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「毀誉褒貶」の意味と読み方
「毀誉褒貶」は「きよほうへん」と読み、人を褒めることとけなすことの両方を表します。「誉」と「褒」は、褒めるという意味の言葉です。「毀」と「貶」は、人の悪口を言ったり、けなしたりといった意味合いをもちます。
そもそも「褒める」と「けなす」は、反対の意味をもつ言葉です。そのため「毀誉褒貶」は、それだけ多様な評判があることも表しているといえます。
きよ‐ほうへん
出典:小学館 デジタル大辞泉
ほめることと、けなすこと。さまざまな評判。「—を顧みない」
「毀誉褒貶」を使った例文
褒めることとけなすこと、両方を意味する「毀誉褒貶」は、ビジネスや日常会話で以下のように活用できます。
- 自分の信じる道を突き進む彼女は、周囲の毀誉褒貶などまるで気にしないようだった
- 彼ほど世の中の毀誉褒貶に無頓着な人を見たことがない
- 社内での立場が認められつつあるのはうれしいが、毀誉褒貶を受ける機会も増えたように思う
- 彼女の研究結果について口を出す人は山ほどいたが、本人は毀誉褒貶など意に介さない様子だった
- 毀誉褒貶にまどわされていると、いつまでたっても目標を成し遂げることができない
![会議している人々](https://oggi.jp/wp-content/uploads/2025/01/AdobeStock_678478938.jpeg)
「毀誉褒貶」の類語「賛否両論」
「毀誉褒貶」の類語には、「賛否両論(さんぴりょうろん)」が挙げられます。「賛否両論」とは、賛成と反対、両方の意見が存在することです。
褒めたりけなしたりといった意味合いはありませんが、反対する2つの意見が存在する点は「毀誉褒貶」と共通しているといえるでしょう。大きな違いは、「賛否両論」は意見がまとまらない様子を表すことです。
会話やメール文などでは、賛否両論が「ある」「わかれる」のように活用してみてください。
- 新商品の試作品ができたが、仕上がりについて社内で賛否両論わかれているようだ
- 今月上映された作品について賛否両論あるようだが、私はあくまでも自分の感想を大切にしたい
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「毀誉褒貶」のような評価に関する四字熟語
「毀誉褒貶」は、周囲の評価や評判に関する四字熟語です。同じように評価に関する四字熟語には「流言蜚語(りゅうげんひご)」や「人口膾炙(じんこうかいしゃ)」などが挙げられます。
シーンに応じた使い方ができるよう、それぞれの意味を確認していきましょう。
![コメント](https://oggi.jp/wp-content/uploads/2024/07/1AdobeStock_423470122_s.jpg)
「流言蜚語」
「流言蜚語」とは、事実と異なる話のことです。「流言飛語」と書くこともあり、「流言」も「蜚語」も、根拠のないうわさ話を意味します。
「デマ」のような意味もあり、ビジネスシーンでは以下のように活用できます。
- プロジェクトが中止になるという話を耳にしたが、はっきりとしたことがわかるまでは流言蜚語にまどわされることなく、やるべきことに尽力したい
- B社との合併に関する流言蜚語が社内で飛び交っている
「人口膾炙」
広く世間に認められ、もてはやされることは「人口膾炙」と言い表します。「人口に膾炙する」の形で使うこともある表現です。
「人口」とは、うわさ話のことです。「膾」は細く切った生の肉、「炙」はあぶった肉のことで、どちらもおいしく人に好まれます。
同様に人の話題にのぼり、多くの人に認められる物事に「人口膾炙」という表現は適しているでしょう。
- このエッセイは、彼の著書のなかでも人口膾炙した一冊として知られている
- 彼女の名は、研究の成功をきっかけに、いっきに人口膾炙することとなった
「毀誉褒貶」のような褒めることに関する四字熟語
「毀誉褒貶」の評判には、褒める要素が含まれます。ここからは、同じように褒めることに関する四字熟語についてみていきましょう。
- 手前味噌(てまえみそ)
- 自画自賛(じがじさん)
- 拍手喝采(はくしゅかっさい)
なかには他者からの評価でなく、自分自身を褒める四字熟語もあります。例文を参考に、日常生活でも活用してみてください。
![グッドサインを出している人のイラスト](https://oggi.jp/wp-content/uploads/2025/01/AdobeStock_773694186.jpeg)
「手前味噌」
「手前味噌」とは、自分で自分を褒めることです。「手前」には「自分」という意味があり、「手前味噌」とすることで、自分が作った味噌を表します。
かつて味噌は購入するのではなく、各家庭で自作するものでした。「手前味噌」という言葉は、その味噌を各自が自慢し合ったことに由来するといわれています。
- 手前味噌ではありますが、我が社には国内でもトップクラスの技術者がそろっています
- 手前味噌ながら、新商品はこれまでで一番の出来だと実感しています
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「自画自賛」
「自画自賛」も、「手前味噌」と同様に自分で自分を褒めることです。「自画」は自分が描いた絵、「自賛」はその絵に自分で詩や文章を書きこむ行為を表します。
本来であれば、「賛」は他者が書き込むものであり、自分で書くものではありません。
「自画自賛」は、その賛を自分で書き込むという行為に「自分で自分を褒める」という意味合いを持たせています。
- トップの営業成績をおさめた彼に、さっきから自画自賛ばかり聞かされている
- 自画自賛ではあるが、今回の資料は我ながら良い出来だと思っている
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「拍手喝采」
手を叩き、大声で褒めたたえることは「拍手喝采」と言い表します。「喝采」とは、声を上げて褒める意味です。手を叩き声を上げ褒める「拍手喝采」は、相手への大きな敬意を表しているといえます。
以下のように「拍手喝采する」、「拍手喝さいを浴びる」のように活用できる四字熟語です。
- 満塁逆転ホームランを打ちホームに戻る打者を、ファンは拍手喝采で迎えた
- 話題のピアニストの演奏は素晴らしく、最後の一音を引ききった瞬間、会場の拍手喝采を浴びた
「毀誉褒貶」と関連する語句を正しく使い分けよう
「毀誉褒貶」とは、世間の評価に関連する言葉です。褒めたり、けなしたりといった意味合いをもちます。
同様に、評価や褒めることに関する四字熟語には、さまざまなものがあります。「毀誉褒貶」とはニュアンスが異なるため、それぞれの正しい意味を理解しておくことが大切です。
「毀誉褒貶」も含め四字熟語への理解を深め、日常生活やビジネスシーンで適切に使い分けていきましょう。
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