失礼いたしますの意味は?
失礼いたしますは、自分が何かを行う際に断りを入れる表現です。部屋を出入りするときやその場を離れるときなどによく使われます。「メールにて失礼いたします」など、本来行うべきことをしないことを詫びる意味でも使います。
ここでは、失礼いたしますの意味や、「致します」と漢字で書くのは正しいのかについてみていきましょう。
お詫びを意味する敬語表現
失礼いたしますは事前の断りやお詫びを意味する敬語表現です。「いたします」の「いたす」は「する」の謙譲語であり、「ます」をつけて丁寧な表現にしています。自分の行為に対しへりくだることで、相手に敬意を表す言葉です。
部屋に入るときや出るとき、その場を離れるときに使うことが多く、「取り急ぎ用件のみで失礼いたします」など、本来はするべきなのにしないことを詫びるという意味合いで使うこともあります。
失礼致しますと漢字で書くのは誤り?
失礼いたしますはメールでも書かれることが多く、その際に「失礼致します」と漢字表記にすべきか迷うこともあるかと思います。結論から先にいえば、漢字表記は誤りです。
「いたします」の「いたす」は謙譲の気持ちを表す補助動詞であり、漢字で書く「致す」は動詞です。「致す」は至らせる、及ぼすという意味で、謙譲の意味はまったくありません。漢字表記にしないよう、注意しましょう。
失礼いたしますの使い方
失礼いたしますはシーンにより使い方が異なります。使う場面は対面のほかにメールや電話と幅広く、対面の場合は主に相手に断りを入れるニュアンスで使います。電話やメールはお礼やお詫びの意味合いがあり、それぞれの場面で使う内容は違うため、正しく覚えましょう。
ここでは、失礼いたしますの使い方を例文とともにご紹介します。
対面で使う場合
対面で使う場合の失礼いたしますは、さまざまな場面で使われる定番のフレーズです。部屋へ出入りする際や、相手に話しかけるとき、断りを入れる意味などで使われます。また、ビジネスでは仕事を終えてオフィスを出る際の定番の挨拶です。
「お邪魔します」という敬意を表す気持ちや、相手に時間を割いてもらうことへのお詫びの気持ちが含まれています。
(例文)
・お忙しいところ失礼いたします
・それでは失礼いたします
・お手を煩わせてしまい失礼いたしました
・失礼いたします。面接に伺いました○○です
・お先に失礼いたします
メールで使う場合
メールでも失礼いたしますはよく使われます。「メールにて失礼いたします」という使い方は定番であり、本来なら直接会うべきところをメールで済ますことを謝罪する意味合いです。
メールにすることが必ずしも失礼にあたるわけではなく、挨拶のようなニュアンスといえるでしょう。
(例文)
・お世話になります。メールにて失礼いたします
・取り急ぎメールにて失礼いたします
・本来なら直接お会いすべきべきところ、メールにて失礼いたします
電話で使う場合
電話では、話し始めるときや切るときに失礼いたしますを使います。急な電話や夜遅くにかけたときなどは、お詫びの意味で必ず必要なフレーズです。ビジネスシーンで電話をかける際は定番の言葉といえるでしょう。
切るときは、基本的にかけた方が先に失礼いたしますを言うのが礼儀です。
(例文)
・失礼いたします。○○のアンケートにご協力いただきたくお電話いたしました
・夜分遅くに失礼いたします
・お時間をいただきありがとうございました。それでは失礼いたします
失礼いたしますの言い換え表現
失礼いたしますは言い換えの表現があり、場面に応じて使い分けることができます。お詫びのニュアンスで使う場合は、より直接的に「お詫び申し上げます」「お手数をおかけします」を使う方が適切な場面もあるでしょう。部屋の出入りの際は、「お邪魔いたします」もよく使われます。
ここでは、失礼いたしますの言い換え表現についてみていきましょう。
お詫び申し上げます
「お詫び申し上げます」は強い謝罪の気持ちを表す言葉です。ミスしたときや相手に迷惑をかけたときなどお詫びの意味で失礼いたしますを使う場合、お詫び申し上げますの方がより丁寧で申し訳ないと言う気持ちが伝わります。
(例文)
・このたびは弊社のスタッフがご迷惑をかけましたこと、お詫び申し上げます
・みなさまに余計なご心配をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます
お手数をおかけいたします
お手数をおかけしますは、相手に何かしてもらう際、感謝やお詫びをするときに使います。
失礼いたしますは自分の行為に対する言葉であるのに対し、お手数おかけしますは相手の行為に対して使われます。感謝の気持ちを込めたいときに使うとよいでしょう。
(例文)
・仕事ではいろいろお手数おかけしますが、よろしくお願いいたします
・この度はお忙しいところ、お手数をおかけいたします
お邪魔いたします
お邪魔いたしますは部屋に入るときや話しかける際など、失礼いたしますを使う場面で言い換えができます。言葉どおり、邪魔をすることへのお詫びの気持ちが含まれているフレーズです。
部屋に入る際、失礼いたしますは自分から声をかけて入りますが、お邪魔いたしますは「お入りください」などの相手の許可を得てから使います。
(例文)
・本日はお招きいただきありがとうございます。お邪魔いたします
・明日、ご自宅にお邪魔させていただきます
失礼いたしますは場面ごとに使い分けよう
失礼いたしますは事前の断りやお詫びの意味で使う敬語表現で、さまざまな場面で使われます。メールなど文書で失礼いたしますを使う場合、「致します」と漢字で書くのは間違いなので注意しましょう。
主に対面・メール・電話をかける際に使いますが、意味合いはシーンごとに異なります。例文も参考に、失礼いたしますを正しく使い分けましょう。
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