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2026.07.01

「一敗地に塗れる」はただ負けることではない? ことわざの由来から意味を読み解く

「一敗地に塗れる」とは、再起が難しいほど、徹底的に打ち負かされるという意味です。二度と立ち上がれない状態になるほどの敗北であることを表しています。本記事では「一敗地に塗れる」ということわざの由来や使い方、類義語について解説します。

「一敗地に塗れる」とは?

ここでは、「一敗地に塗れる」の意味や由来、似た表現との違いなどについて解説します。

ことわざの意味

「一敗地に塗れる」とは、勝負や競争などで立ち直れないほどの敗北を経験することを意味します。「地に塗れる」は、地面に倒れて泥まみれになる様子を表しており、敗者の無残な状態を比喩的に表現しています。

単に負けることを指すのではなく、実力差を見せつけられたり、期待を大きく裏切る結果になったりした場合に使われることが一般的です。スポーツの試合結果や選挙、企業間の競争など、大きな敗北を表現する際によく用いられる傾向にあります。

一敗地に塗れる
《「史記」高祖本紀から》二度と立ち上がれないほど大敗してしまう。

出典:小学館 デジタル大辞泉

ことわざの由来

「一敗地に塗れる」は、中国の歴史書『史記』の「高祖本紀」に由来するとされることわざです。『史記』は、中国・前漢時代の武帝の時代に、歴史家の司馬遷(しばせん)によって編纂(へんさん)された書物です。

紀元前3世紀の終わりごろ、中国各地では秦王朝の厳しい政治に不満を抱いた人々による反乱が相次いでいました。沛(はい)という地域の人々も立ち上がり、劉邦(りゅうほう)を反乱軍のリーダーにしようと考えます。

しかし、劉邦は、自分にはその役目を務める力がないと考え、「一敗地に塗れる(首領になればすぐに敗れてしまい、無残な結果になるだろう)」といって、なかなか引き受けようとしなかったということです。

「地に塗れる」は、戦死した者の内臓が大地に散らばって泥まみれになっているという状況を表しており、それほどの凄惨な敗北であることを表しています。

頭痛がする女性
(c)Adobe Stock

「大敗する」との違い

「一敗地に塗れる」と「大敗する」は、どちらも大きく負けることを表しますが、ややニュアンスに違いがあるといえます。

「大敗する」は、文字どおり大きな差で負けることを意味する一般的な表現です。一方「一敗地に塗れる」は敗北の大きさだけでなく、体が泥だらけになるほど徹底的に敗北し、再起できないほどの打撃を受けたといった意味合いを含む表現として使われます。

「一敗地に塗れる」のほうが重みのある印象を与え、「大敗する」よりも劇的な敗北を表現する場合に用いられるともいえるかもしれません。

「一敗地に塗れる」を使うシーン

「一敗地に塗れる」は、単なる勝敗ではなく、決定的な敗北というニュアンスを表したい場面で使われます。

たとえば、スポーツの決勝戦で圧倒的な差をつけられて敗れた場合や、選挙で予想を大きく下回る結果となった場面などが挙げられます。

ビジネスシーンでは大型案件の獲得に失敗した場合や、事業の立て直しが難しいほど失敗したケースなどでも使われることがあるでしょう。

やや硬い表現のため日常会話で使われることは少なく、おもに報道や評論、文学などで見かけることわざです。

「一敗地に塗れる」の例文

「一敗地に塗れる」の正しい使い方を確認するため、例文をいくつか見ていきましょう。

・その武将は決戦で敵軍に一敗地に塗れ、多くの勢力を失うことになった
・優勝候補と期待されていたチームだったが、決勝戦では強豪校に対して一敗地に塗れた
・現職の議員は多くのニュースで当選間違いなしと報じられていたものの、選挙では一敗地に塗れた
・彼は議論で十分に勝てると思っていたが、相手の的確な反論を受けて一敗地に塗れた
・市場シェアの争いで一敗地に塗れた企業は、事業戦略の見直しを迫られている
・A社は新商品の販売競争に挑んだが、大手企業の前に一敗地に塗れた
・当社は大型案件の受注を目指していたが、最終的には競合企業では一敗地に塗れた

「一敗地に塗れる」の類義語

「一敗地に塗れる」のほかにも、敗北や失敗を表す類似表現があります。

・一蹴(いっしゅう)される
・惨敗(ざんぱい)する

それぞれニュアンスや使われる場面が異なるため、違いを理解して使い分けるとよいでしょう。ここでは、2つの類義語を紹介します。

うなだれて歩く人、その上から雨が降っているイラスト
(c)AdobeStock

一蹴される

「一蹴される」とは、意見や提案などが簡単に退けられるという意味です。「蹴って追い払う」という意味から転じて、取り合ってもらえないほど簡単に否定される様子を表します。

たとえば、新しい企画案が上司に即座に却下された場合や、相手の反論によって主張が簡単に覆された場合などに使われます。「一敗地に塗れる」が結果としての大敗を表すのに対し、「一蹴される」は相手に簡単に退けられる状況を強調する表現です。

(例文)
・新しい企画を提案したものの、実現性が低いとして一蹴された
・改善案を上司に提出したが、検討の余地はないとして一蹴された

惨敗する

「惨敗する」とは、非常に大きな差で負けることや、無残な結果に終わることです。スポーツや選挙などで大差をつけられて敗北した際によく使われます。

「一敗地に塗れる」と意味は近いものの、「惨敗する」は事実としての大きな敗北を表します。一方の「一敗地に塗れる」は、敗者の屈辱や無念さをより強く感じさせる表現です。

敗北の深刻さやドラマ性を強調したい場合には「一敗地に塗れる」が用いられることが多いでしょう。

(例文)
・選挙で彼は有力候補と注目されていたが、予想に反して惨敗した
・大型案件の受注を目指したが、最終的に競合企業に惨敗した

「一敗地に塗れる」は完全に敗北すること

「一敗地に塗れる」は、勝負や競争において大きな敗北を喫し、無残な結果に終わることを意味します。単に負けることを表すのではなく、相手との実力差を見せつけられたり、期待を大きく裏切る結果になったりした場合に使われます。スポーツや選挙、ビジネスなど、さまざまな場面で用いられる表現です。

「一蹴される」や「惨敗する」といった類義語がありますが、ニュアンスが異なるため、状況に応じて適切に使い分けるとよいでしょう。

メイン・アイキャッチ画像:(c)Adobe Stock

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