂し「胚」となった段階で、遺伝子や染色体を解析し、移植する前に遺伝子や染色体に異常がないかどうかを調べる医療技術のこと。

遺伝子や染色体の異常がない可能性が高い胚だけを子宮に戻すことができるので、流産を予防したり体外受精の妊娠率を高めたりできるのだそう。

日本では受精卵の形態的な評価が一般的ですが、すでにアメリカなどでは受精卵の中身(染色体)の異常の有無を調べる着床前診断をすることがスタンダードになっているというのです。夫は今回の流産のこともあり、このあたりをかなり詳しく調べていました。

「着床前診断もさ、2回以上胚移植に失敗するとか、2回以上の流産とか、日本だけやたら謎の制限をかけていてさ…」

以前、日本は一度の採卵で出産までこぎつけられる確率が、海外に比べるとめちゃくちゃ低いと話していた時のことを思い出しました。

「なんで、しなくていい苦労をさせるんだろう」

「本当だよ。倫理的に~とかなんとかいって、わけわかんないんだよ。当事者の大変さがスルーされちゃってる」

子どもを産んで育てるだけでもすごく大変なのに。流産なんて、一度でも苦しいのに。防げる可能性を高められる技術があるのに。流産を2回したらね! って、なんでそこにハードルを設けているのかやっぱり意味が分からないと思いました。

「ボクは移植に進みたいな」

唐突に夫が切り出しました。

「う~ん。でももう流産することが怖いよ。大事な受精卵を移植して、あとから不育症でした… ってなったらなおさら後悔しそう。ただ、検査、検査って気にしていて前に進めないのもよくないよね」

「たぶんさ、ボクらの場合は、精子の問題が大きかったように思うんだよね」

精索静脈瘤という診断を受け、迷わずすぐに手術を受けた夫。採卵の日は自己ベストの精液検査の結果がでて、さぁ移植しようと思っていた矢先に自然妊娠。

不妊の原因がはっきり特定されたわけではなかったけれど、夫の精子の状態が改善したタイミングですぐに妊娠できたので、夫は男性不妊の要因が大きかったのではないかと考えているようでした。

それともう一つ、移植に進みたい理由も。

検査をしている間にもどんどん歳をとってしまう…

(c)Shutterstock.com

「いまボクが41歳で、キミが35歳でしょ。今すぐ移植して無事に生まれても、ボクは子どもが成人するときに60歳を超えちゃう。もう子どもの成人式のときなんか、ジジィ扱いされるの確定だよ(笑)」

「産むことを考えると、母体側の年齢も若いに越したことはないんだろうね。もう私自身、今すぐ移植しても高齢出産確定だもんな…」

早く子どもに会いたいという気持ちとともに、自分たちが歳をとりすぎてから生まれてきてしまう子ども側のリスクについても話し合いました。

「一人っ子になるのか、兄弟いっぱい作ってあげられるのか、今はまだわからないけれどさ、子どもにはボクらが高齢出産だったとか関係ないじゃん。そこで子供の人生に苦労もかけたくない」

「私たちの介護は自分たちでなんとかしたいよね」

「そうだよ。歳いってからの育児は大変だろうけど、それ以上に大事なのはボクらが元気で健康なうちに、子どもが自分の力で生きていけるようにしてあげることだと思う。ボクらはボクらで、老後は高齢者向けのサービスがついているマンションにでも入れるように準備して子どもに迷惑をかけないようにしたい」

「私もそう思う。そうすると、確かに、私たちには慎重に検査している時間はあまり残されていないかもね」

「…と、思うんだよね」

お会計待ちの総合病院のロビー。その患者の多くはお年寄りです。私たちは20年後、30年後、どんなおじいちゃんとおばあちゃんになっているのだろう。

たとえ子どもができなくても、2人で仲良く暮らしていければいいと思ったこともありましたが、もし子どもができたらと思うと、心身共に健康でいることの大切さを強く感じました。子どもをヤングケアラーにしてしまうわけにはいきません。

「移植、早い方がイイね」

「うん」

弱りきっていた心にまたパワーが戻ってきました。不妊治療において、事前にどこまで検査を受けるのか…。ご夫婦それぞれにいろんな考え方があると思います。私たちはこのような話し合いをたくさん重ねて、不育症の検査は受けず、できるだけ早期の移植へ進む道を選びました。

正解のない問題を解き続けるような状況に何度も直面する不妊治療。流産の経験が私の心にもたらしたダメージは大きかったけれど、夫と向いている方向が少し違ったとき、冷静に納得いくまで話し合う時間を持つことがすごく大事だなと改めて感じさせられました。

次回からは、いよいよ体外受精の移植周期のお話です。

これまでの記事▶︎不妊治療体験レポ

TOP画像/(c)Shutterstock.com

※この記事は2021年の内容です。最新情報は厚生労働省HPをご確認ください。

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クロサワキコ

34歳・主婦ライター。妊活歴3年目。男性不妊の治療や人工授精に体外受精、ステップアップを重ねていくなかで感じた不妊治療のリアルな本音を発信しています。


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