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生理のときの温泉、どうする?
生理のときに「温泉に入浴してもよいのかどうか問題」、お悩みの人も多いのではないでしょうか。これから、マナー的に、そして、医学的にどうなのかを見ていきましょう。
生理中に温泉に入る、これってマナー違反?
まずは、バスリエが行なった「生理中の入浴や温泉の利用について」のアンケートによる回答を見ていきましょう。
参照元:生理中の温泉はOK? みんなの意見と専門家による解説-バスリエ株式会社
生理中に温泉を利用したことがある人は22%
「生理中に温泉や銭湯などの公衆浴場を利用したことはありますか?」というアンケートの回答では、YESが22.0%、NOが78.0%という結果でした。
YESと答えた人の理由には、「せっかく温泉に来たから」「生理の終わりころで出血がほとんどなかったから」「温泉で冷え性の体やお腹を温めたかったから」という意見がありました。
一方、NOと答えた人は、「経血が漏れたら恥ずかしいから」「マナーとして、どうなのかな…」などの理由でした。
約8割の人がNOと答えていることから、生理中には公衆浴場を利用しない場合が多いということがうかがえます。
生理中の温泉、賛成は12%、反対は64.5%
「生理中の温泉利用は賛成ですか?反対ですか?」というアンケートの回答では、賛成が12.0%、反対が64.5%、わからないが23.5%という結果でした。
賛成派の意見には、「タンポンや月経カップなどを利用して対策をするなど、清潔に利用するのであれば問題ない」「量が多い日は控えた方がよいとは思うが、生理の終わりころであれば大丈夫そう」「短時間の入浴を心がける」という意見がありました。
一方、反対派の回答には、「衛生的に不安がある」「浴場などを汚してしまい、迷惑をかけてしまうかもしれないから」などが挙がりました。
比較的多くの人が、生理中の温泉入浴を控えたほうがいいと考えているようです。
生理中の温泉入浴、医学的にアリ? ナシ?
医学的にも、生理中の温泉入浴は控えたほうが無難という見方もあるようです。なぜ控えたほうがよいのか、その理由を解説していきます。
経血で浴場を汚してしまうリスク
入浴中は、水圧によって経血が外に出にくい状態ですが、お湯から上がった瞬間に経血が出ることがあります。とくに生理開始から3日までや、出血量の多い場合は、浴場を汚してしまうことも考えられます。
また、脱衣所で経血が漏れてしまい、周囲の人に心配をかけるなど、自分自身も気まずい思いをしてしまう可能性もあるかもしれません。
感染症のリスク
生理中に温泉に入浴する場合、感染症にかかるリスク、感染させてしまうリスクも考慮してみましょう。
温泉のお湯の温度や浴室の湿気は、菌が繁殖しやすい環境ともいえます。また、不特定多数の人が入浴していることもあり、自宅の浴室よりも雑菌に意識を向けたほうがいい場合も。生理中は子宮口が普段より緩んだ状態ですから、雑菌の影響で炎症を起こすこともないとは言い切れません。
そのほか、経血を介してほかの人の粘膜や傷口から感染症をうつしてしまうリスクも考えられます。
自身の体、他の人の体を守るためにも、温泉の入浴は避けた方が無難だとされるのは、このような理由からです。
貧血や脱水のリスクも
生理中には、貧血になることがあります。これは、経血といっしょに鉄分が失われるためです。温泉に入浴し、浴槽から急に立ち上がったり、体が温まると、圧迫されていた血管が一気に広がることで、脳に運ばれる酸素が不足してしまい、貧血が起きやすくなります。このことから、生理中に温泉に入ると、貧血になりやすくなるので注意が必要です。
また、脱水症状にも気をつけましょう。温泉に入浴すると汗をかき、体の水分が少なくなります。とくに生理のときには、入浴前後に水分補給することをおすすめします。
温泉旅行で急に生理になったときの対処法
温泉旅行中、生理になったときにはどのような対処をすればよいのでしょうか。見ていきましょう。
月経カップを利用する
