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螺子とは?
「螺子」という言葉の読み方がわからない方もいるかもしれません。ここでは、螺子の読み方や、言葉の意味・語源などを解説します。
読み方は「ねじ」
螺子は「ねじ」と読みます。 円筒や円錐の面に沿って、螺旋状の溝をつけた部品のことです。部材と部材の接続や、ものを組み立てるときなど、締め付けるために使います。また、水道の栓や電灯のスイッチなど、螺旋状もしくは捻じるような仕組みになっている部分を指すこともあります。
螺子の「螺」はツブ・サザエなど巻貝の総称で、「螺旋」など渦巻き状のものに使われる漢字です。訓読みでは、「つぶ」「にし」と読みます。音読みでは「ら」と読み、螺子は「らし」と読んでも間違いではありません。ただし、一般的には「ねじ」と読まれる傾向にあります。
また「ねじ」は、「捩じる・捻じる」という意味から「捩子」「捻子」と書くこともあります。
ねじ〔ねぢ〕【螺=子/捻=子/捩=子/螺=旋】
出典:小学館 デジタル大辞泉
《動詞「ね(捩)づ」の連用形から》
1 円筒や円錐の面に沿って螺旋 (らせん) 状の溝を切ったもの。溝を外面に切ったものを雄ねじ、それにはまり合うように内面に切ったものを雌ねじという。物を締めつけるのに用いる。
2 ぜんまいを巻く装置。また、ぜんまい。
螺子の起源
部品の螺子が生まれたきっかけは、原子時代の人が浜辺で見つけた巻貝だともいわれていますが、明確ではありません。ほかに「火起こしに使う道具から思いついた」「土器を作るときに粘土が螺旋形状になることから発想した」という説もあるようです。
古い利用例としては、古代ギリシアのアルキメデスが考案した「アルキメデスの揚水ポンプ」が有名でしょう。
アルキメデスの揚水ポンプは、傾斜した筒の中で螺旋状のスクリューを回転させ、連続的に水をくみあげる仕組みを持つ木製のポンプです。船底にたまった水をくみ出すために使われ、古代エジプトでは水位の低いナイル川の水をくみあげるために使われていたといわれています。
螺子が日本に伝わったのは、螺子の発明からずっとあとの室町時代だとか。1549年に来日したフランシスコ・ザビエルが大内義隆に贈った機械時計に使用されていた螺子が、日本に伝わった初めての螺子だといわれているようです。

ビスやボルトとの違い
螺子と似た形状の部品に、ビスやボルトがあります。ものを締め付け固定させるという用途は同じですが、特徴や使い方がやや異なります。
螺子には螺旋状の溝があり、回転させて差し込むと抜けない構造です。側面に螺旋状の溝がある雄ねじと、内面に螺旋状の溝がある雌ねじの2種類があります。
一方、ビスとは「子ねじ」とも呼ばれ、対象物に直接打ち込める部品です。ドリルやドライバーを使い、材料に直接取り付けます。螺子との違いは、ビスの方が直径1〜8ミリほどと小さく、雌ねじを使用しないという点といえるでしょう。
ボルトとは、ナットと組み合わせて対象物を締め付ける部品です。直径8ミリ以上の大きさがあります。
ビスもボルトも螺子の一種である雄ねじであり、小さめがビス、大きめでナットとセットで使うのがボルトだといえます。
螺子の種類
螺子にはさまざまな種類があり、それぞれ用途が異なります。おもに、次のような種類があります。
- ナベネジ
- 皿ネジ
- バインドネジ
- タッピングネジ
- トラスネジ

ナベネジは、頭部が広く平たい形状で、幅広い用途で使われている代表的な螺子です。頭に厚みがある分ドライバーとしっかりかみ合い、強く締めつけることができるとされています。
皿ネジは、平らで広い頭部で周囲がくぼんでおり、材料に均等な圧力をかけます。頭部をフラットに仕上げたいときにぴったりです。
バインドネジは、頭部が台形で上面が丸くなっており、螺子が回転して素材をしっかりと締め付けます。
タッピングネジは、穴を開けずに材料に直接ねじ込める螺子。尖った先端で自己切削能力があり、おもに金属材料への取り付けに使われているようです。
トラスネジは、頭部が広くて平らな形状。接地面が大きくなることで材料に均等な圧力をかけ、強く固定します。
螺子を使った言葉
螺子を使った言葉には、次のような慣用句があります。
- 螺子が緩む(ねじがゆるむ)
- 螺子を巻く(ねじをまく)
それぞれ、意味を詳しくみていきましょう。

螺子が緩む
「螺子が緩む」とは、緊張感がゆるんでだらだらしていることを表す慣用句です。螺子がしっかり締め付けられていないため、緩んでしまう様子をたとえています。
〈例文〉
- 連休明けは出社した社員の螺子が緩みがちで、遅刻する者や仕事でミスをする者が多くなる
- 目標にしていた全国大会の試合が終わると、選手は螺子が緩んだように覇気をなくしてしまった
螺子を巻く
「螺子を巻く」とは、だらしない態度や行動などを励ましたり叱ったりしてきちんとさせるという意味です。螺子でものを締め付けることをたとえています。自分自身に対して気を引き締めるときにも使います。
〈例文〉
- 今日は取引先を招いた重要なプレゼンがあるので、しっかり螺子を巻かなければならない
- 試合に勝利して喜んでいる選手に対して、監督は「初戦に勝ったぐらいで浮かれていてはだめだ」と螺子を巻いた
螺子を正しく読もう
螺子は「ねじ」と読み、ものを固定するために広く使われる部品です。
螺子にはさまざまな種類があり、固定するものの素材に応じて使い分けられます。螺子と似た部品にビスやボルトがあり、螺子の一種ですが形状や用途が異なることは押さえておきたいところ。
螺子を使った慣用句には、「螺子が緩む」「螺子を巻く」が挙げられます。どちらも螺子を使った状態をたとえにした言葉です。意味を理解し、正しく使うようにしましょう。
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