目次Contents
「九分九厘(くぶくりん)」という言葉には、日常の中で確信や予測を伝えたいときに役立つ表現です。数字のようでもあり、比喩のようでもあるこの言葉。正しい意味や使い方を確認していきましょう。
「九分九厘」の意味と読み方
「九分九厘」の言葉の成り立ちと意味を知ることで、自然な使い方が見えてくるかもしれません。

「九分九厘」の読み方と意味を確認
「九分九厘」は「くぶくりん」と読みます。辞書で意味を確認しましょう。
くぶ‐くりん【九分九厘】
《十分(じゅうぶ)に一厘だけ足りない意から》
1 ほとんど完全に近いこと。九分どおり。「―まで出来ている」
2 (副詞的に)そうなることがほぼ確実であるさま。ほとんど。九分どおり。「当選は―まちがいない」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「九分九厘」とは、「ほとんど完全であること」「ほぼ確実」といった意味で使われる表現です。「十分に一厘だけ足りない」という字面からも分かるように、完全に近い状態を表しています。
「九分九厘」は何パーセント? 数字でイメージしてみよう
十分(じゅうぶ)とは、10等分したうちの10個のこと。そのうち一厘だけ足りないわけですから、確率にすると99%ということになるでしょう。ただし、この言葉はあくまで比喩的なもので、正確な数値を示すものではありません。
「ほぼ確実だけど、完全ではない」というニュアンスがあり、あと一歩というわずかな不確かさを伝えるために使われます。

「九分九厘」の使い方を例文で確認
ここでは、「九分九厘」を使った例文と解説を紹介します。
「九分九厘、間違いないと思います」
ある出来事について、かなりの確信を持っているときに使われる言い方です。「絶対に」と言い切るのではなく、少しの余地を残しているのがポイント。
「彼が来るのは九分九厘、間違いないと思う」
予定や予測に対して、強い確信を表したいときに使います。やや慎重なニュアンスもありますね。
「彼女の話、九分九厘おかしいと思うんだけど…」
疑問や違和感を表す際にも使われます。決めつけずに相手の意見や立場に配慮しながら、自分の感覚を伝えたいときに適しています。
「十中八九」と「九分九厘」の違いは?
「九分九厘」に似た言葉に「十中八九」があります。違いを見ていきましょう。

「十中八九」の意味を確認
まずは「十中八九」の意味を辞書で確認しましょう。
じっちゅう‐はっく【十中八九】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
十のうちの八か九まで。副詞的にも用いる。ほとんど。おおかた。「―は大丈夫だろう」「―間違いない」
「十中八九」は文字通り、十のうち八から九の割合、つまり8割から9割程度の確率や可能性を表します。転じて、「ほとんど」、「おおかた」という意味で使われていますよ。
「九分九厘」と「十中八九」の違い
「九分九厘」は、ほとんど完全に近い状態を表す言葉ですから、「十中八九」よりも高い確度を示しているといえるでしょう。
したがって、両者はどちらも確信度の高い言い回しですが、「九分九厘」はより確度が高いときに、「十中八九」は「九分九厘」よりも余白を残しておきたいときに使われることが多いといえそうです。
英語で「九分九厘」はどう表す?
「九分九厘」という言葉は、「ほぼ確実」といった高い確度を表します。では、英語ではどのような表現が近いのでしょうか?
a hundred to one
この表現は、「九分九厘確かで、ほぼ確実で」という意味で使われます。比率で確実性を伝えるスタイルで、話し言葉としてもよく用いられる表現です。
例文:A hundred to one, he’ll show up late again.
(九分九厘、彼はまた遅れてくると思うよ。)
このように、確信度の高さを伝えたいときに使える英語表現です。
最後に
「九分九厘」という表現には、強い確信と、ほんのわずかな余地を残す繊細な感覚が込められているようです。使い方を知ることで、断定を避けつつも自信を持って気持ちを伝えることができる場面が広がるかもしれませんね。
TOP画像/(c) Adobe Stock