月経カップとは、膣内に入れて生理中の経血を溜める、医療用シリコンで作られたカップのことです。最大8時間程度そのままの状態でいられることが大きな強み。
カップに経血が溜まったら中身だけを捨てて、そのあとは清潔にしたカップを改めて装着し、繰り返し使用できる新しいタイプの生理用品です。ナプキンやタンポンのようにゴミを出さないという、環境へのやさしさも注目されています。
また、月経カップは、ドロッとした経血の不快感をカバーしたり、ムレやズレが生じにくく、生理中の気になるニオイ対策にも◎。温泉旅行で生理になったら、月経カップを装着して入浴するのもおすすめです。
カップルの場合
カップルの場合は、まずパートナーに理解してもらいましょう。そして、お部屋にお風呂があればそこで入浴するようにするのも一案です。
パートナーといっしょに温泉気分を楽しみたいなら、足湯もおすすめ。足湯なら、パートナーとも温泉を楽しめます。
部屋風呂がない場合
お部屋にお風呂がない場合には、シャワーだけにするのもよいでしょう。湯船に浸からないことで、他の人や衛生面の配慮ができます。また、どうしても温泉を楽しみたい場合は、月経カップを活用するのもおすすめです。
貸切風呂ならOK?
貸切風呂なら入浴してもよさそうに思えますが、できることであれば、控えるようにするのが無難かもしれません。たとえば、脱衣場を汚してしまったりすると、あとに別の人が入るときに迷惑をかけてしまうことにもつながりかねません。他の人のためにも、貸切風呂を控えたり、月経カップの使用を検討してみるのもいいでしょう。
温泉旅行に生理がかぶりそうなときの対処法
温泉旅行の期間に生理がきそうな場合には、次の対処法を試してみましょう。
月経カップを活用してみる
生理と温泉旅行がかぶってしまいそうな場合は、月経カップを活用してみるのもいいでしょう。事前に予定がわかっている場合は、旅行時にスムーズに対応できるよう、月経カップを装着する練習や準備を進めておくのがおすすめです。
行くのをやめる場合の断り方
温泉旅行に生理がかぶりそうなときには、行くのをやめるのもひとつの手段です。
温泉旅行に行く相手が女性なら、「生理がきそうだから、温泉が楽しめそうにない」とストレートに言ってもよいでしょう。
男性の場合には、仕事や家の事情などで「急に用事が入った」というような断り方のほうが無難かもしれません。
生理を止める・ずらす
温泉旅行の予定が1〜2ヶ月よりも前に決まっている場合、ピルを服用して生理期間をずらす方法もあります。
ただし、ピルを服用してもすぐに生理をずらせるわけではありません。また、医師の処方も必要となります。温泉旅行の予定の1〜2ヶ月前に、婦人科で相談し、副作用などの説明を受けるようにしてください。
生理が理由でもキャンセル料はかかる?
生理が理由であっても宿泊するのをやめれば、当然キャンセル料はかかります。キャンセル料がかかるのなら、温泉地に行くだけ行って温泉は入らず、宿泊施設や観光を楽しむなどの対応も検討できますし、月経カップを試してみるのもいいでしょう。
生理中の温泉は対策を検討しよう
生理中は、温泉に入浴することは控えるほうがよいかもしれません。しかし、どうしても温泉を楽しみたい場合は月経カップなどで対策し、浴場や脱衣所を汚さないよう、周囲の人への配慮を心がけたいものですね。
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監修者:つづきレディスクリニック 院長 吉岡範人先生
1978年生まれ。千葉県出身。2005年、聖マリアンナ医科大学大学院を卒業。同大学初期臨床研修センター、産婦人科に入局。16年間の医局勤務中、約2年間にわたりカナダ・バンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学へ留学。がんの研究に従事。2019年に事業を引き継ぐ形でつづきレディースクリニックの院長に就任。その後、自らの発案で訪問医療を新たにスタートさせるなど、枠に捉われない多角的な医療サービスを促進。大きな注目を集めている。