日常の中で、思うようにいかず、もがき苦しむような状況は誰しも経験するものです。そんなときに使われる表現の一つが「足掻く」ですが…。何と読むかわかるでしょうか?
この記事では、「足掻く」の読み方を確認し、意味や由来、使い方について詳しく解説していきます。
「足掻く」とは? 読み方と意味を確認
「足掻く」という言葉は、何と読み、どのような意味があるのでしょうか? まずは読み方と基本的な意味を確認していきましょう。
「足掻く」の読み方と意味は?
「足掻く」は「あがく」と読みます。辞書で意味を確認しましょう。
あ‐が・く【▽足×掻く】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[動カ五(四)]
1 手足を振り動かしてもがく。じたばたする。「水面に浮かび上がろうと―・く」
2 活路を見いだそうとして必死になって努力する。あくせくする。「今さら―・いてもしかたがない」
3 馬などが前足で地面をかく。また、そのようにして進む。
「馬は―・いた。(馬車ノ)車輪は廻らぬままで、…石ころの上を引きずり出した」〈伊藤整・馬喰の果て〉
4 いたずらをして暴れ回る。ふざける。
「禿(かぶろ)どもも、―・いたら遣手(やりて)に告げて𠮟らすぞ」〈浄・博多小女郎〉
「足掻く」とは、単にじたばたするという意味だけでなく、状況を打開しようとする必死な努力を表す意味もあります。一般的には、「もがきながら現状を変えようとする」という意味で使われることが多い言葉です。
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「足掻く」の語源は?
「足掻く」は、馬が足を動かして地面をかく仕草から来ているといわれています。もともとは動物の動きに由来する言葉ですが、現在では比喩的に「苦境から抜け出そうとする行動」を指すことが多くなっていますね。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)
「足掻く」と「もがく」の違いは?
「足掻く」と似た言葉に「もがく」があります。2つの言葉には微妙な違いがあるようです。詳しく見ていきましょう。
「もがく」の意味を確認
まずは、「もがく」の意味を確認しましょう。
もが・く【×踠く/藻×掻く】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[動カ五(四)]
1 もだえ苦しんで手足をやたらに動かす。あがく。「相手の腕から逃れようと―・く」
2 事態をなんとかしようとあせる。いらだつ。「怠惰な生活を改めようと―・く」
[補説]「藻掻く」は当て字。
「もがく」は、苦しみながら必死に動くことや、どうにかして状況を変えようとすることを表す言葉だとわかりました。
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「足掻く」と「もがく」はどう違う?
「足掻く」と「もがく」は、どちらも苦しい状況から抜け出そうとする意味を持ちますが、ニュアンスには違いがあります。「足掻く」のほうが、より絶望的な状況で使われることが多いのが特徴です。
「最後の足掻き」「悪足掻き」という表現からもわかるように、努力しても報われないような場面でも使われます。
「足掻く」は、「無駄な努力」という意味で使われることもあるでしょう。
参考:『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)
「足掻く」の英語表現は?
「足掻く」の意味に近い英語表現としては、「struggle」が挙げられるでしょう。「struggle」は努力しながら困難を乗り越えようとするニュアンスがあります。
例文:I struggled to get out of the difficult situation.(私は困難な状況から抜け出そうと足掻いた。)
「足掻く」を使った具体的な例文と解説
「足掻く」は、状況を打開しようと必死に努力する様子や、無駄に抗う様子を表す言葉です。日常会話や文章でどのように使われるのか、具体的な例を見ていきましょう。
「試験前になって足掻き始めても、間に合わないかもしれない」
直前になって慌てて勉強を始めても、時間が足りず成果が出ない可能性があることを表しています。「足掻く」は、準備不足のまま焦って努力するような場面で使われることが多く、計画的に行動しなかったことへの皮肉を込めて使われることもあるでしょう。
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「どんなに足掻いても、結果はもう変えられない」
すでに決まったことに対して、いくら抵抗しても無駄であるという状況を示しています。「足掻く」は、諦めの気持ちや、抗ってもどうにもならないという意味を含む場合があるため、状況の厳しさを強調したいときに適した表現です。
「彼はチャンスを逃すまいと、最後まで足掻き続けた」
必死になって状況を打開しようと努力する様子を表しています。ここでは「足掻く」が前向きな意味で使われており、諦めずに粘り強く挑み続ける姿勢が伝わります。努力が報われるかどうかは別として、何とかしようと試みる様子を強調したいときに使われる言葉です。
最後に
「足掻く」という言葉は、「困難な状況を打破しようとする意志」も含んでいます。会話や文章の中では感情をより深く伝えることができる言葉だといえますね。
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