「取らぬ狸の皮算用」とは?
「取らぬ狸の皮算用(とらぬたぬきのかわざんよう)」とは、まだ捕まえてもいない狸の皮を売ることを考えることです。そこから転じて、手にしていないものを当てにして計画を立てることをたとえる言葉として、使われるようになりました。
また、宝くじなどのように将来の不確定なことに対して期待し、うまくいったときを想定して具体的な計画を立てるといった意味でも使われます。なお「捕らぬ」と表記することもあります。
取らぬ狸の皮算用
出典:小学館 デジタル大辞泉
まだ捕まえてもいない狸の皮を売ることを考えること。手に入るかどうかわからないものを当てにして計画を立てることのたとえ。
使い方を具体例でチェック
「取らぬ狸の皮算用」は、次のように使います。
・「今日は海釣りに行ってくる。夜はお刺身を食べよう」「どうせ取らぬ狸の皮算用でしょ?」
・宝くじに当たったら何をしようかといつも考えている。取らぬ狸の皮算用だとは分かっているが、楽しくて止められない
・取らぬ狸の皮算用をするのではなく、現実的な話をしよう
たとえば宝くじの場合「当たったらうれしい」と考えたり発言したりすることは「取らぬ狸の皮算用」とはいえません。しかし「当たったらマイホームを買いたい」「1,000万円で世界旅行に行き、残りは貯金しよう」のように具体的に妄想を巡らすのは「捕らぬ狸の皮算用」といえるでしょう。

類似する英語表現
英語にも「取らぬ狸の皮算用」と類似する意味を持つ表現があります。
・Don’t count your chickens before they are hatched.(卵が孵化する前にヒヨコを数えるな)
同じ意味で次のように記すこともあります。
・Don’t count your chickens before they hatch.
すべての卵が、無事に孵化するとは限りません。確実性のない話をするよりも、現実的な話をするべきだという意味で使われます。
「取らぬ狸の皮算用」と似たことわざ・言い換え表現
「取らぬ狸の皮算用」と似た意味で使われることわざや表現としては、次のものが挙げられます。
・絵に描いた餅
・画餅に帰す
・机上の空論
・砂上の楼閣
・卵を見て時夜を求む
それぞれの意味や使い方、ニュアンスの違いなどについて、例文を通して紹介します。

絵に描いた餅
「絵に描いた餅」とは、何の役にも立たないもの、また、実物や本物でなければ何の値打ちもないことを意味する言葉です。
・仕事を紹介してくれると口約束しても、実際に紹介してくれないなら絵に描いた餅だよ。まったく役に立たない
・あの帯留めは絵に描いた餅に等しい。見た目は立派だが、実はプラスチックの安物だ
・彼の話はいつも絵に描いた餅だ。理想ばかりで中身がない
優美で素晴らしいの意味で使われる「絵に描いたよう」と混同し、「絵に描いたような餅」と表現するのは誤りです。
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机上の空論
「机上(きじょう)の空論」とは、頭の中だけで考え出した、実際には役に立たない理論や考えのことです。そもそも現実味がなく、元から役に立たないアイデアを指します。
・彼は賢そうに話しているが、現実を知らないからこそ言える机上の空論だよ
・まずは現場を見てほしい。現場を知らずに意見を述べても、それこそ机上の空論だ
・机上の空論ばかり並べ立てないでほしい
「砂上の空論」という表現を目にすることもありますが、次に紹介する「砂上の楼閣」と混同した言葉で、誤りです。
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砂上の楼閣
「砂上(さじょう)の楼閣」とは、見かけは立派であるものの、基礎がしっかりしていないために長く維持できない物事をたとえた表現です。
・彼の話は砂上の楼閣のようなものだ。美麗な言葉につい耳を傾けてしまうが、根拠に乏しく、容易に論破される
・あの家は、さしづめ砂上の楼閣だ。地盤が弱く、いずれ傾くだろう
・話が壮大すぎて、まるで砂上の楼閣だ
実現不可能なことのたとえとしても使われます。
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卵を見て時夜を求む
「卵を見て時夜(じや)を求む」とは、卵を見た鶏がヒヨコを期待するあまり、誤って時を告げることです。手に入るかどうか分からないうちから結果を予測・期待する意味で使われます。
・論文を出したばかりなのに総長賞を期待するなんて、卵を見て時夜を求む行為だ
・彼は当選者が1名だけのキャンペーンに応募し、すでに当たった気持ちになっている。卵を見て時夜を求む、とは彼のことだ
・卵を見て時夜を求むこととは分かっているが、今回の本は賞をとれそうな気がする
鶏の時を告げる鳴き方が、興奮しているように見えたことから生まれた言葉なのかもしれません。「取らぬ狸の皮算用」とほぼ同義の表現ですが「取らぬ狸の皮算用」ほどには日常的に使われてはいない傾向が見られます。
画餅に帰す
「画餅(がべい)に帰す」とは、考えたり計画したりしたことが、実際の役に立たず、無駄になることです。
・予想外の大雨で、予定したアクティビティがすべて画餅に帰した
・半年も前から彼女の誕生日の計画を立てていたが、別れてしまったので画餅に帰した
・画餅に帰すことがないよう、現実味のあることだけ予定に組み込もう
「画餅」とは、「絵に描いた餅」のことです。予定していたことが現実にならない様子を「絵に描いた餅」にたとえた表現といえるでしょう。
ときには「取らぬ狸の皮算用」を楽しむのも
「取らぬ狸の皮算用」や「卵を見て時夜を求む」は、いずれも不確実なことに対して計画を立てたり、結果を期待したりする際に使われる表現です。先走った行動をたしなめる、嘲笑する際にも使われることがあります。
「取らぬ狸の皮算用」は、必ずしもネガティブなこととは言い切れません。思わぬ幸運が身に降りかかったときを想像するだけでも、楽しい気分を味わうことができるでしょう。たまには「取らぬ狸の皮算用」を楽しんでみるのもよいのかもしれません。
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