「多事多端」という文字の並びからは、少し硬い印象を受けますが、どんな意味を持つ言葉でしょうか? 正確な読み方と意味を知れば、ビジネスの場や、文章の中で自然に使える言葉として役立ちますよ。
この記事では、具体的な使い方や例文、言い換えをわかりやすくまとめました。
「多事多端」ってどんな意味?
最初に「多事多端」の読み方と意味を確認しましょう。

「多事多端」の読み方は「たじたたん」
「多事多端」は、「たじたたん」と読みます。語感にリズムがあり、タ行の響きが耳に心地いい言葉です。辞書には次のように解説されています。
たじ‐たたん【多事多端】 [名・形動]
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1 仕事が多くて、非常に忙しいこと。また、そのさま。
2 事件がうち続き、世の中が騒がしくて穏やかでないこと。また、そのさま。
「多事多端」とは、文字どおり「多くの用事が多方面にわたる」という意味です。いくつもの用事が重なり、慌ただしい様子を表します。
第2の意味として、事件や出来事が次々と起こって、静かに落ち着いていられない状態を指します。災害が続いたり、悲惨な事件の報道が重なったりすると、心の落ち着きが奪われてしまいますよね。そのような「慌ただしさが続き、心がざわつくこと」を表現するときに、この言い回しがぴったりです。
どんな時に使える?「多事多端」
「多事多端」は、日常会話ではあまり聞きませんね。どのような状況で使えるのか、具体的な例文を通して、自然な使い方を身につけましょう。
「今月は多事多端で返信が遅れてしまいました」
「多事多端」は、ビジネスシーンでも使うことのできる言い回しです。
例えば、メールで「最近とても忙しくて…」と書く代わりに、「現在、多事多端で恐縮ですが…」と表現することができますよ。

「今年は台風に地震に洪水と、多事多端の年になった」
自然災害が立て続けに襲ったことを伝える表現として使うことで、より深刻な状況が伝わってきます。単なる忙しさを超えて、心が休まらない重苦しさまで伝わってくるようです。
「多事多端」を言い換えるなら?
「多事多端」は少し硬い響きがあるので、もっと気軽に感じられる表現を覚えておくと、日常会話で役立ちます。似た意味の言い回しもあわせてチェックしておきましょう。

「慌ただしい」
「多事多端」をより日常的な言葉で言い換える場合、「慌ただしい」が挙げられます。やることが多くて忙しいという意味で、次々とせき立てられるような、落ち着かない様子を表し、心のざわつきを伝えられる表現です。
日常的によく使われるため、気軽に使える言葉ですね。 他にも親しみやすい表現として、「目が回る忙しさ」や、「猫の手も借りたいくらい忙しい」などが挙げられます。
「多事多難」
次に、「多事多端」と一文字違いの言葉「多事多難」について、見てみましょう。辞書にはこう記されています。
たじ‐たなん【多事多難】 [名・形動]
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
事件が多くて、困難が絶えないこと。また、そのさま。「今年は―の一年であった」
ここまで見てきたように「多事多端」が、用事の多さや慌ただしさを表すのに対し、「多事多難」は解決すべき問題や苦労の多さを示すので、より深刻さを含む言葉です。 単に忙しいだけでなく、問題解決に追われる苦労を語る場合は、「多事多難」を使うことで、その困難さが伝わるでしょう。
最後に
「多事多端」は、用事や出来事が重なり合って手が回らない慌ただしさを表す言葉です。読み方と意味を押さえたうえで、メールや文章で使うと、スマートに忙しさを伝えられますよ。
類似する「多事多難」との違いにも注意しながら、適切な場面で使い分けてみてください。色々な表現を知っておけば、豊かなコミュニケーションが生まれますよ。
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