目次Contents
この記事のサマリー
・「憎まれっ子世に憚る」は、嫌われる人が世間で幅をきかせる状況を表すことわざです。
・読み方は「にくまれっこ、よにはばかる」です。
・「長生きする」という意味ではなく、寿命の長さを述べたことわざでもありません。
周囲から好かれているとは思えないのに、なぜか強い発言力を持つ人を見ると、割り切れない気持ちになることってありますよね。そんな場面で思い浮かぶ言葉が「憎まれっ子世に憚る」ではないでしょうか?
読み方や「憚る」の意味、長生きとの関係、使うときの注意点には、意外と見落としやすいポイントが隠れています。似た表現や外国語での言い方にも触れながら、このことわざの背景をひもといていきましょう。
「憎まれっ子世に憚る」とは?
まずは意味から確認していきます。

「憎まれっ子世に憚る」の意味
「憎まれっ子世に憚る」とは、人から憎まれるような者が、かえって世間で勢力を持ち、幅をきかせている様子を表すことわざです。周囲から好意的に見られているという意味ではなく、反感を持たれている人物が強い立場や影響力を持つ状況を指します。
不公平に感じられる状況を、皮肉を込めて評する際に使われることがありますよ。
辞書では次のように説明されています。
憎(にく)まれっ子(こ)世(よ)にはばかる
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
人に憎まれるような者が、かえって世間では幅をきかせる。
「憚る」の意味
「憚る」には、「ためらう」「遠慮する」という意味のほか、「幅をきかせる」「増長する」「いばる」という意味があります。「憎まれっ子世に憚る」では、後者の「世間で幅をきかせる」という意味で使われています。
日常でよく使われる「人目を憚る」の「憚る」とは意味が異なるため、文脈に応じて区別しましょう。
「はばかる」と「はびこる」の違い
「はばかる」と「はびこる」は音や意味が似ていますが、同じ言葉ではありません。このことわざの「はばかる」は、世間で幅をきかせることを表します。
一方、「はびこる」は、好ましくないものが勢いを増して広がることを指す言葉です。意味が重なる場面はあるものの、ことわざの定型は「憎まれっ子世にはばかる」です。
「長生き」という意味?
「憎まれっ子世に憚る」は、憎まれる人ほど長生きするという意味ではありません。「世にはばかる」は、世間で勢力を持つ、幅をきかせるという意味であり、寿命の長さを表しているわけではありません。
「憎まれっ子世に憚る」の使い方と例文
「憎まれっ子世に憚る」は、周囲から反感を持たれている人物が、強い立場や影響力を持っている状況を評する際に使います。人物そのものを称賛する表現ではなく、世の中の不公平さや割り切れなさを表すことわざです。
たとえば、次のように使えます。
「周囲への配慮を欠くことで知られているのに、彼は社内で強い発言力を持っている。まさに憎まれっ子世にはばかるだ」
「横柄な振る舞いを注意されても、取引先への影響力を背景に態度を変えない。憎まれっ子世にはばかるとは、このような状況をいうのだろう」
「憎まれっ子世にはばかるとはいうものの、自己主張ができる人まで批判するのは適切ではない」
「憎まれっ子世に憚る」の誤用に注意
仕事ができる人、出世した人、自己主張が強い人を、一律に「憎まれっ子」と表現するのは誤りです。このことわざは、周囲から憎まれるような人物が、かえって世間で幅をきかせている場合に使います。
また、「憚る」を「遠慮する」という意味に取り、「人から憎まれる者は世間を遠慮する」と解釈するのも誤用です。このことわざでの「憚る」は、「幅をきかせる」という意味です。
「憎まれっ子世に憚る」の類語・言い換え表現
「憎まれっ子世に憚る」と完全に同じ意味を持つ定型表現は多くありません。文脈に応じて、次のように言い換えることができます。
「嫌われ者が幅をきかせる」
「横柄な人物が勢力を振るう」
「周囲から反感を持たれる人が影響力を持つ」
「好ましくない人物が大きな顔をする」
「憎まれっ子世に憚る」とは対照的な意味を持つ言葉や関連語は?
「憎まれっ子世に憚る」には、決まった対義語があるわけではありません。ここでは、意味や価値観の面で対照的なことわざと、世の不条理という共通点を持つ関連表現を紹介します。
それぞれが、どのような関係にあるのかを区別して確認しましょう。
「美人薄命(びじんはくめい)」
「美人薄命」は、美しい人は病弱で早世したり、運命にもてあそばれて不幸になったりすることが多いという意味です。「憎まれっ子世に憚る」の対義語ではありませんが、世の中が人の期待どおりにはならないという不条理を表す点では共通しています。

「正直者が馬鹿を見る」
「正直者が馬鹿を見る」は、悪賢い者がずるく立ち回って得をする一方、正直な者がかえって損をするという意味です。
好ましくない人物が有利になり、望ましい振る舞いをする人物が不利益を受けるという、世の中の不公平さを表す点で関連することわざです。
「徳は孤ならず必ず隣あり」
「徳は孤ならず必ず隣あり」は、徳のある者は孤立することがなく、理解し助力する人が必ず現れるという意味です。
「憎まれっ子世に憚る」の厳密な対義語ではありませんが、人に憎まれる人物が幅をきかせる状況に対し、徳のある人物には理解者や協力者が現れるという、対照的な価値観を示しています。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
「憎まれっ子世に憚る」に関するFAQ
ここでは、「憎まれっ子世に憚る」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1.「憎まれっ子世に憚る」とは、どのような意味ですか?
A. 人から憎まれるような者が、かえって世間で勢力を持ち、幅をきかせている様子を表すことわざです。
Q2.「憎まれっ子世に憚る」の読み方は何ですか?
A.「にくまれっこ、よにはばかる」と読みます。
Q3.「憎まれっ子世に憚る」は、長生きするという意味ですか?
A. 長生きするという意味ではありません。「世に憚る」は、世間で勢力を持つことを表しており、寿命の長さについて述べた表現ではありません。
最後に
「憎まれっ子世に憚る」ということわざの本質には、「憎まれているのに、なぜか幅をきかせている」という違和感が表現されています。他人の姿を見てモヤモヤする心情は、今も昔も変わらないようですね。
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