日常の中で、何とも言えない気恥ずかしさを感じる瞬間は、誰しも経験したことがあるでしょう。そのような感情を表す日本語には、さまざまな表現があります。「面映ゆい」もその一つです。
日常会話ではあまり耳にしないかもしれませんが、文学や表現の幅を広げる上で知っておくと役立つこともあります。この記事では、「面映ゆい」の意味や使い方を詳しく見ていきましょう。
「面映ゆい」とは? 意味と由来を確認
「面映ゆい」という言葉の意味を理解することで、使える場面が見えてくるかもしれません。早速、見ていきましょう。
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「面映ゆい」の読み方と意味とは?
「面映ゆい」は、「おもはゆい」と読みます。辞書で意味を確認しましょう。
おも‐はゆ・い【面▽映ゆい】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[形][文]おもはゆ・し[ク]《顔を合わせるとまばゆく感じられる意》きまりが悪い。てれくさい。「みんなからほめられて―・かった」
[派生]おもはゆがる[動ラ五]おもはゆげ[形動]おもはゆさ[名]
「面映ゆい」とは、決まりが悪かったり、照れくささを表す言葉です。
「面映ゆい」はいつから使われている?
「面映ゆい」という言葉は、12世紀後半に成立した『有明の別』や13世紀前半に成立した『平家物語』の文中でも登場しています。古くから使われている言葉です。元々は「相手と顔を合わせるとまぶしく感じる」という意味でした。
「面映ゆい」の使い方|どんな場面で使われる?
「面映ゆい」は、嬉しさと照れくささが入り混じる気持ちを表現するときなどに使われます。心の奥でじんわりと感じる恥ずかしさや、評価されることへの戸惑いを表すのに適した言葉です。どのような場面で使われるのか、具体例とともに見ていきましょう。
「褒められて面映ゆい気持ちになった」
相手からの称賛に対して、嬉しく思いながらも照れを感じる場面を表現。特に、自分が意識していなかったことを評価されたときや、周囲に注目される状況で感じる心情を伝えるのに適しています。
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「突然の告白に、彼は面映ゆい表情を浮かべた」
思いがけない言葉を受けて、驚きと同時に戸惑いを感じる場面を描写しています。気持ちの整理が追いつかず、どこか気恥ずかしさがにじむ様子を表すのにふさわしい表現でしょう。
「親の前で成績を褒められ、少し面映ゆい思いがした」
家族など身近な存在の前で褒められると、素直に喜びつつも気恥ずかしさが募ることがあります。嬉しさだけでなく、落ち着かない気持ちも含めた複雑な感情を伝えられる表現です。
「面映ゆい」の類語や言い換え表現
「面映ゆい」に似た意味を持つ表現もあります。場面によって、より適した言葉を選ぶことができるでしょう。
照れくさい
この言葉は、「面映ゆい」よりも日常的に使われることが多いかもしれません。人から注目を浴びたり、思わぬ褒め言葉を受けたときなどに、自然と使われる表現です。
例文:友人が冗談交じりに私を褒めてくれたが、素直に受け止めるのが照れくさくて笑ってごまかしてしまった。
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気恥ずかしい
「気恥ずかしい」は、フォーマルな場面でも使える表現です。「照れくさい」と似ていますが、もう少し落ち着いた言葉として文章の中にも取り入れやすいでしょう。例えば、目上の人に褒められたときや、改まった場で注目を浴びたときなどに使われます。
例文:初めて書いた小説をみんなに読んでもらうことになり、気恥ずかしい気持ちになった。
こそばゆい
「こそばゆい」は、実力以上に評価され、きまりが悪いときに使われることが多いでしょう。少し気恥ずかしいが、どこかくすぐったいような感覚を表す言葉です。
例文:友人から「あなたがいてくれて本当によかった」と言われ、なんだかこそばゆい気持ちになった。
最後に
「面映ゆい」は、古くから使われている日本語の中でも、特に繊細な感情を表現する言葉です。日常会話ではあまり登場しませんが、文章の中で使うと、より豊かな表現になるでしょう。どのような場面で使うのが適しているのかを意識しながら、自分なりに活用してみるのも面白いかもしれませんね。
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