ビジネスシーンでも度々行われる「申し送り」。申し送りでは何を伝えるべきか、どうやったらうまく伝わるかといったことを悩んでいる方もいるでしょう。申し送りは、業務をきちんと遂行するために重要なものですので、適切に行わなければなりません。そこでこの記事では、申し送りの意味から伝え方のポイントまで徹底解説します!
申し送りとは?
申し送りとは、次の人に言い伝えること。ビジネスシーンでは、前任者から後任者に対して、業務に関する必要事項を伝えることをさします。申し送りの際に伝える内容のことを、申し送り事項といいますよ。
申し送りの目的は、業務を適切に行うため。申し送りが行われる時というのは、自分が取り掛かっていた業務を他の人に引き継ぐ時です。もし、ここで後任者に何も情報を伝えないと、業務がスムーズに進まないばかりか、トラブルにつながりかねません。自分が取り掛かっていた業務の内容や進捗、注意点などを後任者に申し送りをすることで、業務をきちんと遂行できるようになるのです。
類語や言い換え表現は?
続いて、申し送りと似た意味を持つ言葉や、申し送りとの違いを見ていきましょう。類語を知っておくと言い換えが可能になります。また、申し送りという言葉の意味を理解するのにも役立つはずです!
1:引き継ぎ
申し送りによく似た言葉に「引き継ぎ」があります。引き継ぎとは、「前任者に代わって、その後を引き継ぐこと」。引き継ぎは、その業務を引き継ぐことをさしますが、申し送りは、業務に必要な情報を伝えることをさす、というのが違いです。
2:伝達
伝達とは、「情報や意思、命令などを相手に伝えること」。伝達の内容のことを、伝達事項ということもあります。情報を相手に伝えるという点では申し送りと共通していますが、伝達には「前任者から後任者へ」という意味は含まれていません。そのため、申し送りよりも使える範囲が広いでしょう。
3:伝える
シンプルな言葉ではありますが、「伝える」も申し送りの類語として使えるでしょう。「当業務に関して、申し送りいたします」を「当業務に関して、必要事項をお伝えいたします」などと、言い換えが可能です。
ただし、「申し送り」には「必要事項を伝える」という意味も含まれていますが、「伝える」には含まれていません。そのため、上述した例文のように「必要事項を」と補足した方がよりわかりやすいでしょう。
使い方を例文でチェック!
申し送りは、そのまま名詞として使われることもあれば、「する」をつけて動詞として使われることもあります。ここでは、申し送りの使い方をいくつか紹介しましょう。
1:「A社に関する申し送りがあれば、教えてください」
申し送りを名詞として使っている例文です。ここでの申し送りは、「A社との取引における、これまでの経緯や知っておくべき情報などのこと」をさします。ちなみに、この申し送りは「申し送り事項」と言い換えて使ってもOKです。
2:「112号室の患者・○○さんに関して、申し送りいたします」
この例文では、申し送りを動詞として使っています。「申し送ります」でも間違いではありませんが、より丁寧な印象を与えるためには、「申し送りいたします」を使う方がいいでしょう。
申し送りがよく使われる業界は?
申し送りは、ビジネスシーンはもちろん、シフト制をとっている業界では日常的に使われます。例えば、看護や介護業界、警備業界など。特に看護や介護業界での申し送りは、患者・入居者の健康や命にも関わってくるため、非常に大切なものです。
申し送りでは、患者・入居者の様子や処置の状況、医師からの指示内容、変更内容などを伝えます。このような情報を正しく伝えることで、適切な看護や介護ができるのです。
ビジネスシーンでは、例えば営業職などで申し送りが行われます。看護や介護業界、警備業界のように1日に担当者が代わることはありませんが、異動などがあると、申し送りが必要になるのです。この際には、顧客の情報や決済者、これまでの経緯、進捗状況、契約状況などを申し送りします。
また、顧客とやりとりをする際の注意点なども申し送りしておいた方がベター。営業職においても、適切に申し送りをすることで、信頼関係を壊すことなく、その後のビジネスを円滑に進めることができます。
申し送りをする時のポイントは?
では実際に、申し送りを正しく行うにはどうすればいいのかを解説していきます。「申し送りって何を伝えればいいの?」「スムーズに行うためには、何に気をつければいい?」といった疑問を持つ看護師や看護学生の方も、ぜひ参考にしてみてください。
1:メモをとっておく
申し送りをスムーズに行うためには、事前段階として勤務中に適宜メモをとっておくことが大切です。いつ何があったのか、どのような対応をとったのか等を書き記しておきましょう。これで、申し送りの漏れを防げるはずです。
2:申し送り事項は、整理してから伝える
だらだらと話したり、必要のないことまで話すと、肝心なことが相手に伝わりにくいです。そのため、まずは伝えるべき内容を整理し、要点をまとめておきましょう。頭で考えるよりも、紙に書いた方が内容を整理しやすいかもしれません。もし何を伝えるべきかわからない場合は、先輩や上司に聞いておくのも手です。
3:項目ごとに伝える
申し送りの際には、情報を時系列で伝えるよりは、項目ごとに伝える方が相手にとってわかりやすいことがあります。時系列で伝えると、要点がつかみにくいことがあるからです。例えば看護業界であれば、「食事量」「尿量」「医師からの指示内容」「患者や家族からの要望」など、いくつかの項目に分けて伝えるといいでしょう。
4:事実と意見は分けて伝える
申し送りは、情報を適切に伝えることが大切です。その際に、事実を自分の意見のように言ったり、逆に自分の意見を事実のように言ってしまうと、誤解が生まれてしまいます。ですので、事実と自分の意見や感想を明確に分けて伝えるようにしましょう。具体的には、「ここからは私の所感ですが」などと、前置きをして話すのがおすすめです。
最後に
この記事では、申し送りの意味から申し送りをスムーズに行うためのポイントまで解説しました。申し送りに慣れていない場合は、インターネット上に申し送り書のテンプレートやエクセルのフォーマットなどもあるので、それらを活用するのもおすすめです。
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