「社長室」とは?
「社長室」とは、社長の仕事を補佐する部署のことをいいます。しかし、その業務内容な企業によってさまざまで、秘書や経営企画部と役割が同じという場合もあれば、社長直下で特別な任務に当たることも。
ただし、共通して言えることもあります。先程もお伝えした通り、「社長室」に求められるのは社長の補佐ですから、社長が活動や決断をしやすいように、周囲を整えることが「社長室」のメンバーに課せられたミッションだといえるでしょう。
ちなみに、「社長室」は、英語でいうと「president’s office」「office of president」などといいます。海外の取引先の人との名刺交換の際には参考にしてくださいね。
「社長室」に似た部署の役割とは?
「社長室」に似た役割の部署として、経営企画や秘書などがあります。それらの業務内容は次のようなものです。
1:秘書
「社長室」にもっとも似た部署・役割といえば、秘書でしょう。実際、「社長室」には数名、もしくは何人もの秘書がいるという会社も多いです。では、秘書の仕事とはどういったものでしょう。
秘書は一般に、社長や重役のスケジュールを管理したり、外部とのをやり取りしたり、というのが主な仕事です。秘書には、会社の経営や方針の決定に関与する権限がないことが多いのですが、「社長室」には部署としてそれらの権限があることがあり、秘書と「社長室」の両方が置かれている会社との大きな違いは、この点にあると考えておけばいいでしょう。
2:経営企画
経営企画も「社長室」と混同されやすい部門です。経営企画とは、その名の通り、経営の方針や方向性などを検討・決定する部門で、企業の中枢を担う部署のひとつです。
「社長室」も企業のトップである社長のそばで経営を担う部署ではありますが、その業務の狙いはあくまでも社長の補佐。社長が経営方針などを検討・決定するさまざまな場面で、それらをやりやすくするようにサポートするのが「社長室」です。
一方、経営企画は、社長の補佐よりも、経営に特化した部門だと言えそうです。社長は経営をする人ですから、社長を補佐することは経営方針を検討・決定することを補佐することにつながるので、両者はとても似ています。しかし、業務の対象が、社長の業務全般なのか、それとも経営に特化しているのかという点で区別することができますね。
経営企画の場合は、社長の思い・意思だけでなく、自分達で市場のデータやニーズを調査し、そちらも意識しながらで経営方針を決定していきます。その精度の高さ、アイデアの斬新さなどがあればあるほど、社長に頼りにされるようになるのです。
「社長室」の仕事に向いている人はどんな人?
あなたは「社長室」で働いてみたいと思いますか? ここでは、「社長室」に向いているのはどんな人かを考えてみました。
1:メンタルの強い人
「社長室」で仕事をする人には、強い精神力が求められます。社長の新しい決断にはたくさんの部門が関わることが多いものです。それらの部署に出向き、社長の意向はもとより、さらに詳細なミッションを伝えたりすることにもなります。さらに、それらの進捗も確認していくことが必要になります。
また、社長の思うビジョンに無理が生じる場合、「社長室」として、社長に意見を伝える場合もあるでしょう。これは他の部門ではあまりないことです。社長に確固たる根拠を持って意見を述べるにはかなりのスキルと精神力が必要となります。
2:仕事を選ばない人
「社長室」の業務は、会議のセッティングやお客さまの対応、懇親会の開催など多岐に渡り、なかには、雑用のように感じられる業務もあるでしょう。また、社長のスケジュールに合わせて動くことが要求されるため、昼食も満足に食べられない日があったり、定時を越える会食などもあったりします。
そのような時に「これは私の仕事ではない」、「もう就業時間をすぎているのに」などと考えてしまう人は「社長室」には向いていないでしょう。どんなにささいな業務であっても、前向きに取り組める人が「社長室」には向いていると言えます。
3:コミュニケーション能力が高い人
「社長室」に所属していると、社長だけでなく、重役など経営層と接する機会が多くなります。ゆえに、高いコミュニケーション力が求められるのです。
社長のみならず、経営層にある人たちは、常に忙しく、またたくさんの決定を求められています。ですから、彼らと話す時には、ポイントを絞ってわかりやすく話す必要があるのです。
また、ウィットに富んだ会話も重要。重要で繊細な事柄について話す時間が多い分、その場の雰囲気を前向きに保つための知的な冗談はとても大切だといえます。
「社長室」を経験した人のその後
「社長室」は他の部門にはないキャリアを積める部門だともいえます。その後のキャリアパスにはどのようなものがあるのでしょうか。
経営幹部
日常的に企業の中枢に触れ、高い視座と広い視野で事業を推進する経験は、そこで実績を上げることができれば、経営層への近道になるでしょう。
また、社長との信頼関係がすでに構築できていますから、その後のキャリアにとってもプラスになるはずです。経営層だけでなく、部門責任者などの道もありそうです。
コンサルタント
経営層のそばでのキャリア経験を使って、コンサルタントに転身することもあります。社長を中心にさまざまな施策を考え、企業を成長させた実績は、たとえ異業種であっても経営課題の解決に取り組めるコンサルタントとなるでしょう。
起業家
「社長室」での経験を活かして、自ら事業を立ち上げる人もいるようです。紆余曲折がありながらも、社長とともに事業運営に取り組むことで、「自分でもやってみたい!」という気持ちが芽生えるのでしょう。「社長室」での実績が自信につながっていくのです。
上記のように「社長室」での業務経験は、キャリアアップにつながる経験だということができます。精神的にも肉体的にもハードな業務内容かもしれませんが、その後のキャリアパスを考えるうえで、自分に必要だと思う場合はチャンスがあれば、思い切って飛び込むといいかもしれません。
最後に
本記事では、「社長室」の業務内容と求められる資質、その後のキャリアパスについて紹介しました。「社長室」メンバーのミッションは、社長のサポートです。裏方、黒子といった側面はありますが、一方でとても重要でやりがいのある仕事でもあります。
大きな企業になると、「社長室」に配属されること自体が貴重な機会となるでしょう。自分自身のキャリアパスを思い描いて、チャンスだと思えば逃さないようにしたいものですね。
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