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「粗目」という熟語を見たとき、「あらめ」という読み方はすぐに気づかれることと思いますが、もう1つ読み方があります。1粒1粒が大きい砂糖のことを指すのですが、ご存じでしょうか?
この記事では、「粗目」の読み方や意味、用例をジャンルごとにわかりやすく紹介していきます。
「粗目」とは?|読み方と基本の意味を確認
「粗目」という言葉には、見た目の印象や素材の状態をあらわす表現としての意味があります。まずは、読み方と意味を確認していきましょう。
「粗目」の読み方と意味
「粗目」は、「あらめ」または「ざらめ」と読みます。それぞれの読み方によって、意味や使われる場面が異なります。

「あらめ」と読む場合には、以下の意味を持ちます。
あら‐め【荒目/粗目】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名・形動]
1 やや粗いこと。特に、編み目・織り目また木目などが普通より粗いこと。また、そのもの。
2 荒々しいさま。また、きびしいさま。
「―ナ人」〈日葡〉
3 「荒目網」の略。
4 「荒目威(おどし)」の略。
「あらめ」は、編み目や織り目、木目などが粗いことを表します。例えば「粗目のセーター」といえば、ざっくりとした編み目のニットのことを指します。感触や印象がややラフで素朴なものに使われる言葉です。
また、性格や表現の仕方が“少し強め・厳しめ”であることを「粗目な人」などと比喩的に言う場合もあります。「荒目」と表記することもありますよ。
続いて「ざらめ」と読む場合には、以下の意味を持ちます。
ざら‐め【▽粗目】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1 「粗目糖」の略。
2 「粗目雪」の略。
3 かき氷に無色の砂糖シロップをかけたもの。みぞれ。
「ざらめ」は、「粗目糖(ざらめとう)」や「粗目雪(ざらめゆき)」の略です。
「粗目糖」は粒が大きめの砂糖のことで、煮物の照りを出したり、お菓子の表面にかけたりする際によく使われます。
「粗目雪」は粗目糖のように、大きめの積雪を意味します。
さらに、「ざらめ」と言えば、かき氷に無色の砂糖シロップをかけた「みぞれ」を指すこともあります。甘さ控えめの味わいで、夏の風物詩のひとつです。

「粗目」と「細目」の違いとは?
「粗目(あらめ)」の意味の一つに、編み目や織り目、木目などが粗いことを表すと先述しました。「細目(ほそめ)」と読む場合には、以下の意味があります。
ほそ‐め【細目】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1 細く開いた目。薄目。「―を開けて見る」
2 細くした織り目や編み目。
ここで注目すべきは、2番目の意味である「細くした織り目や編み目」です。「粗目」がざっくりとした大きな目(=目の間隔が広い)であるのに対し、「細目」は細かい織り目や編み目を指します。
例えば、同じ素材の布であっても、粗目は通気性がよく、ざっくりした質感になる一方、細目は密度が高く、繊細でなめらかな手触りになります。洗濯ネットやスポンジ、化粧用ブラシなどでも「粗目」と「細目」が選択肢として用いられることがあり、それぞれの目的に応じて使い分けられていますね。
つまり、「粗目」は目が粗く、隙間が大きい構造であり、「細目」は目が細かく、きめの詰まった構造であるという違いがあります。
「粗目(あらめ・ざらめ)」を使った例文を紹介
実際にどういった文脈で「粗目(あらめ・ざらめ)」が使われるのか、それぞれ例文で確認してみましょう。
このざるは粗目(あらめ)なので、細かい食材をこすには向いていません。
ざるの目の粗さが食材のすり抜けにつながることを示しています。「粗目」であることが不向きな場面として使われています。
お祭りの屋台で、粗目(ざらめ)をまぶしたせんべいを買いました。
この例文での「粗目」は粗目糖のことを指しています。カリカリとした食感と甘みが特徴で、せんべいの表面にキラキラとした砂糖粒がついている様子が思い浮かびます。
昔ながらのカステラは、底に粗目(ざらめ)が敷かれていて懐かしい味がする。
「粗目」はカステラの底に使われることが多く、甘みのアクセントとなるだけでなく、食感や見た目にも個性を加える要素です。

「粗目(あらめ・ざらめ)」の英語表現は?
英語では、文脈に応じて異なる語が使われますが、基本となるのは “coarse” です。
coarse
“coarse”は「粗い」「ざらざらしている」という意味を持ち、素材の粒度や表面の質感を表すときに用いられます。
crystal sugar
“crystal sugar”は、粗目糖のことを指します。ちなみに粗目雪を表すときは“corn snow”です。
最後に
「粗目(あらめ)」の布や網は、通気性のよさや手ざわりが特徴です。一方、「粗目糖」の甘さは、どこか懐かしい記憶を呼び起こすような温かみがあります。
「粗目」のように見過ごしてしまいそうな言葉でも、意味や使い方を改めて知ることで、日々の中にあるちいさな工夫や豊かさに気づけるのではないでしょうか。粗くても整いすぎなくても、そこにしかない味わいや表情がある—そんな視点をそっと残してくれる言葉です。
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