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「独断専行(どくだんせんこう)」という言葉には、強い印象が含まれています。自分勝手と見なされることもあれば、時に決断力として評価されることもあるでしょう。
この記事では、「独断専行」の意味や使い方、類語や英語表現などを通じて、この言葉の背景と現在の受け止められ方を整理してみましょう。
「独断専行」とは? 意味や使い方を解説
日常会話や職場でも使われる「独断専行」という言葉は、立場や関係性によって受け取られ方が変わることもあります。まずは基本となる意味を見ていきましょう。

「独断専行」の意味
まずは「独断専行」の意味を辞書で確認します。
どくだん‐せんこう〔‐センカウ〕【独断専行】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名](スル)物事を独断で勝手に推し進めること。「執行部が―する」
「独断専行」とは、他者と相談せず、自分の判断で物事を進めることを意味します。ひとりで決めてひとりで動くという姿勢に対して、批判的に使われる場面が多いようです。とはいえ、状況によっては迅速な判断として受け止められることもあるでしょう。
「独断専行」を使った例文を深掘りし、理解を深める
意味の把握だけでなく、具体的な場面を想像することで理解がより深まります。ここでは、「独断専行」を使った例文を紹介していきましょう。
彼の独断専行が、チームの信頼を揺るがせた。
この例文では、組織の中での独自判断が周囲の信頼関係に影響を及ぼしたことを示しています。結果としていいか悪いかではなく、協調性の欠如が問題視されている様子が表れていますね。
上司の独断専行に部下たちは困惑していた。
この場面では、上位者による意思決定が一方的であり、周囲の十分な理解や準備を得られなかったことが暗示されています。現場の声を拾い上げる姿勢がないと、孤立を招く可能性もあるでしょう。

「独断専行」の類語や言い換え表現とは?
「独断専行」は強い印象を与える言葉ですが、場面によっては別の表現に置き換えることで、ニュアンスをやわらげたり、意図を伝えやすくしたりすることがあります。ここでは、近い意味を持つ言葉を紹介していきましょう。
横暴(おうぼう)
力や立場を利用して、無理を通すようなふるまいを指します。相手の意見を無視して行動する場合に使われます。
例文:彼の横暴な態度に、職場の空気が重くなった。
専横(せんおう)
自分の思い通りにふるまい、他人を顧みないことを意味します。特に権力や立場を利用して一方的に振る舞う場面で使われます。
例文:その上司は部下の意見を聞かず、専横ぶりが目立っていた。
「独断専行」の対義語は?
反対の意味を持つ言葉を知っておくことで、場面に応じた表現の使い分けがしやすくなります。「独断専行」とは対照的な態度を表す言葉を見てみましょう。
満場一致
その場にいる全員の意見が揃うことを指します。話し合いや議論を経て、合意に達した場面などで使われます。
例文:新しい方針は、満場一致で採用された。

英語では「独断専行」をどう表現する?
「独断専行」に近い意味を持つ英語表現に、“act on one’s own authority”があります。この表現は、自分の判断だけで行動することを意味しますよ。例えば、“He acted on his own authority and was criticized for it.”(彼は独断で行動し、非難された)というように使われます。
「独断専行、作戦無視」とは何?
「独断専行、作戦無視」というセリフは、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』第拾六話「死に至る病、そして」に登場します。このエピソードでは、主人公の碇シンジが指示を無視して単独行動を取り、その結果、敵である使徒に取り込まれてしまいます。
これに対し、同僚の惣流・アスカ・ラングレーが「独断専行、作戦無視。まったく、自業自得もいいとこね」と批判するシーンが出てくるのです。
このフレーズは、シンジの自己判断による行動と、それに伴う作戦の逸脱を表すもの。『エヴァンゲリオン』シリーズでは、登場人物たちの心理的葛藤や人間関係が複雑に描かれており、このセリフもその一部として視聴者の印象に残るものとなっています。
最後に
「独断専行」という言葉は、組織や人間関係における行動と配慮のバランスを考えるうえでヒントになる表現です。時に批判の対象となりやすい言葉ですが、背景や文脈を丁寧に読み解くことで、より柔軟なコミュニケーションが生まれるきっかけになるかもしれませんよ。
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