日常の中で、「ちょっと気取っているな」と感じる人を見かけることはありませんか? そんなときに使われるのが「気障」という言葉です。少し古めかしい印象があるかもしれませんが、小説や映画のセリフ、日常会話でも耳にすることがあります。
読み方を確認し、意味や使い方、言い換え表現について、詳しく見ていきましょう。
「気障」とは? その意味や読み方を確認
まずは、「気障」の読み方や基本的な意味を整理していきましょう。
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「気障」の読み方と意味
「気障」は「きざ」と読みます。辞書で意味を確認しましょう。
き‐ざ【気▽障】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名・形動]《「きざわ(気障)り」の略》
1 服装や言動などが気どっていて嫌な感じをもたせること。また、そのさま。「―な話し方」
2 気にかかること。心配なこと。また、そのさま。
「化物が…顕れているのぢゃあねえかと思ふから、些(ちっ)と―なところがあらあな」〈滑・七偏人・五〉
3 不快な感じを起こさせること。また、そのさま。
「そのすうすうとすすり込む音が何分(なにぶん)―だ」〈滑・浮世風呂・四〉
一般的に「気障」といえば、1つ目の意味で使われることが多いようです。意識的に洗練された雰囲気を出そうとしているものの、どこかわざとらしさを感じさせる態度や言動を指すことが多いでしょう。
「気障」の語源や由来
「気障」の語源には諸説あります。最も有力とされるのは、「きざわり(気障り)」の略語として生まれたという説です。
もう一つの説としては、極りをつけることをいう「段落(きだ)」という言葉が関係しているともいわれています。この「きだ」が変化し、「気障」となった可能性もあるようです。
どちらにしても、「気障」は人の振る舞いや話し方に対して使われる言葉であり、肯定的な意味で用いられることは少ないかもしれません。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)
「気障」の使い方|どんな場面で使われる?
「気障」という言葉は、人の態度や言動に対して使われることが多いようです。どのような場面で用いられるのか、例文をもとに考えていきましょう。
「彼の話し方は、どこか気障に聞こえる」
意識的に難しい言葉を使ったり、格好をつけた言い回しをしたりする人がいます。そのような話し方がどこか不自然で、気取った印象を与えるときに使われるでしょう。
「映画の主人公が気障なセリフを言う場面に、少し違和感を覚えた」
フィクションの世界では、あえて芝居がかった言葉を使うこともあります。そうした演出がわざとらしく感じられたときにも、この言葉が使われることがありますね。
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「彼の服装は気障だと思われるかもしれないが、本人は気にしていないようだ」
派手な服装や目立つデザインのファッションは、人によっては気障に映ることがあるでしょう。しかし、それをどう受け取るかは見る側の感覚にもよるため、主観的な表現ともいえます。
「気障」と似た表現|類語や言い換え表現
「気障」という言葉に近い表現を知っておくと、状況に応じて適切な言葉を選ぶことができます。それぞれの言葉の意味やニュアンスを確認していきましょう。
気取る
「気取る」は、何かになりきったような態度や、わざと洗練された雰囲気を装う様子を表します。自然体ではなく、どこか意識的に見せる振る舞いに対して使われることが多いでしょう。
例文:「彼は気取った口調で話す」
芝居がかる
「芝居がかる」は、身振りや言葉遣いが大げさで、演技をしているように見える場合に使われます。特に、感情を強調しすぎることで、不自然さを感じさせるときに適した表現でしょう。
例文:「彼女の驚き方は、どこか芝居がかっていた」
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体裁ぶる
「体裁ぶる」は、外見や言葉遣いに気を使い、周囲に対してよく見せようとする態度を指します。見栄を張るような場面でも使われますよ。
例文:「彼は体裁ぶって、いつも難しい言葉を使う」
「気障」を使う際の注意点
「気障」には、どこか気取った印象やわざとらしさを指摘する意味があります。そのため、例えば会話の中で直接指摘すると、皮肉や批判と受け取られる可能性があるでしょう。
冗談めかした表現として用いる場合でも、受け手の感じ方によって印象が変わることがあるため、使う場面には配慮したほうがいいかもしれません。
最後に
「気障」という言葉の意味を理解すると、表現の幅が広がりそうですね。意味を知るだけでなく、どのような場面で使うのが適切かを意識すると、より自然な形で活用できるでしょう。
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