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2023.09.04

「業を煮やす」の意味や例文を紹介!「業を背負う」「業を積む」も解説

「業を煮やす」とは、物事が思うように進まずいらだつ様子を表します。「業」とは仏教用語で「カルマ」を意味する言葉。「業を煮やす」の語源にも、仏教的な考え方が大きく影響しています。本記事では「業を煮やす」の意味や例文、類義語だけでなく、「業」を用いた他の慣用句も見ていきましょう。

「業を煮やす」の意味とは?

「業を煮やす」という慣用句を聞いたことがありますか? 読み方は「ごうをにやす」。「ぎょうをにやす」ではないので、注意してください。まずは意味から確認していきましょう。

「業を煮やす」とは、物事がなかなか思う通りに進まず、腹を立てること。「業(ごう)」は仏教用語で、「カルマ」と呼ばれることもあります。仏教での「業(ごう)」は身(しん)・口(く)・意(い)による善悪の行為のことを指しており、身体と言葉と心は常に一致して行動に表れるという意味があるのだそう。ここから転じて「業(ごう)」は、「前世に行った善悪の行為によって現世で受ける報い」「理性で制御できない心の動き」を表す言葉となりました。

「業を煮やす」に用いられる「業」は、理性で制御できない心の動きを指しています。それを「煮やす」、つまりぐつぐつと熱して激しくなる様子から、抑えきれない怒りや腹立ちを沸騰させるイメージができますね。

業を煮やす女性
(c)Adobe Stock

使い方を例文でチェック!

「業を煮やす」の意味は理解できましたか? 次は実際に例文を用いて使い方を解説していきます。ビジネスでも日常生活でも、イライラがつのるシチュエーションはいくつかあるでしょう。具体的にどのような場面でこの慣用句を使うのか、ぜひ参考にしてみてください。

渋滞
(c)Adobe Stock

1:渋滞でなかなか車が進まず、みんな業を煮やしている

思うように進まないと言えば、渋滞で身動きが取れない時ですよね。特にお盆や年末年始などは交通量も増え、車で移動しようにも動きにくい時期かもしれません。急いでいる時の渋滞ほど、もどかしいものはありませんよね。まさに業を煮やしてイライラをつのらせるシチュエーションでしょう。

2:なかなか意見が出ない会議で、業を煮やした彼女が先陣を切って発言した

複数人で何かを決める時や意見を出す時に、全員が消極的だと話が進みません。みんなの自己主張が激しく、意見がぶつかり合う場合も大変ですが、何も意見が出ないのも困りますよね。仕切る人や積極的な発言をする人がいないと、物事が進まず業を煮やすことになるかもしれません。

3:何度注意しても同じことを繰り返す彼氏に業を煮やしている

恋人関係において、些細なイライラやもどかしさは時間を経るごとに溜まっていくものです。最初はスルーできる程度のものでも、それが積もって最終的に業を煮やすことになるかもしれません。良好な関係を保つためには、相手の信頼を得ることが大切。相手が不快に思う行動は、早めに改めておくべきでしょう。

4:映画館で隣にいたカップルの声が大きく、最初は我慢していたものの、とうとう業を煮やして声をかけた

静かにするべき公共の場で、他の人の話し声が大きいと目立ちますよね。注意するのにも少し抵抗があって我慢するしかない…。でもいつまで経っても話し声が気になる…。まさにこれは業を煮やす状況でしょう。公共の場では他の人の迷惑にならないようマナーに気をつけたいですね。

「業を煮やす」の類義語を紹介

「業を煮やす」にはいくかの類義語があります。「業を沸かす(ごうをわかす)」「堪忍袋の緒が切れる(かんにんぶくろのおがきれる)」「腹に据えかねる(はらにすえかねる)」などが挙げられるでしょう。それぞれの意味や使い方について解説していきますね。

1:業を沸かす(ごうをわかす)

「業を煮やす」と同じく「業」を用いた慣用句ですね。意味も全く同じで、もどかしくて腹立つ様子を表します。「煮やす」と同様に、「沸かす」はぐつぐつと熱して沸騰するイメージがありますよね。「終始失礼な態度を取る記者に、彼女は業を沸かしている」など、「業を煮やす」と同じように使うことができます。

2:堪忍袋の緒が切れる(かんにんぶくろのおがきれる)

怒りがこみ上げてくるのを我慢していたが、とうとう我慢できなくなり怒りが爆発してしまうことを言います。皆さんも日常会話でよく使う慣用句なのではないでしょうか? 「堪忍袋の緒を切らす」「堪忍袋の口を開ける」と言うこともあります。「今まで優しく注意していたが、彼の態度があまりになおらないため、ついに堪忍袋の緒が切れてしまった」というように使うことができるでしょう。

堪忍袋の尾が切れた女性
(c)Adobe Stock

3:腹に据えかねる(はらにすえかねる)

意味は、怒りをおさえることができなくなること。昔は、心や感情が腹の中に存在すると考えられていました。「腹に据えかねる」の「腹」も心や感情を指しており、それをとどめることができないという意味です。「いくら寛容な彼でも、大事な資料を汚された時は腹に据えかえて激怒していた」などという例文が挙げられるでしょう。

「業」を用いた他の慣用句にはどんなものがある?

仏教が語源である「業」を使った慣用句は他にもあります。「業が深い」「業を背負う」について、意味の違いを見ていきましょう。

1:業が深い

「業が深い」とは、前世で行った悪い行いに対する報いが、現世で身について離れないことを意味します。不運なことが起こった時に、「これは前世の悪行による報いだ」とする考え方ですね。今では、運が悪い・欲深いという意味で使われることが多いでしょう。

2:業を背負う

「業を背負う」には2つの意味があります。1つ目の意味は、過去に行った悪事や罪を抱えて生きるということ。何か不運なことが起きても、過去の行動に対する償いだと受け入れる姿勢のことを指します。2つ目の意味は、自分の宿命を探し求めるということ。

これは過去の行為に対して悪の自覚がない場合のことを指しています。過去に行ったなんらかの行動が現在に影響を与えており、そのために自分が何をするべきなのかを探す、というスピリチュアル的な考え方を表すでしょう。

最後に

「業」を使った表現は、意外にもたくさんありましたね。どの慣用句も、前世の行動が現世に繋がるという仏教的な考え方が元となっています。慣用句やことわざの中には仏教の考えが語源となっているものが多いので、ぜひ他の表現も探してみてくださいね。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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