何かを話し始めるとき、最初の言葉が印象を左右することがあります。「開口一番」という言葉は、そんな場面で使われる表現の一つです。落語の世界にも関係があるといいます。
そこで、この記事では「開口一番」の意味や使い方、類語表現について考えていきましょう。
「開口一番」とは? 言葉の意味と由来を知る
「開口一番」の意味や落語との関係を知ることで、使う場面がより明確になるかもしれません。詳しく見ていきましょう。
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「開口一番」の意味とは?
「開口一番」は、「かいこういちばん」と読みます。辞書で意味を確認しましょう。
かいこう‐いちばん【開口一番】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
1 話し始めるいちばん初め。副詞的にも用いる。口を開くやいなや。「―相手を批判した」
2 寄席や落語会などで、いちばん初めに演じる前座のこと。
「開口一番」とは、「話し始める一番初め」だったり、「話し始めるやいなや」という意味があります。単に話の冒頭を指すだけでなく、勢いよく発言するような場面で使われることもあるでしょう。
落語の「開口一番」とは?
落語でいう「開口一番」は、一番最初に演じる前座のことを指し、落語家の格付けで最下位の者のことをいいます。
ちなみに、前座の一つ上の立場を、「二つ目」。そして、落語家の最高の資格を真打(しんうち)といいます。真打は、寄席でも最後に登場しますよ。
「開口一番」の使い方|どんな場面で使われる?
「開口一番」は、会話の冒頭で何かを強調する際に使われる表現です。ビジネスや日常会話では、どのような状況で適切に使えるのか、具体的な例を見ていきましょう。
「開口一番、『本件を必ず成功させます』と力強く宣言した」
この場合、「開口一番」は、話し手が最初に力強い言葉を発したことを表しています。特に、ビジネスの場面では、最初の言葉が印象を左右することもあります。自信を示したり、相手の期待を高めるような発言をするときに適した使い方です。
「久しぶりに会った友人が、開口一番、『最近どう?』と聞いてきた」
久しぶりに会った友人が、挨拶よりも先に近況を尋ねた状況を表しています。「開口一番」を使うことで、相手が待ちきれずにすぐに本題に入ったような雰囲気が伝わります。カジュアルな会話の中でも、自然に使える表現です。
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「開口一番、謝罪の言葉を述べたことで、相手の態度が和らいだ」
謝罪を伝える際に、「開口一番」が使われています。特にトラブルの場面では、最初に謝罪の言葉を述べることで、相手の印象が変わることもありますね。最初の一言が、その後のやり取りの雰囲気を左右する場面で、「開口一番」と表現するのは適切な使い方だといえるでしょう。
「開口一番」の類語や言い換え表現
似た意味を持つ表現を知っておくことで、場面に応じた適切な言葉を選ぶことができるでしょう。「開口一番」と同じような意味を持つ表現をいくつか紹介します。
第一声(だいいっせい)
「第一声」は、「最初に発する言葉」を指します。「開口一番」と同様に、話の冒頭で強調したい内容を伝えるときに使われますが、より一般的で、場面を選ばずに使いやすい表現といえるかもしれません。
例文:「新しい上司は、第一声で『みんなで力を合わせていきましょう』と呼びかけた」
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口火を切る(くちびをきる)
「口火を切る」は、「物事をし始める」「話し始める」といった意味を持ちます。「開口一番」よりも、議論や討論、会議の場面で使われることが多い表現です。特に、話の流れを作る重要な発言を指す場合に適しているでしょう。
例文:「会議の冒頭、部長が口火を切って、新しいプロジェクトの方向性を説明した」
冒頭
よりフォーマルな表現を使いたい場合には、「冒頭」が適しています。「冒頭」は公式な場面や文章の中でもよく使われるため、場面を選ばずに用いることができるでしょう。
例文:「スピーチの冒頭で、彼はまず感謝の言葉を述べた」
最後に
「開口一番」という言葉は、話し始めのインパクトを表現するのに適しています。適切な場面で使うことで、より自然で効果的な会話ができるかもしれませんね。
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