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「遠慮させていただきます」の意味
「遠慮させていただきます」は、相手の提案や申し出を受けずに、丁寧に断るときに用いる表現です。
「今回はご一緒できません」や「ご厚意はありがたいのですが辞退します」といったニュアンスが含まれ、相手の気持ちを尊重しながら角を立てない断り方として重宝されています。
アラサー世代がビジネスシーンで「遠慮させていただきます」を使っている場面は?

「遠慮させていただきます」をアラサー世代がよく使う場面を、例文とともに解説します。
♦︎会食の誘いを断る場面
上司や取引先、先輩から会食に誘われたけれども都合がつかないときに、このフレーズがよく用いられます。
「行けません」や「欠席します」と比較すると「遠慮させていただきます」のほうが丁寧な印象を与えられます。
例文:
「せっかくお誘いをいただきましたが、今回は遠慮させていただきます」
♦︎取引先からの提案を断る場面
取引先から提案を受けたけれど受け入れ難い内容のときに「無理です」「それはできません」などととストレートに拒絶を示すのではなく「遠慮させていただきます」を用いてやんわりとお断りするのも一般的です。
例文:
「ご提案をありがとうございます。ただ、弊社の方針とは異なるため、今回は遠慮させていただきます」
♦︎不要なものを譲られそうになった場面
不要なものを渡されそうになったときに、断る場面でもよく用いられます。
相手の厚意には感謝をしつつ、でも受け取れないときに便利なフレーズでもあります。
例文:
「お気持ちは嬉しいのですが、使いきれないので遠慮させていただきます」
「遠慮させていただきます」アラサー世代が気をつけたい注意点は?

「遠慮させていただきます」は使いやすい断り文句ではありますが、使い方には気をつけなければ誤解を招きかねません。
スマートに用いるために、気をつけておきたいポイントを解説します。
♦︎理由を添えないと冷たく感じられる
「遠慮させていただきます」という言葉自体は、丁寧な言い回しです。
しかし理由を一切添えずに使ってしまうと、相手からは「突き放された」「拒絶された」と受け止められる可能性もあります。
アラサー世代は仕事でもプライベートでも人間関係が広がりやすい時期なので、言葉選びひとつで印象も大きく変わります。「残念ですが今回は、予定が重なってしまって…」や「体調を考えて休ませてもらいます」など、状況に応じた断りの理由を軽く添えるだけで、相手も納得しやすく関係性を良好に保ちやすくなるでしょう。
♦︎相手の立場によって表現を調整する
断る相手が上司や取引先であれば、理由をしっかり伝えつつ、代替案を添えるのが望ましいでしょう。
たとえば「今回は業務の都合で難しいのですが、来月なら調整可能です」といった言い回しなら、誠実な雰囲気が伝わります。
アラサー世代は立場によって接する相手が幅広いため、表現を柔軟に切り替えることが信頼関係を築くうえで大切でしょう。
♦︎断り慣れしすぎて機械的にならないよう配慮する
「遠慮させていただきます」はビジネスシーンでの定型句のようにもなっているので、ついこの表現ばかり繰り返してしまいがちです。
しかし毎回のように同じ調子で断っていると「本当は最初から付き合う気がないのでは?」などと誤解されても不思議ではありません。
飲み会や集まりの機会が多い場合には、断り方のバリエーションを持っておくほうがスマートでしょう。
「申し訳ないけど今回は…」や「ありがたいけれど別の予定があって」など、相手やシーンに合わせて少しずつ言い方を変えながら、断るときにも相手への気遣いを怠らないようにしましょう。
「遠慮させていただきます」の言い換え表現

「遠慮させていただきます」の言い換え表現を覚えておくと、相手や状況によって言い換えやすくなります。
アラサー世代が使いやすい言い回しを紹介します。
♦︎「今回は辞退させていただきます」
招待や依頼を受けたけれど参加できない場合に使える、一般的な言い換え表現です。
「遠慮」という曖昧な表現よりもやむを得ず参加を見送るニュアンスが伝わりやすく、ビジネスでも好印象を与えやすいでしょう。
♦︎「今回は控えさせていただきます」
飲み会や食事会の誘いに対して使いやすいフレーズです。
「参加できない」というニュアンスながらも角が立ちにくく柔らかい響きもあることから、年上や取引先に対しても用いやすい表現です。
♦︎「今回は見送らせていただきます」
相手からの新しい企画や提案、仕事の依頼などに対して「今回は参加しない」や「採用しない」という意思をやわらかく伝えられる表現です。
ビジネス寄りの言い回しで、冷静に判断をしているニュアンスも感じさせやすいフレーズでしょう。
「遠慮させていただきます」で誤解を受けた体験談

「遠慮させていただきます」は柔らかめな表現ではあるものの、表情や口調、その場の雰囲気によっては自分が意図しない印象を与えてしまう場合も。
アラサー世代が実際に誤解を受けてしまったエピソードをチェックしましょう。
♦︎厚意を冷たく断って先輩から生意気に思われた
「先輩からランチに誘われた際に、淡々と『今日は、遠慮させていただきます』と答えてしまいました。
自分としては『今回は控えておく』という柔らかい断りのつもりでしたが、先輩からは『自分と食事に行きたくないのね』とネガティブに受け取られてしまったようです。
それ以降は一切誘ってもらえなくなっただけでなく、同僚から『先輩が、あなたの口調を生意気って言ってたよ』と聞いて大ショックでした」(31歳女性)
>>どうすればよかった? … 理由や代替え案を添えて!
断るときに「今日は予定があるので、また次回ぜひお願いします!」と理由や代替案を添えるとよかったかもしれません。
「遠慮します」だけだと口調や表情次第では関係性まで拒絶しているように響く場合もあるので、フォローのひと言を忘れないようにしましょう。
♦︎距離を置きたいと誤解された
「親しい取引先からの飲み会の誘いに『遠慮させていただきます』と返信しました。
礼儀正しい返事をしたつもりでしたが、相手からは『距離を置きたがっている』と受け止められてしまったのか、それ以降の商談はよそよそしい雰囲気に…。
後日上司から『断り方が、ちょっと堅すぎる表現だったかもね』と指摘を受けてしまいました。
せっかく先方と親しくなり始めていた頃だったので、別の言い方で断ればよかったと反省しました」(35歳女性)
>>どうすればよかった?… 次の機会につながるひと言を添えて!
取引先にお断りの意思を伝える場面では、「今回は都合がつかず、失礼させていただきます」「またの機会にぜひ参加させてください」など、丁寧な雰囲気を保ちながらも柔らかい表現を選んでいくと良いでしょう。
特に立場が自分よりも上の相手や取引先には、断る理由を添えたうえでさらに「次の機会」につなげる姿勢を見せたほうが◎。
「遠慮させていただきます」は単体だと冷たい印象を与える場合も
「遠慮させていただきます」は、アラサー世代にとっては使いやすい“断りフレーズ”。ただし、この表現を単体で使うと冷たい印象に受け取られやすい面は否めません。
理由を添えたり言い換えを使ったりすると、より丁寧かつ相手に配慮した断り方に。ビジネスでもプライベートでも相手との関係性を大切にしながら、自分の立場を守るために賢く使い分けていきましょう。
TOP画像/(c)Adobe Stock

並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。