経験者3人に聞きました!「私たちが卵子凍結をしてかんじたこと」
卵子凍結をしてまだ半年足らずのふたりと、約6年前に卵子を凍結、その後妊娠にトライしたひとり、3人それぞれの経緯をインタビュー。凍結数も体調も個人差が大きかったものの、共通していたのは仕事とのはざまで悩む姿でした。
【卵子凍結】きっかけやクリニック選びの決め手は? 経験者3人にインタビュー〈前編〉
答えてくださったのは…
Aさん(39歳・教育関係)
「パートナーがいなくて、今のところ?」
●卵子凍結の時期…2023年11月・38歳のとき
●パートナー…なし
●仕事内容…子供と直接コミュニケーションを取る業務。立ち仕事が多め
Bさん(34歳・メーカー)
「10歳下の彼との結婚は「今すぐ」じゃなさそう…」
●卵子凍結の時期…2024年1月・34歳のとき
●パートナー…10歳下の彼と交際1年半
●仕事内容…マーケティング。会議にも頻繁に出席
Cさん(39歳・金融)
「すでに結婚していたけれど未受精卵を凍結」
●卵子凍結の時期…2017年12月・32歳のとき
●パートナー…1歳上の夫と2015年に結婚
●仕事内容…当時は窓口業務担当。現在は営業職
「卵子凍結」経験者3人にインタビュー
Q6 いくらかかりましたか?
Bさん:いったん約50万円。一部、都からの助成金を立替中
「助成金の支払いはまだ先。戻ってくるとはいえ、カードの引き落としが恐ろしいです」
Aさん・Cさん:50万円
「急に決めたので、手元にまとまった現金がなく、母に全額借りました。保管料は別途、今後1年ごとに5万円弱かかるそう」(Aさん)
「すべて自費診療なので、初診と血液検査だけで4万円超え…」(Cさん)
Q7 いつまで凍結保存する予定ですか?
Aさん:45歳手前くらい?
「正直、先のことはあまり考えていませんでした。でも体と相談して、産める可能性がある限りは取っておきたい」
Bさん:結婚まで、1~2年で済むといいな…
「結婚にこぎつけてから、自然妊娠にトライするかすぐに凍結卵子を活用するか、改めて彼と話し合うつもりです」
Cさん:すでに利用。でもその卵子では妊娠に至らず
「採卵から約1年後、治療の甲斐あって夫の不妊が改善され、約半年間タイミング法にトライしたのち体外受精へ。凍結保存してあった6個を融解させ、受精したのは2個のみ。
そのうちひとつを子宮に戻しましたが着床せず。もうひとつは卵子のグレードが低いため妊娠率が低いと言われて、子宮に戻すこともできず落胆しました。
その後、転院して、今度は体外受精後に受精卵を凍結保存。ようやく妊娠・出産しました」
Q8 デメリットをあげるなら?
Aさん:お金の負担と体のリスク
「結果的に無事に済みましたが、体に悪影響はないのか不安でした」
Bさん:仕事を休みにくい
「欧米ほどメジャーでないため、職場で口にしにくかったです」
Cさん:“将来の保険”としては、ちょっと高い?
「凍結卵子で妊娠せず『こんなにお金をかけたのに!?』と落ち込みました。もっと若いうちに凍結しておけばよかったけれど、若いときはお金の余裕もないですしね…」
Q9 ズバリ、卵子凍結してよかったですか?
Aさん:〈YES!〉心の余裕がもてるように。自分の体も知れた
「以前は忙しい毎日の中で、ライフプランについて焦ったり、ふと考え込んでしまったりすることもありましたが、少し余裕ができたかな。検査の結果、自分は卵子の数が多いと知れたのもラッキーでした。
検討している人には『迷っているならやってみて』と伝えたい。子供はやっぱり欲しいので、引き続きパートナー探しを頑張ります!」
Bさん:〈YES!〉結婚への焦りが軽減できた
「あくまで個人的な感想ですが、〝時間を止める〟ことができた感覚。私も、パートナーの彼も、結婚のプレッシャーから少し解放されてラクになったような気が。
彼が『今日の注射はもう打った?』と気にかけてくれたり、採卵後は焼肉をおごってくれたりしたのもうれしかったです。キャリアも彼との将来も、これから計画的に歩んでいけたら」
Cさん:〈YES!〉仕事に集中できて昇格した
「検査や採卵を通して、『妊娠って簡単なことじゃないんだ』と気づけたのは大きな収穫。夫も私も、もっと早く検査をしていたら、とも思いました。
『今日は妊娠しやすい日だから、早く帰らなきゃ』と夫婦で義務的に予定を合わせる必要もなくなり、仕事により前向きになれた。そのおかげで、お給料も少しアップしました」
卵子凍結の前にしておきたいこと
いきなりクリニックに飛び込むのは賢明ではないかも…!?
卵子凍結を実施しているクリニックのドクターや、卵子凍結経験者たちからのアドバイスをまとめました!
●プレコンセプションチェックやAMH検査を受けておく
●「卵子凍結すれば安心!」ではないと知る
●パートナー探しは継続的に
●人生×キャリアプランを考える
●将来の体外受精も見越して、慎重にクリニックを探す
子宮や卵巣にトラブルがあると、思い立ってもすぐに卵子凍結を行えないことが。〝プレコンセプションチェック〟は将来的な妊娠を妨げる健康上の要因がないかチェックすること。
AMH検査(卵巣予備能検査)も含めて受けておくと安心。また、「とりあえず凍結」しても、妊娠・出産できる時期には限りがあるので、将来的にいつ妊娠・出産したいのか、これを機に考えておくと◎。
貴重な卵子を預ける施設は、長期的に信頼のおけるクリニックを選んで。
〈情報はすべて2024年3月11日現在のものです〉
2024年Oggi5月号「働く私と『卵子凍結』の現在」より
イラスト/白尾可奈子 構成/佐々木 恵・酒井亜希子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部
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