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「それと」って普通に使ってるけど… 敬語では使わない方がいい?
「それと」は口語的な接続詞であり、話し言葉としては自然ですが、フォーマルな場面や書面、特にビジネスメールでは少しカジュアルすぎる印象を与えてしまいます。
相手やシーンによっては「軽い」「幼い」「ビジネスマナーがなっていない」と受け取られる可能性があります。
実際にどんな印象を与えてしまうの?
メールを送る際に、本題に補足として付け足したいことがある場合、「それと」を使うことですこし馴れ馴れしく感じられることも。また、重要な内容を伝える際に「それと」を使うことで、重要な内容なのに意図せず軽い印象を与えてしまうかも。
「それと」に似た言葉
同じように注意が必要な口語的表現として、「あと」「それに」「それから」などがあります。「あと、明日の会議の件ですが」「それに、資料も必要です」「それから、確認したいことが」といった表現は、日常会話では自然ですが、ビジネスメールでは避けた方が無難です。特に、社外の方や目上の方へのメールでは、より丁寧な表現に置き換えることが重要です。
うっかり使ってしまいがちなメールのパターン

日常的にメールを書いていると、つい「それと」を使ってしまう場面があります。どんな時に使いがちなのか、具体例とともに確認しましょう。
本題に追加したい件があるとき
会議の件でメールをした後、「それと、資料の件ですが、明日までにお送りください」と追加してしまうパターンがよくあります。本題を書いた後、思い出したように別の要件を付け足す時に、つい「それと」を使ってしまうのです。
お礼メールの最後に「それと、次回の件もよろしくお願いします」と書いてしまうケースもあります。感謝を伝えた後に、別の依頼を追加する際、自然な流れで「それと」が出てきてしまいます。
依頼メールで複数のお願いをする時も要注意です。「○○をお願いします。それと、こちらの件も…」という具合に、複数の依頼事項を並べる際に使ってしまいがちです。
特に注意したいシチュエーション
初めての取引先とのメールでは、第一印象が重要です。「それと」を使うことで、ビジネスマナーを知らない会社だと思われるリスクがあります。また、上司や役員への報告メールも同様。重要な報告に「それと」を使うと、報告内容を軽視していると受け取られかねません。さらには、謝罪や重要な相談のメール。深刻な内容に「それと」を使うと、真剣さが伝わらず、誠意を疑われる可能性があります。
じゃあ何て書けばいいの?場面別の言い換え術
「それと」の代わりに使える、ビジネスにふさわしい表現をご紹介します。場面や内容に応じて、適切な言い換えを選びましょう。
追加の依頼や情報を伝えるとき
フォーマルな場面では「また」「加えて」「併せて」などの表現が適切です。
「また」は最も汎用性が高く、「加えて」「併せて」も追加の依頼や情報を伝える際に有効です。
<使用例>
「また、先日お話しした件についてもご確認ください」
「加えて、スケジュールの調整もお願いいたします」
「併せて、資料の送付も検討しております」
別の話題に移りたいとき
話題を変えたいときは、「別件ですが」「もう一点」「追加でお伺いしたい件が」などの表現がいいでしょう。「別件です」と明確に話題転換を示すことで、相手も頭を切り替えやすくなりますし、「もう一点」「追加でお伺いしたい件が」などはより丁寧に追加の質問や依頼をする際に使えます。
<使用例>
「別件ですが、システムの件でご相談があります」
「もう一点、確認させていただきたいことがあります」
「追加でお伺いしたい件がございます」
でも完全にNGじゃない!ビジネスメールで「それと」が使えるケース

「それと」という言葉は、必ずしも悪いわけではありません。相手や状況によっては、むしろ親しみやすさを演出できる場合もあります。
社内の親しい同僚とのやりとりでは、「それと」を使っても問題ありませんし、チームメンバーとのカジュアルな連絡、日常的な業務報告や相談では、自然な会話調の方が円滑なコミュニケーションにつながります。社内チャットツールでのやり取りも、比較的カジュアルな表現が許容される場面です。スピード重視のコミュニケーションでは、「それと」のような簡潔な表現が効率的な場合もあります。
親密度が高い上司との気軽な会話でも、「それと」は使えますが、メールのCCに他の人が入っている場合や、フォーマルな内容のとき、チャットで上司が入っているグループで発言する場合はは避けた方が無難です。
相手に好感を持たれるビジネスメールのコツ
メールは相手の手元に残る文書です。後から読み返した時にも違和感のない、きちんとした表現を使うことで、長期的な信頼関係の構築につながります。
だからこそ、相手との関係性や内容の重要度を考えて、適切な表現を選ぶことが大切。「それと」を「また」に変える、たったそれだけの工夫で、ビジネスメールの印象は大きく変わりますよ。
TOP画像/(c)Adobe Stock
コマツマヨ
WEBサイトライティングをメインに、インタビュー、コラムニスト、WEBディレクション、都内広報誌編集、文章セミナー講師など幅広く活動。