【目次】
・【不眠症とは?】医師に聞いたタイプと原因
・【NG行為】不眠症改善のためにすべきこと
・【漢方薬】ドラッグストアでも購入できる
・【食べ物】良質な睡眠に大切な成分
・【ツボ押し・ストレッチ】血流アップで体ぽかぽか
・【グッズ】入眠をサポートするアイテム
【不眠症とは?】医師に聞いたタイプと原因
【1】不眠について確認
教えてくれたのは… 成田亜希子先生
(一般内科医。日本内科学会・日本感染症学会・日本公衆衛生学会所属)
『不眠』は正式な医学用語ではありません。一般的には、寝つきが悪い・眠りが浅い・夜中や明け方に目が覚めてしまう、など睡眠の長さや質が低下する症状全般のことを指します。
ただし、一時的な睡眠の乱れは『不眠』とは言いません。起床時に「寝足りない」「スッキリしない」「眠くて起きられない」といった状態が3週間以上続くときは、不眠を疑いましょう。
≪不眠の原因はさまざま≫
・ケガ・病気・激しい咳・睡眠時無呼吸症候群など、身体的な不調。
・気温や寝具の状態などの環境的要因。
・悩みごとなどのストレス。
不眠症は睡眠の長さや質が低下する病気。原因は多岐に渡りますが、成人の約20%が不眠症に悩み、15%が日中の眠気を感じているとのデータもあります。
不眠症は発生しやすい症状の一つですが、どのような原因によって起こるのでしょうか?
【2】不眠症4つのタイプ
不眠症には4つのタイプがあります。
[1]入眠障害
就寝してから実際に眠りにつくまで、長い時間がかかるタイプ。
[2]中途覚醒
[3]早朝覚醒
眠りの途中や早朝に目が覚めて、再び眠るのに時間がかかる、またはそのまま眠れなくなるタイプ。
[4]熟眠障害
十分な睡眠時間をとっているにもかかわらず眠りが浅く、起床時にスッキリしないタイプ。
【3】タイプ別の原因
不眠症の4つのタイプごとに異なる原因も確認しましょう。
[1]入眠障害
ストレス・うつ病などの精神疾患や、生活習慣の乱れなど。
[2]中途覚醒
過活膀胱などによる頻尿、せきやかゆみを引き起こす病気など。
[3]早朝覚醒
うつ病・生活習慣の乱れなど。
[4]熟眠障害
ストレス・飲酒・加齢など。
【4】睡眠不足チェックテスト
教えてくれたのは… 梶本修身先生
(医学博士。東京疲労・睡眠クリニック院長)
無意識のうちに、自覚している以上に、睡眠不足による疲れをためこんでいないかを、チェックしてみましょう。
□ 電車でよくうたた寝をする
□ ベッドに入ると、すぐに眠りに落ちる
□ 寝ている間、いびきをかいている
□ 朝は目覚まし時計で起きている
□ パジャマが寝汗でびっしょりになっている
□ 起きてから4時間後に眠気を感じる
□ 休みの日は昼まで寝ている
□ 最近、よく風邪をひく
□ ケアレスミスが多い
□ やる気が出ない
※3つ以上当てはまる人は要注意です!
【NG行為】不眠症改善のためにすべきこと
【1】朝起きたら光を浴びる
朝、太陽の光を浴びることで体内時計がリセットします。朝日を浴びた14〜16時間後に睡眠ホルモン“メラトニン”の分泌が増加。光が目に入ると脳は「朝だ」と理解し、“セロトニン”が分泌されます。
【2】寝る前は光を落とす
日が沈むと脳は夜だと判断し、“メラトニン”を分泌します。メラトニンの生成を妨げるのは強い光。寝る3時間くらい前からは間接照明を利用するようにしましょう。
【3】夕食とお風呂のタイミング
身体のリズムを取り戻すには、規則正しい生活を送ることも大切です。
≪夕食のタイミング≫
食事を摂ると胃や腸が活発に動くため、睡眠が浅くなることもあります。特に脂肪分が多い食事は消化に時間がかかるので、夕食は控えめにすることも大切。食事は就寝の3時間前までに済ませるようにしましょう。
≪お風呂のタイミング≫
睡眠前の入浴は深部体温の変化をスムーズにして入眠を促してくれます。ただし、熱いお湯は交感神経が高まり眠れなくなることも。入浴は約40度のお湯で、寝る30分前までに済ませましょう。
【4】寝る前のPC・スマホはNG
PC・スマホから発せられるブルーライトは、睡眠ホルモン“メラトニン”の生成を妨げてしまうので注意しましょう。
【5】カフェインは控えめに
睡眠を妨げるものの代表がカフェイン。コーヒー・玉露・エナジードリンク・紅茶・ウーロン茶などのカフェインの積み重ねで、結構な量になっていることも。1日300mgを目安にし、寝る4~5時間前のカフェイン摂取は避けましょう。
【漢方薬】ドラッグストアでも購入できる
■体質改善を目指す漢方薬
「古代中国から続く漢方医学の世界では、睡眠を引き起こす体質を改善することで結果として、不眠の解消へ導くことに重きを置いています。漢方医学で用いられてきた漢方薬も直接的に睡眠を誘う作用はなく、良質な睡眠がとれるような体質を取り戻す作用を持ちます。
漢方薬は即効性はありませんが、服用を続けることによって少しずつ体質が改善され、より自然な睡眠を導いてくれる効果が期待できるとされています」(一般内科医:成田亜希子先生)
