「配偶者を表す言葉」は種類が多い
「夫」「旦那」「主人」「あなた」「パパ」といった言葉は、全て「配偶者である男性」を指すことができる言葉です。
けれど、使われる場面やニュアンスにはそれぞれに違いがあります。違いを理解した上で、ケースバイケースで使い分けることが大人のマナーにも通じます。
「夫」「旦那」「主人」「あなた」「パパ」の意味や使う場面、言葉のニュアンスを比較
「夫」「旦那」「主人」「あなた」「パパ」の5つの言葉について、それぞれ意味や使う場面、言葉のニュアンスを比較します。
意味やニュアンスを理解できると、使うべき場面を見極めるのにも役立ちます。
♦︎夫(おっと)
意味は?
法的・社会的に認められた「妻の配偶者の男性」という、最も正式な表現です。
使う場面は?
オールマイティに使える言葉ではありますが、書面やフォーマルな場面でも使われることが多く、公式文書やビジネスの場では特に「夫」と表現するのが一般的です。
この言葉のニュアンスは?
フォーマルで中立的な表現と受け取られることが多いでしょう。感情的なニュアンスは少なく、客観的な表現として使いやすい言葉です。
♦︎旦那(だんな)
意味は?
ややくだけた日常的な表現として、夫や配偶者の男性を指す表現として使われることが多いでしょう。恋人のことを「旦那」と言う女性もいます。
「旦那」という言葉には、もともと「家の主人」という意味があり、以前は商家や職人の長などを指す言葉としても使われていました。
使う場面は?
主に親しい友人や私生活を話す仲にある同僚と話すときに、使われることが多いでしょう。
ややカジュアルな響きがあるため、「うちの旦那が〜」というように親しみを込めて話すときに日常会話でよく使われます。
この言葉のニュアンスは?
くだけた印象が強く親しみやすい言葉ですが、現代ではやや古風な印象もあります。
♦︎主人(しゅじん)
意味は?
主人とは「家の主」を意味する言葉。結婚相手の男性を「家長」として尊重する意味合いを含み、かつての日本社会では、夫が家を代表する立場だったために広く使われてきました。
使う場面は?
外部の人に、自分の夫を紹介したり夫の話をしたりするときに使うケースが多いでしょう。
「主人がお世話になっています」のように、社会的な立場が上の相手や目上の人に対して夫を指すときにも用いられています。
この言葉のニュアンスは?
夫への敬意を含む表現で、現代では古風な印象もあります。今の時代における「夫婦は対等であるべき」という価値観の影響から、使用を避ける人も増えています。
♦︎あなた
意味は?
「あなた」は、二人称として相手を指す言葉。結婚生活で、妻が夫に対して親しみを込めて呼ぶ呼称としても使われています。
アラサー世代ではあまり使っている人がいない表現で、年配の妻が夫を「あなた」と呼ぶ場面は一般的です。
使う場面は?
家庭内や夫婦間で、親しみを込めて夫を呼ぶときに使われることが多く、名前を呼ぶことに抵抗がある夫婦や、ある種の距離感を保ちつつ相手を呼ぶ場合にも用いられています。
この言葉のニュアンスは?
親しみや敬意を含みつつも、柔らかで控えめな響きがあり昭和の時代を彷彿とする場合もあるでしょう。名前を呼ぶ代わりに使うことが多く、やや控えめな印象を与える言葉です。
♦︎パパ
意味は?
主に子どもがいる家庭で使われています。一般的には子どもが父親を呼ぶ際に使う言葉ですが、妻が夫を「パパ」と呼ぶこともあり、子どもと一緒にいるときや家族内での呼び名として使われることが多い傾向です。
使う場面は?
特に子どもの前で妻が「パパ」と呼ぶケースが多いでしょう。子どもがいないシーンでも、夫婦間で妻が夫を呼び慣れた呼称の「パパ」で統一している場合も少なくありません。
特に子どもを交えた会話でよく使われますが、必ずしも子どものいる夫婦だけが使うとは限らず、歳の差夫婦の妻が年上の夫を「パパ」と呼んでいるケースもあります。
この言葉のニュアンスは?
親しみを込めた家庭内での呼び方ですので、カジュアルで温かい響きがあります。歳が離れた年上の夫や包容力のある男性、大人の男性という意味も含まれることが多いでしょう。
夫の呼称はTPOを踏まえて使い分けを
夫を示す言葉は、TPOを踏まえて使い分けをするのが大人のマナーです。
適切な言葉の使い分けができれば周囲からの印象も良くなりますし、反対に不適切な呼称を使っていると教養がない印象を与えます。
家庭内での呼び方と外部に向けた呼び方を分けて使うのもいいでしょう。
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並木まき
ライター・時短美容家。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。