「許婚」という言葉を耳にすると、少し古風で特別な響きを感じる人もいるかもしれません。最近ではフィクション作品の中で目にする機会も増えていますが、本来の意味を知っている人は案外少ないかもしれませんね。
そこで本記事では、「許婚」という言葉について、基本的な意味や読み方、似た言葉との違いをわかりやすく紹介していきます。
「許婚」とは? 意味と読み方をわかりやすく解説|「許嫁」との違いも紹介
まずは、「許婚」の読み方と意味について紹介していきます。

「許婚」の読み方
「許婚」は「いいなずけ」もしくは「きょこん」と読みます。どちらの読み方をしても、意味は同じです。
日常会話ではあまり登場しない言葉かもしれませんが、物語や歴史に関する作品の中では今でも見かけることがあります。
「許婚」の意味
「許婚」の意味を辞書で確認しましょう。
いい‐なずけ〔いひなづけ〕【許=嫁/許=婚】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
《動詞「いいなづく」の連用形から》
1 双方の親が、子供が幼いうちから結婚させる約束をしておくこと。
2 結婚の約束をした相手。婚約者。フィアンセ。
「許婚」とは、将来結婚することが約束されている相手を指す言葉。本人同士の意思に限らず、親や家族の取り決めによって定められる場合もあったようです。現代ではこのような制度はあまり一般的とはいえませんが、家同士の結びつきを大切にする文化の中では重要な意味を持っていました。
今では「婚約者」や「フィアンセ」といった表現を、使うことの方が多いでしょう。
「許婚」と「許嫁」の違いとは?
「許婚」と似た言葉に「許嫁」があります。「許嫁」も「いいなずけ」と読みますが、「きょか」と読む場合もありますよ。
辞書では、「許婚」と「許嫁」は、どちらも将来の結婚を約束された相手を指す言葉として説明されています。意味に大きな違いはないとされていますが、表記の違いによって、印象がわずかに変わることはあるでしょう。

「許婚」の使い方を例文で確認しよう
「許婚」がどのような場面で使われるかを知ると、言葉への理解がさらに深まるでしょう。ここでは、使い方を例文とあわせて紹介します。
幼いころから許婚として育った彼とは、自然と家族のような関係になっていました。
この例文では、幼いころから結婚の約束していた相手との間に、長い時間をかけて育まれた親密な絆が表現されています。「許婚」という言葉には、単なる約束以上に、人と人との深い結びつきを感じさせる響きがあるようです。
祖父母の時代には、親同士が許婚を決めることも珍しくなかったそうです。
この例文では、過去の社会における許婚の位置づけが語られています。親同士の取り決めによって結婚が決まることが、当時は自然な風習のひとつだったことがうかがえます。
最近話題の『許婚っきゅん』とは?
『許婚っきゅん』は、アーティストのanoさんが手がけた楽曲で、2024年10月に放送が開始されたアニメ『らんま1/2』のオープニングテーマとして注目を集めています。この曲は、あのさんと真部脩一さんが作詞を担当し、真部さんが作曲、TAKU INOUEさんが編曲を手がけています。
楽曲のタイトル『許婚っきゅん』は、「許婚」という伝統的な言葉と、恋愛感情を表す「きゅん」を組み合わせた造語です。歌詞では、恋愛の甘酸っぱさや葛藤などが描かれており、若者の複雑な感情が表現されています。また、アニメ『らんま1/2』の世界観ともリンクしていますよ。

最後に
「許婚」という言葉に触れることで、昔の社会や人々の価値観に少し近づけるような気持ちになるかもしれません。ふだんの会話ではあまり使わないかもしれませんが、物語や歴史に触れる際には、その意味を知っていることで感じ方が少し変わることもありそうです。
言葉の背景にある文化や時代の空気を味わいながら、日本語とのつながりをゆっくり楽しんでいけたら素敵ですね。
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