【1】柴胡加竜骨牡蠣湯
\もともと体調が良かった人に/
精神的な不安を感じやすく、それが原因となって「不眠」を引き起こしている人におすすめなのが、柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)です。特に血圧が高め・便秘がちの人に。
【2】黄連解毒湯
\もともと体調が良かった人に/
気持ちが落ち着かずイライラしがちな人におすすめなのが、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)。また、ストレスによる動悸や胃もたれ・胃痛・気分が高ぶって眠れない人にも。
【3】加味逍遙散
\もともと体調が思わしくない人に/
ストレスによる頭痛やめまい・心の不調による不眠におすすめなのが、加味逍遙散(かみしょうようさん)。また、女性ホルモンの乱れ・更年期障害・生理前などに不眠になりやすい人にも。
【4】抑肝散
\もともと体調が思わしくない人に/
精神が高ぶったり怒りやすい人におすすめなのが、抑肝散(よくかんさん)。気持ちが落ち着かず寝つきが悪い人に。
【食べ物】良質な睡眠に大切な成分
【1】バナナ
教えてくれたのは… 友野なお先生
(睡眠コンサルタント/株式会社SEA Trinity代表取締役)
良質な眠りは“メラトニン(睡眠ホルモン)”の分泌が大きく関わっています。このメラトニンの分泌を促すのが“セロトニン”という物質で、そのセロトニンを生み出すのが“トリプトファン”という必須アミノ酸。
ただ、トリプトファンを多く摂取すればいいということではなく、炭水化物やビタミンB6を組み合わせることが大切。この3つをバランスよく摂取できるのが『バナナ』です。
≪食べるタイミング≫
バナナは朝に食べるのがおすすめ。同じようにトリプトファンを含む牛乳と一緒に摂ることで、トリプトファンの摂取をより強化できます。
※情報提供:日本バナナ輸入組合
【2】アーモンドミルク
人間の体でつくることのできない“トリプトファン”を豊富に含むアーモンド。寝る前に『ホットアーモンドミルク』を飲むのも、安眠におすすめです。
【3】鶏のむね肉
「私たち人間の疲れの正体は、自律神経の中枢が疲れること。その疲れを回復させるために必要なのが睡眠です。
抗酸化作用のある“イミダペプチド”という成分は、自律神経の疲労を軽減し回復を促します。そのイミダペプチドを効率的に摂取できる食品は『鶏のむね肉』。1日100g食べるのがおすすめですが、サプリでもOKです」(梶本修身先生)
【4】漢方的おすすめの食べ物
教えてくれたのは… 国際中医薬膳師:大木さと子さん
[1]不安や緊張が続いているタイプ
血を補い精神を安定させてくれる食材:ぶどう・ライチ・なつめ・にんじん・イカなど。
[2]イライラすることが多いタイプ
アルコールをよく飲む人にもおすすめの食材:トマト・セロリ・菊花・豆腐など。
[3]疲れがたまっていて気力がない・寝ても疲れがとれないタイプ
気力を充実させる食材:鶏肉・イモ類・きのこ類・銀杏・甘酒など。
[4]横になると胃のあたりがムカムカ・もたれる感じがするタイプ
消化を助ける食材:大根・かぶ・海藻類・たけのこ・ショウガ・えのき茸など。
【ツボ押し・ストレッチ】血流アップで体ぽかぽか
【1】虎口(ここう)
親指と人差し指の間にある虎口というツボをつまみ、グリグリと力を入れながら指先の方向に10回程度引っ張りましょう。自律神経を整えながら、血流促進して手足を温めます。
【2】労宮(ろうきゅう)
グーにしたとき、中指と薬指先の間にある労宮というツボを、反対の手の親指で15回ほどマッサージ。手のひらの血流を促進して、自律神経の緊張をほぐしましょう。
【3】寝る前のストレッチ 01
タオルを使った上半身のストレッチです。
▲タオルを肩幅に持ち、身体を左右に曲げます。
▲背中を丸めながら体を前に倒し、背中の筋肉を伸ばします。
▲上に上げた腕をできるかぎり後ろに引き、胸を開きます。
▲タオルの端を持って腕を下ろし、左右に開きながら背中の筋肉をほぐしましょう。
【4】寝る前のストレッチ 02
タオルを使った下半身のストレッチで、身体をあたためます。
▲仰向けで片足を上げ、足の裏にかけたタオルを下に引っ張ります。左右1回ずつ行いましょう。
【グッズ】入眠をサポートするアイテム
【1】ラベンダーのアロマオイル
リラックスする香りとして人気のラベンダー。癒しの香りに包まれて心をリラックスさせることで、良質な睡眠に導きます。
▲ヴェレダ|ラベンダー ナイトオイル
オーガニックラベンダー精油を10%配合で、肌に直接つけられるのも魅力。寝る前に首筋や肩などに円を描くようにしてなじませます。呼吸を意識しながら行いましょう。
【2】吹きもどし
吹き込むだけで『腹式呼吸エクササイズ』に。横隔膜を上下させて、自律神経を刺激しながら副交感神経を優位にし、入眠をサポートします。ベッドに入った状態で行いましょう。