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「一国一城」の意味と読み方
「一国一城(いっこくいちじょう)」には、漢字のとおり1つの国、1つの城という意味があります。また、それらを所有することも表す四字熟語です。
現代社会では、他者から指図されない独立した地位を築くさまを指すのが一般的です。おもに「一国一城の主(あるじ)」のかたちで使用します。
いっこく‐いちじょう〔‐イチジヤウ〕【一国一城】
出典:小学館 デジタル大辞泉
1 一つの国と一つの城。また、それを領有すること。
2 一つの国に城を一つだけ置くこと。元和元年(1615)江戸幕府が諸大名の軍事力を抑えるため、領内で居城以外の城を破却させた「一国一城令」による。
「一国一城の主」とは
「一国一城の主」とは、国や城を所有する人物のことです。優美な装飾にこだわった豊臣秀吉の大阪城、徳川家康の名古屋城など、歴史に名を残す武将たちは壮大な城を構築しました。
戦いが繰り返された歴史の中、武将たちにとって城は無くてはならないものだったようです。戦国時代には防御拠点としての役割を担い、やがて、その周囲をめぐるように城下町が発展していきます。
現代人にとっての「一国一城」は、経営する店舗やマイホームなどに言い換えられるでしょう。「一国一城の主」も、それらを所有する人物を指すのが一般的です。
「一国一城」の由来「一国一城令」
「一国一城」の意味は、1615年(元和元年)に発令された「一国一城令」に由来しています。
この法令により、それまで本城を守る目的で設けられていた「支城(しじょう)」は破壊を命じられました。
「一国一城」という言葉への理解を深めるため、ここからは歴史的背景に目を向けていきましょう。

「一国一城令」が生まれた時期
「一国一城令」が誕生したのは、大坂夏の陣が終わった時期です。大坂夏の陣では、徳川軍との戦いにより、豊臣家が滅亡を迎えました。
新たに天下を治めることになった徳川家康は、大名対策に力を入れ始めます。
大名とは、幕府から一定量の所領を与えられた武士のことです。もちろん地位は将軍より下ですが、各地に散らばる大名が力を合わせ、反乱する可能性もぬぐえません。
家康は天下安泰を目指し、大名にまつわる法令の制定や運用、整備に乗り出しました。その1つが、本城以外の城の取り壊しを命じた「一国一城令」です。
この法令により、各地に点在していた多くの支城は破壊することに。城を保有していた大名たちにとって、実に大きな出来事だったとされています。
いっこくいちじょう‐れい‥イチジャウ‥【一国一城令】
出典:小学館 精選版 日本国語大辞典
〘 名詞 〙 一領国一城の制限令をいう。江戸幕府は大名の統制とその軍事力抑制のための策として、大坂落城直後の元和元年(一六一五)六月、諸大名に対し「分国中、居城をば残し置かれ、其の外の城は悉く破却あるべし」と命じた。さらに同年七月発令の武家諸法度第六条にも同趣意の禁制を反復した。その後寛永一二年(一六三五)の武家諸法度の改正によりこの規定はさらに具体的となって、幕府の諸大名統制に相当の効果をあげた。
「一国一城令」の目的
「一国一城令」のおもな目的は、大名の軍事力をおさえることでした。とくに厳しい制約を受けたのが、豊臣家に関係する西国大名です。天下泰平を目指す家康にとって、西国大名たちは恐れるべき存在だったよう。
家康は「一国一城令」をさらに推し進めるため、同時期に「武家諸法度」を交付します。
「武家諸法度」には、新たな城の構築禁止や、城修復における幕府への届出などに関する項目が記されました。これにより、大名たちの新たな城の保有は、さらに困難を極めたようです。
ぶけ‐しょはっと【武家諸法度】
出典:小学館 デジタル大辞泉
江戸幕府が諸大名を統制するために制定した法令。元和元年(1615)徳川家康の命により2代将軍秀忠のときに発布された13箇条が最初。その後必要に応じて改訂された。城の修築や婚姻・参勤交代などについて規定。
四字熟語「一国一城」の使い方
言葉が生まれた背景をふまえ、ここでは「一国一城」の具体的な使用例をみていきましょう。自分にとって、城ともいえる大きな物を所有した場合は「一国一城」を使ってみてください。
・数年前にローンを組んで購入したマンションは、自分にとって一国一城のような存在だ
・副業のためにバーチャルオフィスを契約した。実在しないとはいえ、一国一城を得た気分だ
・カフェオープンに向けた店舗の契約が決まった。ついに一国一城の主になれそうだ
・いつかは起業し、一国一城の主になる夢をもっている
・新しいリーダーは横柄で、周囲の意見にまったく耳を傾けようとしない。まるで自分が一国一城の主と、勘違いしているかのような振る舞いだ

「一国一城」の類語や言い換え表現
「一国一城」は、シーンに応じて次の語句に言い換えることもできるでしょう。メールや会話文の参考になるよう、具体的な使用例も紹介します。
「独立独歩(どくりつどっぽ)」
「独立独歩」には2つの意味があります。1つは他者を頼らず自分を信じて行動すること、もう1つは他に並ぶものがないことです。
前者の場合、独立した地位を築くという点が「一国一城」と共通しているといえます。自分の足でしっかりと立ち、信じた道を突き進むような、強い意志が伝えられる四字熟語です。
・事業の法人手続きが完了した。何かと困難もあるだろうが、独立独歩の精神で邁進したい
・独立独歩で頑張る姿は感心するけど、何かあったらいつでも頼ってね
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「一国一城」意味や歴史への理解を深めよう
「一国一城」という四字熟語は、日本の歴史の中で誕生したとされています。現代社会では、一定の地位を築くことや、城に匹敵するような大きなものを所有するさまを表す際に使われる言葉です。
困難に負けない独立した様子を伝えたいときは「独立独歩」や「独立不撓」などへの言い換えも可能でしょう。
歴史的背景も含め「一国一城」の正しい意味を理解し、ぜひ会話で活用してください。
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