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そもそも「五月雨式」の意味とは?
「五月雨式に申し訳ございません」の「五月雨式」とは、「五月雨(さみだれ)」と呼ばれる旧暦の5月頃(現在の6月頃)に降る長雨から由来する表現です。
この時期の雨(五月雨)が「断続的に降ったり止んだりする」様子から「五月雨式」という表現が生まれました。
一方、ビジネス用語としての「五月雨式」は「物事を一度にまとめず、断続的に行うこと」を意味しています。資料や報告書を少しずつ送るシチュエーションや、何度もメールを送るときによく使われている言葉です。
「五月雨式に申し訳ございません」の使い方と注意点

「五月雨式に申し訳ございません」を使うのに適している場面と、一般的な使い方や注意点について解説します。
♦︎メールでの使用例
1通のメールではなく何通ものメールに分かれて小出しに情報を送っている場面で「五月雨式に申し訳ございませんが、追加の情報をお送りいたします」などと記載します。
また「短い期間に何度も連絡を送ってしまい、申し訳ありません」という意味で「五月雨式の連絡となり、大変申し訳ございません」などと使います。
♦︎会話での使用例
「五月雨式」は書き言葉としてだけでなく、話し言葉としても使えます。
たとえば「先ほどの件で、追加でご報告がございます。五月雨式になり申し訳ありません」や「五月雨式に書類をお送りしてしまい、失礼いたします」のように、メールで使う場面と同様に“物事を一度にまとめず、断続的に行っていること”をお詫びする趣旨で使用します。
♦︎「五月雨式に申し訳ございません」の注意点
この言葉はフォーマルな言い回しとして、丁寧な表現に該当します。
しかし何度も使いすぎると、仕事を計画的にできていない印象を強めるリスクがあるでしょう。メールでも連絡でも受け取った相手の手間を少なくするよう気を配り、なるべく一度にまとめて伝える工夫をするのがマナーです。
思いつきでメールを書くと複数の連絡を“五月雨式”で繰り返しがちですので、先方にメールを送る前に必要な事項がすべて入っているかを見返すようにしましょう。
「五月雨式に申し訳ございません」の類似表現・不適切な場面は?

「五月雨式に申し訳ございません」は万能で便利な言い回しに見えますが、他の言い方が適している場面もあります。またこのフレーズを使うべきではない、つまり使用が不適切な場面もあります。
♦︎「五月雨式に申し訳ございません」の言い換えかた
「五月雨式に申し訳ありません(申し訳ございません)」は、“何度も連絡をしてしまって申し訳ない”という意味をもつ他の言い回しに言い換えることもできます。
たとえば、よりわかりやすく簡潔な表現で言い換えるならば「小出しになり、申し訳ございません」が適していますし、“五月雨式”の意味を直接言い換えてもっとわかりやすい表現を使うならば「断続的に連絡をしてしまい、申し訳ございません」でも問題ありません。
♦︎「五月雨式に申し訳ございません」が不適切な場面
このフレーズは「断続的に何度も連絡をする」状況に適していることから、一度の連絡で済んでいる場面で使うのは不適切です。
また、この言い回しは軽い謝罪の意味しかもたないため、重大なミスや遅延にまつわる連絡を断続的にしているときには「度重なるご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません」など、より丁寧な表現が求められます。
取引先の上役など目上の人に送る際にもより丁寧な表現が適しているケースが少なくなく、その場合には「五月雨式に申し訳ございません」ではなく「何度も連絡を差し上げる形となり、大変失礼いたします」などの表現が好まれます。
「五月雨式に申し訳ございません」は適切な場面で使用をするべき言葉
「五月雨式に申し訳ございません」は、たびたびビジネスメールで目にする一般的な言い回しですが、状況に応じて使い分ける必要がある言い回しです。
断続的な連絡をしていてかつ重大な謝罪が必要ではないシーンで、目上や日本語に不慣れな相手ではない場合に使いやすい表現と言えるでしょう。
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並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。