耳恋♡ 推しの声が聞きたくて Vol.34|宮野真守

宮野真守(みやの・まもる)
1983年6月8日、埼玉県生まれ。2001年、海外ドラマ『私はケイトリン』で声優デビュー。『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』や『キン肉マン 完璧超人始祖編』などで主演をつとめるほか、舞台やドラマ、映画にも出演。2008年にキングレコードよりアーティストデビュー。
宮野真守さん インタビュー
宮野真守にしかできないエンタメをやり続けてきた
声優・俳優・アーティスト。その肩書きが示すように、〝宮野真守〟はひとつの枠にはおさまらない。アーティストとして、8枚目となるアルバム『FACE』を11月19日にリリース。そして、その発売を号砲とするように、同22日から日本と上海、台北を巡るアジアツアーが幕を開ける。
「昨年12月から今年1月にかけて開催したライブツアーは、新しいパフォーマンスやビジュアルを見せることができました。次は何をテーマにしようかと考えたとき、僕が自信を持って打ち出せるのは『自分にしかできないエンタメをずっとやり続けてきたこと』なんじゃないか、と。声優として、俳優として、アーティストとして、いろいろな場面でそれぞれの〝宮野真守〟を見せてきた。そんな僕自身の表現を改めてテーマに掲げてみようと考えました」
そうして決まったライブのタイトルは『VACATIONING!』。イメージソースとなったのは、さまざまな表情をもつ部屋や施設、アクティビティがそろう、バケーション先のラグジュアリーホテルやリゾートホテルだ。
「今、リゾートホテルって複合施設のようになっていますよね。そこで多彩なバケーションが楽しめるように、ステージ上でいろいろな宮野真守の顔を見せられたら… 演出も含めて、今僕がやりたいことができて面白いんじゃないかと思いました。そして、ライブを通してファンのみんなと旅をしたら、絶対にいい思い出になるなって」

そんなライブに連動しているアルバムタイトルは『FACE』。ライブテーマの根本にある〝マルチフェイス〟から生まれたものだ。
「さまざまな自分を見せることは今までもやってきたこと。だけど、そんなこれまでの経験を積んだ今の僕が、このテーマに向き合うことによって、どれだけ強いものができるんだろう… それを追求したいと思ったんです」
そして『FACE』という言葉には、もうひとつの意味が込められている。それは「時代の顔」になっていくという意志と覚悟。
「これくらい強い気持ちを込めたら自分に発破をかけられるんじゃないか、そして、本当に唯一無二の存在になれるんじゃないかという感覚がありました。エンタメを生業にしている以上、そろそろこの言葉を掲げてもいいのかなと思い始めたんです」
声優活動を始めて24年、アーティストデビューから17年。歳月と経験を重ねたことで生まれた変化がある。
「憧れと現実の違い、そしてやりたいこととできることの違いも知りました。だけど、自分ができることに一生懸命取り組むことはずっと変わらず続けてきた。その結果、やりたいことに自分が追いついてきた気がします」

積み重ねてきた経験が自分の力に変わっていく
今までの経験が、確かに自分の力になっている―それは曲づくりの場面にも表れる。
アルバム収録曲『ジャンプしてみて』は、新たな表現の場である音楽フェスを盛り上げるために生まれたキャッチーなナンバー。「フェスはあまり経験してこなかったことだから、新しい風を入れたい」とコンペにかけ、従来のチームとは異なるクリエイターたちとつくりあげた。
「すごく明確なオーダーができたんです。自分がどういうアーティスト活動をしてきたか、こういったテイストの楽曲を歌うとき自分はどうアプローチするか… 僕の信念のようなものをしっかり伝えることができた。これまで培ってきた経験がちゃんと役立っていることを実感できました」

経験値が増えていく… 歳は〝重ねられる〟もの
そうして魅力を更新しつづけるエンターテイナー・宮野真守の仕事の流儀とは。
「常にこだわり続けているのは、宮野真守という存在が面白いかどうか。こうした仕事をしている以上、面白いと思ってもらえないと僕は成立しない。『こんなものか』と思われたら終わり。求めてもらえなくなるんです。だからこそ、面白いものをつくるために妥協せずやってきました」
だが、その〝面白い〟は必ずしも〝楽しい〟と等号で結ばれる感情ではない。
「たとえばライブをつくるのも、楽しいことより大変なことのほうが多い。だけど、それも僕自身が選択したこと。仕事として選んだ以上、そういった気持ちまで〝楽しい〟にひっくるめてやっていこう、そう考えているんです」
常に面白くあり続けるために意識しているのは自分を俯瞰すること。
「『満足しないこと』とも言えるかもしれません。だって、自分がいいと思ったことが本当にいいかどうかはわからないですから。僕が面白いと思っても、ほかのだれかにとってはすごくつまらないかもしれない。よかったことも悪かったことも、いつだって脳内でひとり反省会です」
宮野さんは、現在42歳。「歳はとってしまうものではなく、重ねられるもの」と世代に向けて語ってくれた。
「大変でめげそうになったこともあるけれど、『これでいいか』で終わらせず、アップデートをあきらめずに進んできた。だから今の自分があると思うんです。歳をとることで、経験値や自分の武器が増えていく。年齢をがんばらない理由にしてはいけないし、負けちゃいけない。一年一年がんばってきたことが、今の自分の自信につながっているのかなと思います。そして歳に関係なく、いつだって自分の人生にワクワクを追い求めてほしいですね。つい年齢を理由にあきらめてしまいがちだと思うから…。だけど、すべてはきっと自分しだい!」
8thアルバム『FACE』11月19日(水)発売!

役者として培った豊かな表現力を音楽に昇華してきた、アーティスト・宮野真守。変幻自在で、多彩かつ多面的—— 約3年ぶりとなるアルバムは、さまざまなフィールドで活躍を続けるそのエンターテインメント性が凝縮された一枚に。[通常盤]¥3,630(キングレコード)
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2025年Oggi12月号「耳恋♡ 推しの声が聞きたくて Vol.34」より
撮影/曽根将樹(PEACE MONKEY) スタイリスト/横田勝広(YKP) ヘア&メイク/Saya(C+) 構成/旧井菜月
再構成/Oggi.jp
Oggi編集部
「Oggi」は1992年(平成4年)8月、「グローバルキャリアのライフスタイル・ファッション誌」として小学館より創刊。現在は、ファッション・美容からビジネス&ライフスタイルテーマまで、ワーキングウーマンの役に立つあらゆるトピックを扱う。ファッションのテイストはシンプルなアイテムをベースにした、仕事の場にふさわしい知性と品格のあるスタイルが提案が得意。WEBメディアでも、アラサー世代のキャリアアップや仕事での自己実現、おしゃれ、美容、知識、健康、結婚と幅広いテーマを取材し、「今日(=Oggi)」をよりおしゃれに美しく輝くための、リアルで質の高いコンテンツを発信中。
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