急遽始まったリモート凍結相談で気づいたこと【30代からの不妊治療】
妊活を始めて3年。現在34歳の私の体験から、妊娠を考えているカップルにとって少しでも役に立つような情報をレポート形式でお届けします。
前回は、病院へ受精卵の凍結相談をしに行ったお話をお届けしました。今回は、凍結相談をしたお話。
診察室から仕事中の夫へ電話… ドタバタの凍結相談
妊活3年目、34歳の私の卵子と40歳の夫の精子は、体外受精のふりかけ法によって、奇跡的にすべて受精卵となりました。その後に迎えた大事な凍結相談の日、私はひとりで病院へ来てしまいました。
本当なら夫婦そろって写真を見ながら、医師から受精卵のグレードの説明を受け、初期胚のまま凍結するのか、胚盤胞まで培養させるのかなど、凍結に関わる相談をする場面だったのに…。
医師や看護師にすすめられ、私は夫に大慌てで受精卵の写真をメールで送り、診察室から夫の職場へ電話をかけました。
私「もしもし、大変! 今日の凍結相談って、ふたりで来ないとまずかったみたい。今、メールで写真送ったんだけどすぐ開ける?」
夫「あ、今、開いたよ。すげー、これが受精卵かぁ」
診察室でのすったもんだをよそに、電話越しに夫が受精卵の写真をみて感動しているのがわかりました。
私「この中からどれを凍結して、どれを培養するか、決めるらしいの。先生、スピーカーフォンにしてもいいですか?」
医師「もちろん」
こうして急きょ、会社へ出社していた夫が電話出演。診察室でリモートでの凍結相談をすることになりました。
大事な決断を、私ひとりで下す羽目にならなくてよかった…。カウンセリングからお世話になってくれていた看護師のKさんが機転をきかせてくださったおかげです。K先生も即座に柔軟な対応をしてくれて感謝いっぱいでした。
初期胚を凍結する? 胚盤胞まで培養する? そのリスクは…
夫は冷静に医師にわからないことをどんどん聞いてくれたので助かりました。
夫「この写真の受精卵が“胚盤胞”ですか?」
医師「いえ、胚盤胞は、5日目ないし6日目(採卵後5日後)まで培養を続けた胚のことです。今は、採卵から3日目の初期胚(分割期胚)です。
このぽこぽこみえる小さな気泡のような部分を見てください。分裂している割球(細胞)の大きさが均一で、フラグメントという胚の中に存在する細胞質が分裂した断片、これが少ない胚が良い受精卵という評価になります」
夫「このGなんとかっていう数字のところがグレードというか、評価の部分になるんですよね?」
医師「そうです、初期胚のグレードは、1~5段階に分けられて、Gのあとの数字が少ないものが良好な胚という見方をします」
ふむふむと私は受精卵の写真を見ながらG1が3個、G2が4個、G3が1個、G4が1個と数えていました。この内訳はいいのか、悪いのか…、受精した感動が大きすぎて頭がうまく回りませんでした。しかし、夫はどんどん質問を続けます。
夫「凍結するものと培養するものって、全部ボクらで決められるんですか?」
医師「はい。もしお任せと言われたら、半々くらいを提案しようと思っていました。たとえば、クロサワさんはG1の胚が3つあるので、このうち2つくらいを選んでいただいて、ほかにはG2の胚のきれいな形のものを中心に全部で3~4個を凍結し、残りを胚盤胞にしたらどうかなって…」
夫「ネットを調べてみたんですけれど、胚盤胞の方が妊娠確率が高いというのは本当ですか?」
医師「はい、胚盤胞の方が全年齢において妊娠率が高くなります。卵管性の異常のあるケースや初期胚移植で妊娠できない場合にも胚盤胞での移植が有効とされています。ただ、リスクもあって初期胚から胚盤胞へ培養する間に発育が止ってしまうものもあります」
夫「いいグレードの卵なら確実に胚盤胞になるというものではないのですか?」
医師「そうではないんですよね」
夫「このグレードは見た目だけで判断されるものなんですか?」
医師「はい」
う~ん。手元の受精卵の写真を見ながら「けっこう良いグレードの卵あるじゃん!」と一瞬ぬか喜びしましたが、正直、この初期胚の評価って微妙ですよね。
なんか、こう血液検査みたいに○○の項目は数値がいくつ以上だから良好! っていう判断が下されているようなイメージでいたので、細胞やフラグメントのビジュアルだけで評価が決まるということにかなりびっくりしました。
たとえば、100点満点を5段階に分けた場合、1番いい評価の幅って100~80点になるわけじゃないですか。だから同じ「G1」でも、100点のものと80点のものがあるのだったら、100点は凍結したいけど、80点は培養させる… みたいに細かくわかればいいのに。見た目だけというざっくりした基準にやや不安を感じました。
クリニックごとに初期胚の評価の仕方に差がある気がする
ここは私の個人的な意見になりますが、このグレードの評価の仕方自体も、不妊治療をする医療機関ごとにけっこう違いがあるような気がします。
細胞の大きさの均一さ、フラグメントの少なさ、同じ胚を見ても評価する人によっては厳しめ、甘めがあるだろうし、たとえば使っている顕微鏡によっても細胞の見え方って違うのではないかなとも思いました。
凍結相談で私たち夫婦が出した結論についてはまた次回。
これまでの記事▶︎不妊治療体験レポ
TOP画像/(c)Shutterstock.com
クロサワキコ
34歳・主婦ライター。妊活歴3年目。男性不妊の治療や人工授精に体外受精、ステップアップを重ねていくなかで感じた不妊治療のリアルな本音を発信しています。