目次Contents
失敗してしまったとき、恥ずかしさや気まずさでうまく言葉にできないことってありますよね。そんな状況を言葉にすると、ちょっと気持ちが軽くなることもあります。「味噌を付ける」は、そんな気持ちにそっと寄り添ってくれるような表現です。
この記事では、「味噌を付ける」という表現について、その意味や背景、使い方を解説していきます。どのような場面で使えるのか、実例も交えて紹介していきます。
「味噌を付ける」ってどういう意味? 読み方と意味
まずは、「味噌を付ける」という言葉がどのような意味を持つのか、整理しましょう。

「味噌を付ける」の読み方と意味
「味噌を付ける」は「みそをつける」と読みます。辞書には次のように説明されています。
味噌(みそ)を付(つ)・ける
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
失敗する。また、失敗して面目を失う。「たった一度の不祥事で業績に―・ける」
「味噌を付ける」とは、失敗によって恥をかいたり、信頼や評判を落としてしまうことを意味する言葉です。
やや古い言い回しではありますが、今でも文章や会話の中で使われますよ。
「味噌を付ける」の使い方|例文で確認しよう
「味噌を付ける」は、実際にどんな場面で使えるのでしょうか? 身近なシーンを想像しながら見ていくと、使い方のコツがつかめるかもしれません。
「たった一度の不祥事が、会社の信用に味噌を付けることになった」
一度の失敗が、長年築いてきた信頼を損なう場面で使います。「味噌を付ける」は個人だけでなく、組織や企業の評判が関わるときにも使います。
「油断して遅刻し、セレモニーに味噌を付けてしまった」
日常の仕事や行事でも、うっかりした行動や判断ミスが信頼を損なうことってありますよね。「味噌を付ける」という言葉は、自らの失敗を伝える表現方法のひとつです。

「味噌を付ける」の類語をチェック
「味噌を付ける」と似た意味の言葉には、場面によって使いやすいものがいくつかあります。伝えたい気持ちや状況に合わせて言葉を選ぶことで、より適切に思いを伝えることができますよ。ここでは、そうした言い換え表現を紹介していきます。
「面目を失う(めんぼくをうしなう)」
「面目を失う」とは、自分の名誉に傷がつくことや、体面を損なうことを意味します。例えば、「仲裁に失敗して面目を失う」といったように、信頼されていた立場でうまく対応できなかったときなどに使います。
「味噌を付ける」と同じく、失敗や不手際によって評価や信頼を落としてしまった場面で使う点が共通していますね。
「名を汚す(なをけがす)」
「名を汚す」とは、名誉を傷つけることを意味する言葉です。例えば、「母校の名を汚す」といった形で、所属する団体や関係のある人々の評価まで損ねてしまうような行動に対して使います。
「味噌を付ける」と同様に、失敗や不品行によって周囲からの信頼を失う場面で使う表現です。やや重みのある言い方なので、公的な文章や深刻な場面で使うことが多いでしょう。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
「味噌を付ける」を英語ではどう言う?
「味噌を付ける」という表現には、「面目を失う」「信頼を失う」といった意味がありますが、英語でこれに近い感覚を表す表現を確認しましょう。

“lose face”
「味噌を付ける」英語では、“lose face”が感覚として近い表現です。ここでの「face(顔)」は、単に顔そのものではなく「面目」や「体面」といった意味を持ちます。
“lose face”の直訳「顔を失う」は、比喩的に「面目を失う」「恥をかく」「体面を保てなくなる」といった意味になります。「味噌を付ける」が失敗によって評判を落とす様子を表すのと、感覚的にも重なる部分があるといえるでしょう。
【例文】‟ I lost face when I confidently gave the wrong answer in front of the professor. ”
(教授の前で自信満々に間違った答えを言って、味噌を付けてしまった。)
“make a mess of it”
“make a mess of it”は、「台無しにする」「失敗して恥をかく」といった意味を持つ英語の慣用表現で、日本語の「味噌を付ける」に近いニュアンスで使われます。特に、人前で失敗して面目を失うような場面にぴったりの表現です。
【例文】‟I made a mess of the job interview—I forgot the company’s name! ”
(面接で会社の名前を忘れて、思いっきり味噌を付けてしまったよ。)
参考:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)、『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)
最後に
「味噌を付ける」は、古くから使われてきた表現ですが、現代でも失敗や恥の感覚を伝えるときに活用できる言葉です。恥ずかしい経験も、言葉で素直に表現することで、気持ちを整理できるかもしれません。そしてまた、ふとしたミスで「味噌を付ける」ことがないように、日々の行動にも気を配っていきたいものですね。
TOP画像/(c) Adobe Stock