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生理の黒い塊やカス、これって大丈夫?
生理の血が赤ではなく黒っぽくなったら、「私の生理に何か問題があるの?」と驚いてしまうかもしれません。同じように、黒い塊やカスのようなものが混じっていることも……。そもそも生理の血は黒くて大丈夫なのか、生理の血の状態について解説していきます。
生理の経血が黒いのはなぜ?
生理の血が黒っぽくなるのは、血液が空気に触れて酸化するから。傷口にかさぶたができると茶色や黒っぽくなりますが、これも血液が酸化するためで、それと同じ原理です。
それに生理では、妊娠に備えて厚くなった子宮内膜がはがれ落ち、経血とともに排出されます。子宮内膜とは、子宮の内側にできる、受精卵を受け止めて育てる膜のこと。排卵時期になると妊娠に備えてこの膜が厚くなり受精卵を待ちますが、妊娠しなかった場合はこの膜がはがれて体外に排出されるのです。
経血にはその子宮内膜が混じっているため、真っ赤な血液というより、少しくすんで見えます。手や足をケガしたときに出る真っ赤な血と比べると、経血はやや濃いめの赤色になります。
また生理の量は2日目に一番多くなり、4日目や5日目の量はかなり少なくなるのが一般的。量が多いときは赤っぽく、後半になると茶色っぽく変化するのはごく自然なことです。
生理のとき、黒以外の経血が出る理由
生理の血が黒以外になるのは、なぜでしょうか?
茶色
生理の血には子宮内膜が混じっていることを先にお伝えしました。子宮内膜の厚みがあまりない場合、はがれ落ちる量も少なくなります。そのようなとき、経血の量が少なくなり排出まで時間がかかるため、血が茶色っぽくなります。
ただ経血やオリモノが茶色の状態がずっと続く場合は、子宮筋腫などの病気の可能性、さらにホルモンバランスが崩れているサインでもあります。詳しくは以下の記事を参考にしてくださいね。
関連記事:【女医が回答】生理の時に茶色いものが出るけど、大丈夫?
鮮やかな赤色
生理の血が鮮やかな赤色や濃い赤色は、健康的なサインです。特に生理の量が多くなる時期は、経血が鮮やかな色になるのが一般的です。血の色が鮮やかなら、体外に排出されるまでの時間が短かったということ。
赤色が濃くなれば血液が酸化しているという印なので、体外排出まで時間がかかったという意味です。
ピンク色
生理の血がピンク色になるのは、赤い経血が薄くなっているということ。これは子宮頸管から分泌され、やがてオリモノの一部となる粘液が経血に混入して、赤色が薄くなったものと考えられます。
ただし、薄すぎるピンク色なら女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が低下している可能性が考えられるでしょう。
カーキ色
血は最初は鮮やかな赤色をしていますが、酸化によって茶色や黒っぽくなり、やがてカーキ色になっていきます。もう出血が止まっている場合なら心配はいりません。
しかしカーキ色の血がいつまでも出続けているなら、ホルモンバランスが崩れていることが考えられます。
オレンジ色
もし生理の血がオレンジ色だったら、性感染症や細菌性感染症などの膣感染症にかかっていることが考えられます。
色がオレンジになる以外にも、ニオイや粘度なども変化する可能性があります。すぐに婦人科を受診することをおすすめします。
生理の黒い経血、状況別の原因
生理の血が黒っぽくなるのはごく自然なこと。あまり心配することはありません。でも次のような変化がある場合は、なんらかの原因が隠されているかもしれません。
少量が出る
これまでに解説したように、生理の血が黒っぽくなるのは一般的なことで、少量が出る場合は心配はありません。
経血が子宮内部のどこかにとどまったり、排出まで時間がかかったりした場合は、その間に血が酸化して黒く変化したものと考えられます。
多い・大量
経血が黒くなるのは一般的ですが、もしその量が多かったり大量だったりする場合は、不正出血の疑いがあるでしょう。
不正出血とは、ホルモンの異常などが原因で、生理のとき以外に出血すること。不正出血は真っ赤な鮮血の場合や茶色っぽい場合など、さまざまです。婦人科の受診をおすすめします。
ゼリー状のレバーのような塊
生理の血に、レバーのようにゼリー状の黒っぽい塊が混ざっていることがあります。経血にそんなものが混じっていると心配になってしまいますが、これは子宮内膜の一部が出たもの。また血液がたまって凝固して塊となり排出されることもあります。
生理中にはよく見られる現象で、あまり気にする必要はありません。しかし大きめの塊が頻繁に出ているなら、子宮筋腫などの症状の可能性があります。
黒い経血が続く
もし生理の血が黒い状態が最初から続き、ゼリー状の塊もずっと出ているのなら、不正出血の可能性があります。
一般的に茶色や、黒っぽい血が長く出続けている場合は、不正出血を疑い、婦人科を受診しましょう。
こんなとき、生理の経血は黒くなる? ウソ・ホント?
生理の血が黒くなる話に関連して、妊娠やピルの話題が持ち上がります。それらの話は本当なのでしょうか?
妊娠の可能性
「黒っぽい血が出たら妊娠している?」と、妊娠に結びつける考えがネット上にはあるようです。これは、着床出血することに関連したものと考えられます。
着床出血とは、受精卵が子宮内膜に接着して着床したときに出る出血のこと。妊娠する人全員が経験するものではないのですが、着床出血があった人は「ピンク色や茶色っぽかった」というケースが多いため、黒い血が出たら「妊娠している?」という噂が流れてしまったのかもしれません。
生理の血が黒かったからといって、それが妊娠というわけではありません。
ピルを服用すると黒い血になる?
「ピルを服用していると黒い血が出る」という話もあるようです。低用量ピルを服用している方が不正出血を起こすことは珍しいことではありません。これはホルモンバランスが崩れることが原因で、少量の出血が出る程度なら心配はないでしょう。
ただ、出血の量が多かったり、長く続くようだったりしたら、婦人科を受診しましょう。
性交で黒い血が出る
性交後に「出血する」「黒いオリモノが出る」というケースがあります。
性交後に出血が見られたら、腟が傷ついた可能性があります。また、子宮腟部びらんという“ただれ”の症状が原因であることも考えられます。
そのほか、子宮頚管ポリープや子宮頸がんなどがある場合は、性交中や性交後に出血することもありますので、早めに婦人科を受診しましょう。
生理の血がいつもと違うなら受診しよう
生理の血が茶色や黒っぽく変化するのは、普通のことです。ただ血の色や粘度、ニオイなど、普段とは違うと感じることがあったら、カラダの中でなんらかの変化が起きている可能性があります。
おかしいと感じたときは、早めに婦人科を受診して相談するといいでしょう。
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監修者:つづきレディスクリニック 院長 吉岡範人先生
1978年生まれ。千葉県出身。2005年、聖マリアンナ医科大学大学院を卒業。同大学初期臨床研修センター、産婦人科に入局。16年間の医局勤務中、約2年間にわたりカナダ・バンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学へ留学。がんの研究に従事。2019年に事業を引き継ぐ形でつづきレディースクリニックの院長に就任。その後、自らの発案で訪問医療を新たにスタートさせるなど、枠に捉われない多角的な医療サービスを促進。大きな注目を集めている。