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「傍目」の意味や読み方
「傍目」の「傍」には、「そば」や「かたわら」などの意味があります。「傍目」は物事の当事者ではなく、そばにいる人や、第三者からの見た目や印象を表した言葉です。
たとえば、部署内でひとつのプロジェクトが立ち上がったとします。この場合、担当者以外の視点や部署外、社外の人の視点は「傍目」にあたるといえます。
気を付けたいのは、四字熟語にしたときに読み方が変化することです。
「傍目」の場合は「はため」または「おかめ」と読みます。会話や文章などでは「はため」と読むのが一般的です。
ただし、「傍目八目」と四字熟語にした場合は「おかめはちもく」と読み方が変化します。「はためはちもく」と読むことはないため、混同しないように気を付けましょう。
はた‐め【▽傍目】
引用:小学館 デジタル大辞泉
はたの見る目。当事者以外の人から見た感じ。よそめ。「傍目を気にする」
「傍目」の使い方
「傍目」という語句は、会話やメール文などで以下のように活用できます。
・今日のイベントでそれほど大きなトラブルがあっただなんて。傍目にはまったく気付かなかったよ
・どのような場面でも自分らしく振る舞いたいのだが、どうしても傍目が気になってしまう
・傍目には打たれ強い性格に見えるらしいが、契約前はいつも緊張している
・傍目には物事をそつなくこなしているように見える彼女だが、裏では人一倍努力していることを私は知っている
・傍目にはなんともないようだったが、彼女はそのとき、自分のミスに大きく動揺していた

「傍目」の類語「余所目(よそめ)」
「余所目」も「傍目」のように、はたからの見た目を表します。また、「傍観(ぼうかん)」や「見て見ぬふり」という意味ももつ言葉です。
「傍観」とは口出しせず、そばでただ眺めていることです。「見て見ぬふり」には、実際に見たにもかかわらず、わざと見なかったように振る舞うという意味があります。
「余所目」は類語である「傍目」より、さらに意味合いが広くなるともいえるかもしれません。
「傍目」を使った四字熟語「傍目八目」
「傍目八目」は、「当事者ではなく、第三者のほうが状況をうまく判断できる」という意味の四字熟語です。「はためはちもく」ではなく「おかめはちもく」と読みます。
「岡目八目」と書くこともあり、いずれもビジネスシーンで活用できます。ここでは、言葉の由来をもとに、その意味について掘り下げていきましょう。
「傍目八目」の由来
「傍目八目」の由来は、囲碁の世界にあります。
「傍目」とは、対局をかたわらで見ること。また、囲碁では石の数を「目(もく)」と言い表します。囲碁は黒と白の石を順に打ち、最終的に陣地が多い方が勝者となる陣取りゲームです。
「傍目八目」は、「当事者ではなく横から見ている第三者のほうが、8手先の目まで見通せる」という状況を表しています。

「傍目八目」と「岡目八目」の意味は同じ
「岡目(おかめ)」の「岡」には、「物事に直接関係をもたない立場」という意味があります。「傍目」同様、第三者からの印象を表す言葉であり、どちらを使用しても意味合いは変化しません。
「傍目八目」と「岡目八目」も、漢字が異なるだけで意味は同じです。メールや文章などでは、どちらを使っても誤りではないことを覚えておきましょう。
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「傍目八目」の使い方
「傍目八目」は、以下のように「傍目八目だ」、「傍目八目のように」などの言い回しで使用できます。
ビジネスでは、他部署や外部の人の視点を表す言葉として活用してみてください。
・今回は、他部署である君からのアドバイスが功を奏したよ。まさに傍目八目だね
・自分1人でがんばろうとせず、たまには周囲に相談してみてはどうかな。傍目八目というでしょう?
・ライバル会社の新商品について辛辣な感想が飛び交っているが、傍目八目のように外から意見を述べるのは簡単ともいえる
「傍目八目」の類語や言い換え表現
「傍目八目」は、「灯台下暗し(とうだいもとくらし)」や「他人の正目(たにんのまさめ)」などに言い換えられるケースも。
それぞれの正しい意味と「傍目八目」との違いを知り、表現の幅を広げていきましょう。
「灯台下暗し」
「灯台下暗し」とは、身近な物や事柄ほど、かえってよく見えないことのたとえです。灯台の明かりは海を遠くまで照らしますが、その足元は暗く、見通しが悪いことに由来します。
当事者であるほど物事がうまく判断できない点は、「傍目八目」と同様です。
ただし、「傍目八目」のような「第三者からの視点」という意味は含まれないことを押さえておきましょう。
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「他人の正目」
「正目」には、自分の目で直接見るという意味があります。「他人の正目」とは、他者の視点ほど客観的で公平であることを意味する言葉です。
「他人の正目」は「傍目八目」のように、第三者であるほど冷静な判断ができることを表しています。同時に、他人の意見を聞く大切さを説いた言葉といえるでしょう。
「傍目」は第三者からの視線を意味する言葉
「傍目」は、「傍目を気にする」「傍目には」のように使える言葉です。四字熟語の「傍目八目」には、第三者のほうが冷静な判断ができるというニュアンスが含まれます。
ビジネスシーンでは、周囲の意見に耳を傾けたり、冷静な判断が求められたりといった場面もあるかもしれません。
そのようなときは「傍目」に関するフレーズを思い出し、ぜひ活用してみてください。
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