いまこそ知りたい! 働く私と卵子凍結の現在
最近、耳にする機会が増え、キャリアを持つ女性として気になっている人も多い「卵子凍結」。「早く産んだほうがいいのはわかっているけれど、今はそのタイミングじゃない」という場合の新たな選択肢のひとつになるかも? 現状やメリット、気になることをまとめました。
Oggi読者に聞きました!
Q 卵子凍結※に興味はありますか?
「仕事が忙しくてまだ子供は考えられないので検討したい」(32歳・IT)など、約半数が興味あり。ただ「どうやって卵子を採るの?」(27歳・事務)など具体的な内容を知らない人も多数。すでに凍結済みの人は全体の2%。
※「卵子凍結」とは、受精させていない、自身の卵子単独での凍結を指します。
卵子凍結をする場合の、採卵までのステップ
教えていただいたのは…
●浅田レディースクリニック 理事長 浅田義正先生
あさだ・よしまさ/医学博士。高度生殖医療を中心とした診療を行う不妊治療のスペシャリスト。『不妊治療を考えたら読む本〈最新版〉 科学でわかる「妊娠への近道」』(講談社ブルーバックス)など著書多数。
相談会やセミナーに参加する
「最近では各クリニックで相談会や説明会が盛んに行われています。費用やスケジュールを知る場として活用を。また、東京都や山梨県(’24年度より実施予定)など、助成金を出している自治体では相談会への参加が支給の条件となっている場合も。まずはHPなどで確認を」
●たとえば…
・クリニック主催の相談会
・自治体が実施している相談会
クリニックを選ぶ
「卵子凍結は、不妊治療の採卵と同様の手順で行います。体外受精の実績が高い施設であれば、採卵の技術・管理や麻酔のレベルも高く、卵子の保管や将来的な体外受精にも細心の注意が払われているはずです。原則として、卵子凍結をしたクリニックで不妊治療も受けるほうが安心」
●ここをチェック
・不妊治療の実績が十分か
・通いやすいロケーションか
・災害対策など、凍結後の卵子の管理が十分か
クリニックを受診する
「初診では、まず卵子の在庫量を示すAMH(アンチミューラリアンホルモン)の値を調べる検査を行い、いくつくらい採卵できるか調べるのが一般的。また、経腟超音波検査では子宮や卵胞の状態を確認。子宮筋腫など、先に治療したほうがよい病気がないかをチェックします」
●検査の一例
・AMH検査
・経腟超音波検査
・感染症検査 etc.
採卵のための通院開始
→排卵誘発剤による刺激を開始
「卵子を大きく育てるため、この期間は自分で注射する〝自己注射〟を打つのが一般的。採卵しても問題ないと判断されれば、卵子を成熟させ、当日に臨みます。採卵手術は10〜20分、麻酔後の回復のため2〜3時間休んで帰宅します」
卵子を凍結する
「採取した卵子は、培養してさらに成熟させてから、細いストローのような専用容器に移し、瞬間凍結。保管には期間に応じて料金がかかります。また、出産時の母体のリスクを考慮し、凍結卵子の保存・使用は一般的には45歳未満が推奨されています」
●ここをチェック
・凍結期間に応じて保管料が必要
・卵子の使用は45歳未満を推奨
2024年Oggi5月号「働く私と『卵子凍結』の現在」より
イラスト/白尾可奈子 構成/佐々木 恵・酒井亜希子(スタッフ・オン)
再構成/Oggi.jp編集部