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「差し支えなければ」という言葉。聞いたことはあるけれど、実際に使ったことはないという方も多いのではないでしょうか? 実は、ビジネスシーンで知っておくと便利なフレーズなのです。そこで今回は、「差し支えなければ」の意味や使い方、類語、英語表現などを解説します。「差し支えなければ」を使うポイントを押さえて、職場で活用してみましょう。
「差し支えなければ」の意味とは?
「差し支え」は、「さしつかえ」と読みます。「支え」は「ささえ」と読むことが多いですが、「さしささえ」では誤りとなってしまうため気をつけましょう。
「差し支えなければ」とは、「都合の悪い事情がなければ」「不都合がなければ」という意味です。「差し支えなければ〜していただけませんか?」というように相手に依頼をするときに使われます。いきなり「〜してもらえませんか?」と本題を切り出すよりも、柔らかい表現になるクッション言葉なので、相手への印象もよくなりますよ。
「差し支えなければ」を使う時のポイント
「差し支えなければ」は、相手の都合に配慮しながら、何かをお願いすることができるため、ビジネスシーンでは押さえておきたいフレーズ。ですが、意味を理解して使わないと困ったことになることも? 「差し支えなければ」を使う前に、あらかじめ理解しておきたいポイントを紹介します。
断られてもいい状況で使う
「差し支えなければ」は、「不都合でなければ」という意味。そのため、相手にとって不都合な提案だった場合には断られてしまう可能性も! 「差し支えなければ」を使った場合の選択権はあくまで相手側にあります。断られて困ることには使わないように注意しましょう。
例えば、書類の締め切りを伝える場合、「差し支えなければ、今週末までにご提出していただきたいのですが…」では、相手にとって不都合な場合は断られてしまいます。必ず週末までに提出してもらいたい場合には、「恐れ入りますが、週末までにご提出お願いします」と別のクッション言葉を使って依頼してみましょう。
メールや手紙でも使用できる
メールや手紙などでも「差し支えなければ」は使用可能です。特に書き言葉の場合、相手の表情や反応を直接確認できないため、より丁寧で誤解を与えない言葉を選ぶ必要があります。その点、「差し支えなければ」は、柔らかい言い回しのクッション言葉なので、相手への配慮を示しながら依頼することができますよ。
使い方を例文でチェック!
提案や依頼をするときに便利な「差し支えなければ」の使い方を紹介します。一緒にみていきましょう。
1:差し支えなければ、お時間をいただいてもよろしいでしょうか。
上司やクライアントに何か話したいことがあり、時間をとってほしい場合には「差し支えなければ」という一言を添えることで、お願いしやすくなるでしょう。たとえ、相手のスケジュールがわからないときでも、「差し支えなければ」の前置きがあれば、相手の都合に対する配慮を伝えることができます。
2:差し支えなければ、ご住所をお伺いしてもよろしいでしょうか。
名前や住所など、相手のプライベートに関わることを尋ねる際にも、「差し支えなければ」はよく使われます。「もし可能であれば」というこちらの意図を伝えることができるので、相手にも嫌な印象は与えづらいでしょう。
3:差し支えなければ、ご教示の程よろしくお願いいたします。
目上の人へアドバイスをもらいたい時などには「差し支えなければ、ご教示ください」というように使用できます。「ご教示」とは、「教え示す」という意味の「教示」に、丁寧語の「ご」をつけた言葉です。職場で何か教えてもらいたいことがある場合に、覚えておくと便利なフレーズですよ。
類語や言い換え表現とは?
「差し支えなければ」には、「もしよろしければ」「ご都合がよろしければ」などの言い換え表現があります。合わせて覚えておくと、より自分の伝えたい内容に沿った言葉遣いができるはず。さっそくチェックしてみましょう。
1:もしよろしければ
「よろしければ」「もしよろしければ」には、よくなければ断ってもいいというニュアンスがあるため、「差し支えなければ」の代わりに使うことができます。職場の先輩など比較的親しい人にお願いするときに適当な表現です。
2:ご都合がよろしければ
「ご都合がよろしければ」も、相手を尊重した言い回しです。「都合」という言葉が使われているため、「もし予定やスケジュールが空いていれば」という意味を強調できます。敬語表現なので、主に目上の人やお客様に対して使うことがポイント。同僚や後輩には、「都合がよかったら〜しない?」とカジュアルに言い換えられますよ。
3:ご面倒でなければ
「差し支えなければ」は、広範囲な不都合や支障を指しますが、こちらは面倒や手間に焦点を当てています。会社にわざわざ足を運んでもらうなど、相手にとって負担になるようなことをお願いするときに使われることが多い表現です。
「差し支えなければ」と言われた時の上手な返し方
では、反対に相手から「差し支えなければ」と言われたときにはどう返答すればいいのでしょうか。相手からの配慮のある提案には、こちらもスマートに受け答えをしたいもの。ただ一言で、「いいですよ」「それはできません」と答えるのは何となく無作法に感じられることでしょう。
もし、相手からの提案に対してOKの場合は、「喜んで」「もちろんです」、NGなら「あいにく先約がありまして」「残念ですが」「恐れ入りますが」などと答えましょう。断る際は、クッション言葉を入れることで、相手への敬意を伝えられます。
英語表現とは?
日本語における「差し支えなければ」のように、遠慮がちに相手に何かを尋ねる場合には、「If I may ask〜(もしお聞きしてよければ)」「If you don’t mind(もし、あなたにとって問題がなければ)」などを使うことができますよ。
・If I may ask, what do you do for living?(差し支えなければ、お仕事は何をされているか教えていただけますか?)
・If you don’t mind, may I ask your name?(差し支えなければ、名前をお伺いしてもよろしいですか?)
・If you don’t mind, would you tell me your email address?(差し支えなければ、メールアドレスをお伺いしてもよろしいですか?)
最後に
「差し支えなければ」は、相手にお願い事や依頼をしたいときに使うクッション言葉。相手の都合などに配慮し、なおかつ自分の伝えたいことも伝えられる便利なフレーズです。
ビジネスシーンでは、忙しい相手に何かをお願いするということも多々あるもの。そんなときに自分にも相手にも負担にならない言い回しを覚えておくことで、コミュニケーションがとりやすくなるはずです。ぜひ、「差し支えなければ」を覚えてビジネスシーンで活用していきましょう。
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