固陋蠢愚とは?
固陋蠢愚は「ころうしゅんぐ」と読み、価値観の狭さや変化を拒む姿勢を表す言葉。日常ではあまり使われない表現ですが、近年では、漫画やアニメなどの作品内で使われることで注目されているようです。
ここでは、言葉の意味や成り立ち、作品内での使われ方を解説します。
言葉の意味・成り立ち
「固陋」は古い考えに固執して視野が狭い様子を表し、「蠢愚」は知恵が足りず、物事の本質を理解できない愚かさを指します。
固陋蠢愚は、これら2つの言葉を組み合わせ、時代の変化や新しい価値観を受け入れようとしない態度を非難する表現として用いられます。他人の意見を聞かず、視野が狭いために柔軟な判断ができないという意味合いといえるでしょう。
こ‐ろう【固×陋】
出典:小学館 デジタル大辞泉
[名・形動]古い習慣や考えに固執して、新しいものを好まないこと。また、そのさま。「旧時代の固陋な人々」「頑迷固陋」
しゅん‐ぐ【×蠢愚】
出典:小学館 デジタル大辞泉
[名・形動]無知で愚かなこと。また、そのさま。
「我心身の働を拡て達す可きの目的を達せざるものはこれを―と云う可きなり」〈福沢・学問のすゝめ〉
「呪術廻戦」に出てくる言葉
固陋蠢愚は、「呪術廻戦(作:芥見下々/集英社)」の第25話、TVアニメでは第11話に登場したことから注目を集めました。「呪術廻戦」は、人間の負の感情から生まれる「呪い」と、それを祓う呪術師たちの戦いを描いたダークファンタジーです。
該当の話では、登場人物の視点や呪術界の現実が狭い理解のまま進行し、結果として悲劇を招く展開が描かれており、固陋蠢愚というタイトルが象徴されていました。
固陋蠢愚の使い方・例文
固陋蠢愚の意味や使い方は、例文をみることで理解しやすくなります。いくつかみていきましょう。
・変化を受け入れず前例だけに固執する姿勢は、まさに固陋蠢愚というべきだ
・若者の意見に耳を貸さない上層部の態度は、組織全体を停滞させる固陋蠢愚な体質を表している
・時代が変わっているにもかかわらず旧来の価値観を絶対視するのは、固陋蠢愚と批判されても仕方がない
・彼は知識はあるものの柔軟性がなく、議論ではしばしば固陋蠢愚に陥っていた
・慣習を疑うことなく守り続けるだけでは、固陋蠢愚な判断を繰り返すことになる
・その作品の中では、改革を拒む権力者たちが固陋蠢愚の象徴として描かれている
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固陋蠢愚の類義語・言い換え表現
固陋蠢愚のように古い考え方にこだわっていることを表す言葉には、次のような類義語が挙げられます。それぞれの意味をみていきましょう。

頑迷固陋
頑迷固陋とは、強情で他人の意見を聞き入れず、古い考えにこだわる様子を表す四字熟語です。「頑迷」は頑固で考えに柔軟性がないという意味で、固陋蠢愚と同じ視野が狭いという意味の「固陋」を組み合わせています。
固陋蠢愚と同じく否定的な評価を含みますが、愚かさよりも「意地を張って考えを変えない態度」に重点が置かれる表現です。批判的な文脈で使われることが多く、変化を拒む姿勢が停滞を招くことを示唆する言葉といえるでしょう。
〈例文〉
・時代の変化を理解しようとしない社長の考え方は、頑迷固陋といわれても仕方がない
・部長の頑迷固陋な姿勢に不満が募り、退職を考えている部下が増えている
その他の類義語
ほかにも、固陋蠢愚と近い意味を持つ言葉として、以下のものがあげられます。
・旧態依然(きゅうたいいぜん)
・意固地(いこじ)
・時代遅れ(じだいおくれ)
旧態依然は、昔のやり方や考え方をそのまま引きずり、変化や改善が見られない状態を指す言葉です。
意固地は自分の考えにこだわり、間違いだと分かっていても意地を張って態度を変えないことを表します。
時代遅れは考え方や方法、価値観が現在の時代に合わず、古くなってしまっているという意味です。
いずれも、新しい考えや変化を受け入れず、従来のやり方に固執する姿勢を批判的に表す表現です。固陋蠢愚とよく似ていますが、固陋蠢愚は古い考えにとらわれるだけでなく、視野が狭く愚かであるという意味も含み、より強い批判の意味合いがあります。文脈に応じて使い分けるとよいでしょう。
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固陋蠢愚の対義語
固陋蠢愚には、次のような対義語があります。
・博学多才(はくがくたさい)
・現状打破(げんじょうだは)
「知識が広く、柔軟で、前向きな態度」を示します。ここでは代表的な対義的表現を紹介します。

博学多才
博学多才とは、幅広い知識を持ち、さまざまな分野で才能を発揮できることを意味します。固陋蠢愚が学びを拒み視野を狭める姿勢を指すのに対し、博学多才は常に知識を吸収し、多角的に物事を考えられる人物像を表すといえます。
単なる知識量の多さだけでなく、それを応用し、新しい価値を生み出せる点を評価する言葉です。
〈例文〉
・彼は文学から科学まで幅広い知識を持つ博学多才な人物で、周囲から一目置かれている
・博学多才な彼女のアドバイスはいつも的確で、難題に直面したときもチームを正しい方向へ導いた
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現状打破
現状打破は、今の状況に満足せず、問題点を見極めて変革に踏み出す姿勢を表す言葉です。慣習や前例に縛られる固陋蠢愚とは反対に、変化をおそれず行動する積極性が強調されています。
ビジネスや組織改革、自己の成長といった文脈で使われることが多く、停滞した状況を切り開く前向きな意志を示します。柔軟な発想と行動力を評価する点で、自分の考えに固執し、変化を受け入れない固陋蠢愚とは正反対の言葉といえるでしょう。
〈例文〉
・売上低迷を打開するため、従来のやり方を見直して現状打破を図る必要がある
・彼は失敗を恐れず挑戦を続け、停滞したチームの現状打破に大きく貢献した
固陋蠢愚を正しく覚えよう
固陋蠢愚は、古い考え方のまま学ぼうとせず、変化を拒む姿勢を批判する意味合いがあります。頑迷固陋・狷介固陋といった類義語や、博学多才・現状打破などの対義語とあわせて覚えることで、言葉のニュアンスをより深く理解できます。
例文で具体的な使い方を確認しながら、固陋蠢愚の意味やニュアンスを正しく覚えましょう。
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