一挙両得の意味
一挙両得は「いっきょりょうとく」と読み、1つの行動で2つの利益を得るという意味です。
ここでは、一挙両得の言葉の意味や由来を解説します。
言葉の意味
一挙両得とは、1つの行為で同時に2つの利益が得られること、もしくはわずかな労力で多くの利益を得られることを表す言葉です。「一挙」は1つの動作・行動という意味で、両得は「2つの利益」を表します。
少ない労力で多くの利益、目的外の思いがけない利益を得られることも表す言葉で、基本的にポジティブな意味合いで使われます。
いっきょ‐りょうとく
出典:小学館 デジタル大辞泉
《「晋書」束晳 (そくせき) 伝から》一つの事を行って、同時に二つの利益を得ること。一石二鳥 (いっせきにちょう) 。一挙両全。「—をねらう」
言葉の由来
一挙両得という言葉は、中国の故事に由来しています。一挙両得という言葉が最初に出てくるのは、「晋書(しんじょ)」という歴史書です。
また、「戦国策」という書物にも一挙両得につながる話があるとされます。ここでは「一挙而名実両附」という言葉が記されており、「名と利の両方が一挙に得られる」という意味から、一挙両得とほぼ同義と考えられているようです。
一挙両得の使い方・例文
一挙両得の使い方について、例文をみて確認していきましょう。
・レストランで調理するアルバイトを見つけた彼女は、料理の勉強ができてお金も稼げることで一挙両得だと喜んだ
・家庭菜園は食費を減らせるうえに、いつも新鮮で安全な野菜を食べられるので、一挙両得といえる
・早起きをする習慣をつけたら、電車が空いていて通勤が楽になり、早寝早起きの規則正しい生活で体調もよくなってきた。まさしく一挙両得だ
・毎日こまめに掃除をしているときれいな部屋で気持ちがよいだけでなく、運動にもなる。一挙両得なので習慣にしようと思う
・ビジネスセミナーに参加したら、ビジネスのノウハウを習得できたうえに、参加メンバーと交流ができ、人脈が広がった。一挙両得とはこのことだ
一挙両得の類義語
一挙両得には、次のような類義語があげられます。
・一挙両全(いっきょりょうぜん)
・一石二鳥(いっせきにちょう)
それぞれの意味について、詳しく解説します。
一挙両全
一挙両全とは、1つの行動によって、2つのことがうまくいくことを指します。「両全」とは、両方とも完全であるという意味。1つの行為で、2つとも完璧にできることを表します。
一挙両得と一挙両全は、得るものが「得」か「全」かという点が異なるだけで、「1つの行いで2つの成果を得る」という意味合いは共通しているといえます。
〈例文〉
・断捨離でいらないものを売ることは、部屋が片付くだけでなくお金が入るため、一挙両全といえる
・適度な運動は健康に良いうえにダイエットできるため、自分にとっては一挙両全だ
一石二鳥
一石二鳥とは、1つの石を投げて2羽の鳥を同時に捕らえるという意味です。それが転じ、1つの行為や苦労で2つの利益を得る、あるいは目的を同時に果たすという意味をもちます。
一挙両得とはほぼ同じ意味ですが、言葉の由来が異なります。一挙両得は中国の故事を由来としますが、一石二鳥は英語のことわざである「kill two bird with one stone(1つの石で2羽の鳥を殺す)」が由来です。
〈例文〉
・仕事で成果を上げることは会社の業績を上げるとともに、自分の昇給やボーナスアップにつながる。一石二鳥といえるだろう
・タバコをやめれば、毎月の支出が減って健康にもなって一石二鳥だ。しかし、現実的にやめるのは難しい
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一挙両得の対義語
一挙両得には、次のような対義語があげられます。
・二兎を追うものは一兎をも得ず(にとをおうものはいっとをもえず)
・一挙両失(いっきょりょうしつ)
どのような意味なのか、詳しくみていきましょう。
二兎を追うものは一兎をも得ず
二兎を追うものは一兎をも得ずとは、うさぎを二兎同時に追いかけても、結局両方とも捕らえられないという意味のことわざです。これが転じて、同時に違った2つのことをしようとすれば、結局どちらも成功しないという意味で使われます。
一度に多くの利益を得ようとして欲を出すと、両方とも失われてしまうという教訓を表す言葉といえるでしょう。
〈例文〉
・第1志望の会社を1つに絞りきれず、どちらの対策も中途半端になってしまった。結局2社とも内定を得られず、まさに二兎を追うものは一兎をも得ずということわざのとおりになった
・収入を上げたいが楽もしたいという考えは、二兎を追うものは一兎をも得ずで、どちらも得られない結果になるよ
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一挙両失
一挙両失とは、1つのことを行った結果、2つのものを失う、あるいは失敗してしまうということを表します。一挙両得とは「得」と「失」の違いで、正反対になる言葉です。
一挙両失は、一挙両得と同じく中国の故事「戦国策」を由来としています。
〈例文〉
・利益を拡大するために新しい事業を始めたが、戦略を誤って赤字を出してしまった。元の事業にも損害が及んでしまい、一挙両失の結果となった
一挙両得は1度に2つの目的を達成すること
一挙両得とは、1つの行為で2つの利益を得たり、目的を達成したりすることです。主に、ポジティブな意味合いで使います。類義語には「一挙両全」や「一石二鳥」があり、どちらも一挙両得とはほぼ同じような意味合いで使える言葉です。
対義語には、ことわざの「二兎を追うものは一兎をも得ず」や、「一挙両失」という言葉があげられます。これら類義語・対義語と一緒に覚え、一挙両得を正しく使えるようになりましょう。
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